真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

永遠の未熟(ネオテニー)と執行猶予(モラトリアム)

[心理学に興味]
◎私は、心理学に興味があったので、カウンセリングの本を読み、小此木啓吾氏の精神分析の本を読み、ユング心理学河合隼雄氏の本を読んだ。これはある意味、自分を知り、他人を知りたかったからなのだが。
[小此木啓吾]
◎その中で、小此木啓吾は、精神分析の専門家であり、「モラトリアム人間の時代」(中央公論新社1978年)を書かれた。
[モラトリアム人間の時代]
◎「私もその中の一員だなあ」と思いながら読んだ記憶がある。時代の先を読む力のある心理学者である。
[モラトリアム]
◎題名の「モラトリアム」(fromWikipedia)とは、「支払猶予、一時停止期間」を表す。それが学生に対して、「社会人になる前の猶予期間」という意味を与えられた。
[社会に出て一人前の人間となる事を当然視]
◎その頃は、「社会に出て一人前の人間となる事」を当然視された。今でもかなりそうなのだろうけれども、他方では、特に今時の親は子どもに対して猛烈に甘い。私も含めてであるが。
[親に頼ることに罪悪感はない]
◎私には子どもが4人いる。すべて社会人(その内1人は半社会人)であるが、誰も結婚をしようとは思っていない。私もしたくないのであれば、しなくてもいいよとは言っている。子供たちも、親に頼ることに罪悪感は全くない。
[ニート]
◎そうなれば、子供たちは「パラサイトシングル」になりきるつもりだろうか。所が、それよりも親がかりな、「ニート」(「Not currently engaged in Employment, Education or Training」の略語で、教育を受けておらず、労働をしておらず、職業訓練もしていない者)は、「厚生労働省の調査では、ニートは2002年以降4年連続で64万人という水準で推移しており増加傾向は見られない」*1という。人口の0.6%はニートということになる。
[フリータ]
◎「ニート」ではないが、「フリータ」(正社員以外の就労形態(アルバイトやパートタイマーなど)で生計を立てている人)も社会には大勢いる。といっても、彼らの内どれだけけが、主体的な「フリータ」だろううか。
[代わりの労働力として活用]
◎「バブル経済が崩壊し、企業の経営状態が悪化すると、正社員の採用は抑制され、低賃金かつ解雇しやすいアルバイトが、代わりの労働力として活用されるようになった。そのため、当時就職活動をしていた多くの若者は正社員になれず(就職氷河期も参照)、アルバイト等で生活せざるを得なくなった」(fromWikipedia)ことが原因であるそうな。
[どちらのフリータか]
◎自らが選んだ「フリータ」なのか、社会情勢から仕方なしの「フリータ」なのかどちらが多いのだろうか。
[ネオテニー]
◎話はころっと変わるが、「動物において、性的に完全に成熟した個体でありながら非生殖器官に未成熟な、つまり幼生や幼体の性質が残る現象のことを幼形成熟、幼態成熟」(fromWikipedia)、ネオテニーと呼ぶ。
[可塑性が高い]
◎「各種器官の特殊化の程度が低く、特殊化の進んだ他の生物の成体器官よりも適応に対する可塑性が高い。そのことで成体になるまでに環境の変化があっても柔軟に適応することができるとされる」(fromWikipedia)。
[社会を変える方向に動く]
◎「モラトリアム人間」、「パラサイトシングル」、「ニート」、「フリータ」は、新しい時代の到来への先駆け、前兆であるように思える。あるいは、彼らの存在が社会を変える方向に動いてゆくのかも知れない。
[環境変化へ柔軟に適応]
◎「モラトリアム人間」、「パラサイトシングル」、「ニート」、「フリータ」は、可塑性が高いぶん環境の変化があっても柔軟に適応できる「ネオテニー」的であるともいえる。
[社会の中に位置づける]
◎原因なのか結果なのかは別にしても、彼らを社会の中に位置づけるためには、新しい時代に合った教育を国に求めたい。
[個性に合った教育]
◎一般教育、教養教育よりも、個性に合った教育、時代に合った教育、職業的専門教育の重視を取って欲しい。「モラトリアム人間」、「ニート」、「フリータ」が社会で生きやすいように。
[複雑系・生態系学習の復活を望む]
◎私は、少し前(2009/06/04)、このブログで「授業に総合(複雑系・生態系)学習の復活を望む」という記事を書いた。
[社会に密着した実地教育]
◎知識だけ教育や、細切れ知識教育、暗記教育などではなく、社会に密着した、実地教育、体験教育、五感教育、体系的総合的な知識の取り入れをする授業体系を望んだ。それを「総合(複雑系・生態系)学習」と呼んだ。
[プロジェクト中心で動く]
◎それは、その一つ前に書いた(2009/06/02)「血縁、地縁、知縁」で、「プロジェクト中心で動く」「プロジェクトセンタード(project-centered)システム」を提唱したことと関連する。
参考資料→「梅田望夫氏の本 「英訳プロジェクト」リーダーに聞いた成功のツボ | キャリワカ:ライフデザイン | 」=from"nikkei BPnet 〈日経BPネット〉"
[職に就つ]
◎会社に就職するのではなく、文字通りの「職」(能力)に就つ。会社に就職するのではなく、プロジェクトに参加するという仕事の選び方は、「フリータ」の進化形ではないだろうか。「ニート」にとっても、会社に就職するよりもうまくいく可能性が高いのではないか。
[仕事内容を選べる]
◎というのは、「会社に就職」では、どんな仕事をさせられるか分からない。自分のしたい内容と大きく違う可能性もある。「職に就つ」では、仕事内容を選べる。会社を選ぶのではなく、仕事を選ぶのだから。
[ブログが自分の履歴書になる]
◎もちろん、まだ会社に入らなければ、仕事にありつけない段階だから、私が書いた「ブログが自分の履歴書になる」(2007/07/27)で述べたように、ブログを自分の履歴書として提示する。
[仕事と人をマッチング]
◎会社の人事課は、それらを見て、コンタクトを取って、仕事と人をマッチングさせる。あるいは、それらを取りまとめる就活サイトを立ち上げて、そこを仲介場所として、話を進める。
[深く専門的知識と経験を蓄積]
◎そのことによって、狭いが深く専門的知識と経験を蓄積するというタイプの人々が活かされる機会が増えるだろう。
[専属からフリーになるという方向]
◎以前からも、専属からフリーになるという方向を選ぶ人々がいた。それは会社の思惑や内容よりも、自分の気持ちを大切にしたいからだろう。
参考資料→「時代が作りだした新タイプの社員〜『ネコ型社員の時代 自己実現幻想を超えて』 | キャリワカ:本 | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉」
参考資料→ネコ型社員の時代 自己実現幻想を超えて(fromアマゾン)
[体制的な仕組み作り]
◎そのような、自分の気持ちを大切にしたい人々がこれからもどんどん増えるので、それらの人々も社会的に十分な働きができるような仕組みを日本全体で作る必要がある。
参考資料→モラトリアム人間の時代 (中公文庫 M 167)(fromアマゾン)
参考資料→モラトリアム青年肯定論 現代のエスプリ (No.460)(fromアマゾン)

*1:fromWikipedia