真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

危機は不備を洗い出す

[未曾有の危機]
◎今(2008〜2009)は「百年に一度」の未曾有の危機だと言われている。危機は、ダムの水量が減るのに例えられる。水位が減れば、今まで水面下に沈み込んでいた、さまざまなものが表面に現れ出す。
[表面に現れ出たものを峻別]
◎そのことを考えれば、ある意味では、危機は、そのようにして表面に現れ出したものを峻別する良い機会となる。だから危機は"CHANGE"を産み出す。そういう意味では、アメリカは素晴らしい国だ。
[しゅんせつする良い機会]
◎日本においても、この危機が、政治の世界で、今まで自民党政権が水面下に沈み込ませてきたさまざまなあくたを、しゅんせつ(浚渫)する良い機会だと思える。この機会を捉えて、自民党が再浮上できるか、このまま更に沈没するかの境目である。
[長年の使用によって溜まり込んだゴミ]
◎ということで、長年の使用によって溜まり込んだゴミを一掃する良い機会ともなる。今回の世界的経済危機は、企業を見直す、経済を見直す、雇用を見直す、政治世界(特に産業官僚政治家の癒着)を見直す良い機会である。
[目利きの良さが問われる衆議院選挙年]
◎日本人にとっても、国民のさまざまなものを見る目利きの良さが問われる(衆議院選挙の)年となる。現状維持でゆくのか、変革を求めるのか。
[人柄が如実に表れる]
◎また、危機に立ったとき、その人間の人柄が如実に表れる。今の危機で、それぞれの国が、それぞれの政党が、それぞれの個人がどのように振る舞うかをよく見て、それを心に刻みつけておくべき時である。何を守ろうとするのか、何を目指そうとするのか。
[企業の品格]
◎まず、思い出すのは、企業は社会的責任を負うということが一時期盛んに言われた。私も(2007/08/18)「企業の責任と使命」という記事を書いた。これは「企業の品格」である。
[事業継続計画=BCP]
◎その記事で、"BCP"(business continuity plan=事業継続計画)を取り上げた。「災害や事故などの予期せぬ出来事の発生により、限られた経営資源で最低限の事業活動を継続、ないし目標復旧時間以内に再開できるようにするために、事前に策定される行動計画」である。
[悪影響を最小限に食い止める義務]
◎大企業や地域に根づく産業が社会的影響力の大きさを自覚して、その悪影響を最小限に食い止める義務を果たしてゆく責任感を自覚すべきことから叫ばれた。その自覚から"BCP"が策定されたはずである。
[超大企業の破綻を食い止めようとする政府]
アメリカでも、ビッグスリーなど超大企業の破綻を食い止めようと政府が動いている。そうするのは、その結果の社会的影響力が余りにも大きいからである。日本でも、バブル崩壊後、銀行に呆れるほどの資金が注入された。
[派遣社員をぼんぼん切り捨て]
◎今回、大企業が派遣社員をぼんぼん切り捨ててゆくのは、そのような社会的影響力、社会的責任よりも、自分たち「企業を守る」ことを最優先したからだろう。
[企業の社会的責任とは]
◎私は自分のブログで、「企業の社会的責任とは、顧客、株主、従業員、取引先、地域住民、未来の求職者、投資家、取引先金融機関、政府・行政機関など、との友好的な関係を大切に維持し行動することである」と書いた(from「企業の責任と使命」)。
[視野狭窄状態]
◎最近の「トヨタ」の社長の言動を見聞きしていると、自社の受けた赤字転落に仰天して、自分しか見えなくなった視野狭窄状態ではないかと思える。あたふたとうろたえる無様な姿が垣間見える。
[トヨタが赤字転落]

トヨタ自動車が、2009年3月期の連結決算(米国会計基準)で営業赤字に転落する見通しになった。営業損益は、従来予想の6000億円の黒字から、1500億円の赤字に陥る見込みだ。トヨタの営業赤字は、記録が残っている1941年3月期(当時は単独・半期決算)以来初めてで、事実上、初の赤字決算という異例な事態になる。
(from"J-CAST")
[内部留保合計額が倍増]
大量の人員削減を進めるトヨタ自動車キヤノンなど日本を代表する大手製造業16社で、利益から配当金などを引いた2008年9月末の内部留保合計額が、景気回復前の02年3月期末から倍増し空前の約33兆6000億円に達した。
(2008年12月)と共同通信社の集計で明らかになった。
[解雇の中止・撤回と雇用維持を要請]
共産党の志位委員長が24日午前、党本部でトヨタ自動車の古橋衛専務ら同社幹部と会談し、「トヨタの社会的責任は重い。巨額の内部留保や配当を行っており、大量解雇する合理的理由はない」として解雇の中止・撤回と雇用維持を要請した。
(from朝日新聞2008年12月24日)
[続々後に続く大量解雇]
◎懐に金をがっぽり隠しておきながら、トヨタが率先して大量解雇の引き金を引いたので、他の企業も、トヨタがやるんだから、「うちもうちも」と続々後に続く企業が現れ始めた。
[企業の志(社会的責任感・使命感)の低さ加減]
内部留保合計額が、02年3月期末から倍増し約33兆6000億円に達したのだから、企業は、目先のことだけで動くべきではないだろう。今回の行動(派遣社員の大量解雇)は、私たち消費者に生産者の志(社会的責任感・使命感)の余りの低さ加減を知ってしまった。
[大企業は社会的信用を失墜]
◎つまり、派遣切りなどによって、それらの大企業は社会的信用を失墜させてしまったといってもよい。そのような思いからは、企業の心地よいCMが、うつろに聞こえる、見える。
[個人主義的意識から支え合いの協業へ]
◎また、私は自分のブログで、「すべての企業にとって、今までのような、企業自身だけが維持発展するという個人主義的意識から、さまざまな関係先との支え合いの協業、共生、と、手を携えての発展を目指す、企業の社会的責任と、社会的使命を意識して、目標を定める時代になっている」とも書いた(from「企業の責任と使命」)。
[社会的使命に基づく行動指針が策定されず]
◎企業は、"BCP"(事業継続計画)は、ある程度策定できたのかもしれないが、不況時においても意識されねばならない社会的責任と、社会的使命に基づく行動指針が全く策定されていなかったことがこれによって、露呈したのではないか。