真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

派遣労働と構造改革と楽市楽座とセーフティーネット

[世界中が経済不況]
◎今、世界中が経済不況に突入して、日本では、派遣の雇い止め、派遣切り、派遣の期限前の契約打ち切りが、連日テレビや新聞で報道されている。
[派遣労働の大幅な規制緩和]
◎派遣労働法(労働者派遣法)改正案が平成15年6月6日可決成立し、翌年3月から施行された。これによって派遣労働の大幅な規制緩和がなされた。結果、企業は、正社員を減ら(リストラ)して、派遣社員を増やした。つまり、この改正は企業に優しく、労働者に冷たいものであった。
[正社員と派遣社員との格差]
◎派遣労働について私が思うことは、正規雇用(正社員)と非正規雇用(主に派遣社員)との格差が余りにも大きすぎる。全くといっていいほど同じ仕事をしても、賃金格差は最低2倍はあるだろう。しかも派遣社員では、熟練の域に達しても、賃金はほとんど上がらない。
[心の準備が必要]
◎このような派遣労働が当たり前の時代には、学生の頃からその心の準備が必要である。今の派遣労働者たちは、それがないままに社会に放り出された。これが大きな悲劇である。
[高齢者に居場所がない社会環境]
◎同様の悲劇が今の高齢者にも当てはまる。その悲劇とは、「高齢者に居場所がない」という急激に変化した社会環境への心の準備がないまま放り込まれてしまった。
[隠居という地位]
◎彼らが若い頃には、(三世代)家族制度によって、祖父母(高齢者)は子供たちから隠居という地位(孫の世話と文化の伝承という役割)を与えられていた。
[核家族制度の中に放り込まれた]
◎だのに、彼らが高齢に達した今になって、心の準備がないのに、新しい核家族制度の中に放り込まれた、いや、放り出された。結果、社会の底辺は、孤独老人であふれかえっている。
[派遣労働当たり前時代]
◎それと同じように、派遣労働を予期していなかった世代が、何の準備もないまま、急に「派遣労働当たり前時代」に放り込まれた。かくて、社会は、今、高齢者や派遣労働者など、下層階級が急激に膨らんでいる。
[学校の勉強だけで卒業]
◎派遣がない時代の彼ら(派遣労働者)は、学校が与える勉強だけをこなして卒業すれば、何とか正社員に成れた時代しか知らなかったのである。そのように進路指導されてきた。
[学校の勉強だけでは無理]
◎しかし、「派遣労働当たり前時代」では、学校の勉強だけでは無理である。学校は一般教養的な内容が中心なのだから。それだけを身につけて社会に出れば、企業から買いたたかれる。
[専門的知識や技能を身につける]
◎最早国が用意したものをこなすだけでは正社員には成れない時代だと知るべきである。独自に専門的知識や技能を身につけていなければ社会の荒波は乗り切れない。国が用意する小舟は泥船と化してきた。
[学校制度は当てにできない]
◎自分の人生は、あるいは、子どもの人生は、早くから、親や教師や自らが設計しなければならない時代である。これは親としてしっかり肝に銘じておくべきである。学校の教師はそのような進路指導はしてくれない。学校制度は最早当てにはできない。
[楽市・楽座]
◎話題をがらっと変えるが、「楽市・楽座」(fromWikipedia)という歴史用語がある。
[市場で行われた経済政策]
◎それは、「日本の近世(16世紀から18世紀ごろまで)において織田信長豊臣秀吉織豊政権や各地の戦国大名などにより城下町などの支配地の市場で行われた経済政策」である。
[座を解散させ自由取引市場]
◎「楽とは規制が緩和されて自由な状態」、競争の導入である。それによって、「既存の独占販売権、非課税権、不入権などの特権を持つ商工業者を排除して自由取引市場をつくり、座を解散させ」た。
[育成し経済の活性化を図る]
◎また、「税の減免を通して新興商工業者を育成し経済の活性化を図った」。私は、規制緩和構造改革は常に行っていかなければならないと考える。特に既存の制度にあぐらをかく社会はひっくり返さねばならない。
[新陳代謝]
◎体でいえば、(新しい細胞が古い細胞に取って代わる)新陳代謝である。古い細胞のままで、新しいものを追加していかなければ、老衰してしまう。再活性化と新しいものの育成を、ある間隔を開けて繰り返さねばその社会は死に絶える。
[セーフティーネット]
◎しかし、新陳代謝規制緩和や競争の導入には保険(「セーフティーネット」=From"みんなの知恵蔵")が是非とも必要である。
[失敗しても再度復帰]
◎「市場社会が機能するためには、市場社会の外にセーフティーネットが張られている必要がある。サーカスの綱渡りでは、安全ネットを張ることでプレーヤーが安心して演技ができ、落下しても大事故にならないのと同様、資本主義市場社会においては、経営者や労働者などのプレーヤーが安心して市場競争に参加し、失敗しても再度復帰できるように、市場競争の領域の外にセーフティーネットが存在している必要がある」("みんなの知恵蔵"からの引用)。
[新しい制度創設]
◎日本は昨日まで終身雇用制度が機能していたので、「セーフティーネット」の意識が薄かった。というよりも必要なかった。それで、制度が崩壊した後も、それに変わる制度(その一つが「セーフティーネット」)の確立が遅れている。今が新しい制度創設に良い機会である。
[復帰までを支援する制度]
◎このように、競争には、それに敗れたものへの救済、保険が必要である。病気した者への医療保険制度のような、復帰までを支援する制度がどうしても望まれる。それがなければ、動物の世界のように敗者には死のみが待つ。