真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

脳は翻訳器械、結合器械

[脳は翻訳器械]
◎今日は、「脳は翻訳器械」だということを述べたい。動物の脳もそうなのかどうかは分からないが、少なくとも人間の脳は「翻訳器械」だと思える。
[翻訳とは]
◎と言うことで、まずは「翻訳」(fromWikipedia)とは、どういう意味なのだろうか。ちなみに、「翻」とは、「ひらりと裏を出す」ことである。
[AからBへ翻案]
◎翻訳の意味は、「A の形で記録・表現されているものから、その意味するところに対応する B の形に翻案すること」である。
[脳の中の英語辞典と日本語辞典]
◎日本(日本語を母国語とする)人が、英語を聞いて「わかる」ためには、脳の中に英語の(参照)辞典と日本語の(参照)辞典との両方が入っている必要がある。
[AをBに置き換える]
◎翻訳は言葉に限定されているが、それを一般化すれば、「A の形で記録・表現されているもの」を「B の形」に置き換えることである。「A の形」も「B の形」も言語に限定されない。
[イメージを文字に置き換え]
◎犬という「イメージ」(像)を、「犬」という「文字」に置き換えたり、「いぬ」という「音声」に置き換えたりする。あるいは、レモンの「味」を「酸っぱい」という言葉で置き換える。
[自然に結びつく必然性はない]
◎犬という「イメージ」と、「犬」という字と、「いぬ」という音声との間には、何ら必然的なつながりはない。もちろん、「レモンの味」と「酸っぱい」という言葉の間にも自然に結びつく必然性は全くない。
[何に置き換えてもよい]
◎故に、犬という「イメージ」を"dog"という文字に置き換えたり、「ドッグ」という音声に置き換えたりすることは何ら妨げにはならない。何に置き換えてもよいのだ。固定的な法則はない。
[あるものとあるものを結びつける結合器械]
◎つまり、翻訳とは、ある意味では、ある言葉と別の言葉を結びつけることである。ということで、「翻訳器械」を一般化すると、あるものとあるものを結びつける器械、結合器械ともいえる。
[絶対音感]
「絶対音感」(fromWikipedia)という言葉がある。「ある楽音を聞いたときに即座に音名が浮かぶ場合に「絶対音感がある」と言う」。
[楽音を音名に置き換える]
◎これは、私たち日本人が「犬」の字を「いぬ」という音声に置き換えるように、「絶対音感保持者」は「楽音」(ドの音)を「音名」(ド)に置き換えることである。音(楽音)と言葉が結びつく。
[特別な訓練をすれば身につく]
◎習得臨界期(3歳〜5歳くらい)に、12音の音名と音高を、確実に結びつけるような特別な訓練をすればたいてい「絶対音感」が身につくそうである。
[脳の楽音辞典と音名辞典をインストール]
◎これも、脳の中に「楽音」辞典と「音名」辞典をインストールして、しかも、「楽音」と「音名」を一対一の対応をさせる必要がある。「犬」の漢字と「いぬ」という音声を結びつけるように。
[音楽などが総て音名で耳に飛び込む]
◎その結果、「BGM・チャイム・駅の発車の音楽などが総て音名で耳に飛び込んでくるので聞き流すことができない」そうである。音が音そのままではなく、すべて音名に翻訳されて聞こえる。
[邦楽器音を左脳で聞く日本人]
◎以前私のブログで「「身体的な経験と感覚」の右脳と「頭で理解」の左脳」を書いたが、「虫や動物の鳴き声、波、風、雨の音、小川のせせらぎ、邦楽器音」を左脳で聞くというのは日本語の特徴である。
[擬声語、擬音語]
◎つまり、自然界の音を日本人は、左脳で聞くから言葉(擬声語、擬音語)化しがちである。「絶対音感保持者」が、「楽音」を「音名」に変換されて聞こえるように。
[脳の大きな機能は翻訳]
◎このように、脳の大きな機能は、広い意味での「翻訳」である。もっと広い意味で言えば、脳はあるものとあるものを結びつれる結合器械である。
[数字がソロバン化]
◎だから、言葉や音声だけではなく、例えば、ソロバンの名人などが、暗算するときには、ソロバンのイメージが浮かび、数字を聞けば、イメージ上のソロバンの珠が勝手に動くという。数字がソロバン(珠)化するといえる。
[英語を英語のまま理解]
◎実は、私も、英語を英語のまま、つまり、英語を日本語に置き換えずに、意味が分かるようになりたいと、若い頃思った。
[英文を目で読むだけで意味が分かる]
◎それで、英語の文章をただ目で追って見つめるだけの訓練をした。それを、毎日10時間くらいを2週間(あるいは3週間?)ぶっ続けですると、驚いたことに、英文を目で読むだけで、意味が分かるようになった。
[意識上の翻訳作業が無意識的作業に移る]
◎これは、私が今まで意識上でやっていた翻訳作業を、脳が勝手に無意識上でやってくれるようになったわけである。だから最初に意識上の翻訳作業を完成させている必要があるが。意識の作業を黙らせると、脳が勝手に自動的に行う無意識的作業に移る。
[言葉の映像化]
◎更に驚いたことに、ある英文(文学的作品)を読むと、それが映像として浮かぶようになった。英文を読み進むと、それがあたかもビデオを見ているかのように、イメージが浮かぶ。これは言葉の映像化である。悲しいかな、どちらの機能も最早消えてしまったが。
[楽譜が音楽化]
◎これも、先ほど紹介した、数字のソロバン化という原理で説明できる。また別の事例では、譜面を見ると、頭の中に音楽が流れると言った作曲家がいた。これなども、楽譜が音楽化したといえる例である。
[さまざまな能力が開発される可能性]
◎ということで、人間は、何かと何かを結びつける訓練をすれば、さまざまな能力が開発される可能性を秘めた脳を持っている。これからも、まだ誰も開発していない新しい脳力が開発されてゆくだろう。楽しみである。