[対称性の自発的破れ]
◎｢ノーベル物理学賞「対称性の自発的破れ」って何？−JanJanニュース｣を読んで、｢あっはっ!!!｣(あっ、そうか!!!)体験、アハ体験(茂木氏用語)、ユーレカ体験(アルキメデス)をした。
[記事から多くを引用して説明]
◎私は自力で説明できるほどの知識を持ち合わせていないので、上記記事から多くを引用させていただいた。感謝、感謝。
[日本人３人が授与されるノーベル物理学賞]
◎今年(2008)のノーベル物理学賞を、米シカゴ大の南部陽一郎名誉教授（87）と、高エネルギー加速器研究機構（高エネ研）の小林誠名誉教授（64）と、京都産業大理学部の益川敏英教授（68）との、日本人３人が授与されることとなった。
[非対称性の理論化]
◎南部氏の受賞理由は、物質の最小単位である素粒子の「自発的対称性の破れの発見」。３氏ともに、素粒子の世界に存在する「破れ」と呼ばれる非対称性の理論化に取り組んだ業績が認められたのである。
[宇宙の誕生に理論的裏付け]
◎ここで、「破れ」、非対称性の理論によって、宇宙の誕生に理論的裏付けがなされたことを取り上げたい。その理論が宇宙の誕生の謎(行き詰まり)への突破口となった。
[ビッグバン以前の世界]
◎宇宙の始め(ビッグバン以前)はエネルギーが充満しているだけで物質がない。つまり、卵(エネルギーだけの構成)の状態であった。
[アインシュタインの相対論]
◎卵から宇宙を誕生させる理論を提示したのは、質量とエネルギーは交換可能(質量とエネルギーの等価性)というアインシュタインの相対論(E=mc2)である。これによって、ニュートン力学の上に新しい理論を構築した。
[無から有を作り出す]
◎相対論によって、エネルギーがありさえすれば、無(エネルギー)から有(物質)を作り出すことが可能だと説明できた。もちろん、これは逆に物質をエネルギーに変えることも可能だと説明する。
[必ず物質と反物質が対]
◎しかし、変換への条件があった。つまり、エネルギーから作り出せる場合には、常に必ず物質と反物質が対になってできるという条件が。
[自然は対称性を持つ]
◎理由は、自然は対称性を持っているからだ。例えば、物を燃やしたり壊したとする。それによって機能は失われるが、陽子や中性子、それに電子という基底レベル(最基底はクォーク)で考えれば、増えても減ってもいない。ただ転換しただけである。
[反対のものが一緒にできる]
◎自然は対称であるから反対のもの(物質と反物質)が一緒にできるということは、陽電子は、必ず電子と一緒に生成される。反陽子も陽子と一緒に出来る。
[反物質は電荷電気量が物質と正反対]
◎つまり、反物質は、電荷、電気の量が物質とは正反対。陽子と電子の電荷が入れ替わった原子で構成された物質である。
[出会って消滅してエネルギーに]
◎質量とエネルギーは交換可能だから、出来た途端にすぐさま出会って消滅してエネルギーになってしまう。エネルギーに戻ってしまう。同数のプラスとマイナスが出会うとゼロになるように。
[複雑な宇宙の姿には成り得ない]
◎ということは、物質と反物質との対生成とそれらが出会ってのエネルギーへと対消滅を繰り返すばかりで、現在のような複雑な宇宙の姿には成り得ないのではないか？という行き詰まりになってしまった。
[自発的対称性の破れ]
◎それに対する救世主になったのが、南部名誉教授の｢自発的対称性の破れ｣理論であった。対称性を持っている自然も、その対称性が破れることがあると理論的に証明した。
[似た思想は昔からあった]
◎だが実は、上記と似たような理論、思想はずっと昔からあった。哲学界や思想界や宗教界から提示されてきた。もちろん、科学的用語や論理的道筋を踏まないが。
[矛盾的自己同一]
◎例えば、哲学者西田幾多郎は、相反する二つの対立物がその対立をそのまま残した状態で同一化する「矛盾的自己同一」を提示した。
[主体と客体が一体]
◎｢自己同一」とは、主体と客体が一体となる(意識の)状態である。しかも相反する(矛盾的)二つの対立物が同一(対立をそのまま残した同居)するという。
[肉眼で見た現実は分離]
◎仏教、特に禅宗は、そういう(主体と客体が一体と見える)意識状態に達したことを｢悟り｣と呼ぶ。が、私たち凡人は肉眼で見た現実から、分離したものと見なす。物質部分は分離(物質と反物質)しているように見えるが、エネルギー部分では同一している。
[正と反は止揚する弁証法]
◎西洋の(特にヘーゲル)弁証法は、そこのところを、｢正と反は止揚して合する｣という。止揚とは、廃棄・否定しながらも、同時に保存する・高めることである。私はそれを高い階層への移行だと思う。物質の階層(肉眼)から見るか、エネルギー(霊眼)の階層から見るか。
[陰陽思想]
◎中国の｢陰陽思想｣は、陰と陽とは互いに対立する属性をもった二つの気であり、万物の生成消滅といった変化はこの二気によって起こるという。この二気の働きによって万物の事象を理解し、また将来までも予測しようとする。
[科学は思想界を後追い追実証]
◎このような思想に接すると、ある意味、科学は、思想界(哲学、宗教など)が提出した、体験的理論を後追いする、追実証しているかのように映る。
