真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

Winny問題の最高裁上告についての感想

[ウィニー事件は最高裁に上告]
「逆転無罪判決のウィニー事件 大阪高検が最高裁に上告 」(2009/10/21)from" YOMIURI ONLINE(読売新聞)"したが、それについて考えてみたい。

ファイル共有ソフトWinny(ウィニー)」を開発、インターネットで公開し、ゲームソフトの違法コピーを手助けしたとして著作権法違反(公衆送信権の侵害)のほう助罪に問われ、2審・大阪高裁で逆転無罪判決を受けた元東京大大学院助手・金子勇被告(39)について、大阪高検は21日、最高裁に上告した。
[地裁で有罪判決]
◎1審・京都地裁で有罪判決が出された理由は次の通りである。
1審・京都地裁は06年12月、ーウィニーでやりとりされるファイルの大半は違法だった。金子被告はそうした利用実態を認識しながら開発、改良を重ね、不特定多数に公開した」としてほう助罪の成立を認め、罰金150万円の有罪判決を言い渡した。
[最終判断が最高裁で下される]
◎地裁で有罪、高裁で無罪の判決が言い渡された。高検が最高裁に上告したことで、最終的な(といっても別件でのやり直し裁判もあり得るが)判断が最高裁で下されることになる。
[彼個人の問題から社会の問題へ]
最高裁での判決が出ることによって、この問題は彼個人の問題から、日本の問題、社会の問題へと格上げされることになる。
[普遍性が増す]
◎個別の問題から一般の問題へと普遍性が増すからである。「金子勇」の個別問題から、「ソフト作成者・企業」の一般問題へと格上げされる。
[三菱製のトラックが大事故]
◎例えば、もうかなり前に、三菱製のトラックが大事故を起こしたことで大問題になった。でも、それによってトラック自体をなくしてしまえという次元への格上げはなされなかった。
参考資料→「三菱リコール隠し」(fromWikipedia)
[個別の企業の問題]
◎あの事故は、あくまで三菱製のトラックのみによる個別の企業の問題だとして、問題の波紋はトラック一般へとは広がらなかった。あるいは車一般へとは拡大しなかった。
[フランス革命]
◎別の例をあげると、1789年7月14日、当時は火薬庫であったバスティーユ牢獄の襲撃がキッカケになって、「フランス革命」(fromWikipedia)が勃発した。
パリでの事件が伝えられると争乱はフランス全国に飛び火し、暴動を起こした農民達が貴族や領主の館を襲って借金の証文を焼き捨てるという事件が各地で発生した。
[普遍性の高い問題として扱う]
◎あくまで個別の問題として扱うのか、それを期・機に一般的、より普遍性の高い問題として扱うのかである。
[全国に飛び火させる]
◎あくまで「バスティーユ牢獄の襲撃」だけに留めるのか、「フランス全国に飛び火」させるのかである。
[社会全体の問題へと格上げ]
◎私は、最高裁で判決が出ることによって、彼個人の問題から社会全体の問題へと格上げされることになると思っている。
参考資料→(私のブログ)「「Winny」開発者は著作権法違反のほう助罪へ無罪判決」
参考資料→(私のブログ)「”Winny”開発者の有罪判決に思う」
[社会の共通理解として論じる]
◎このようにして、個人の問題が、個人の発明品が、個人の思想が、個人の言動が、社会へと浸透して、受け入れられてゆくのだと思う。社会の共通理解として論じられる。
[石が波紋を作って広がる]
◎社会への浸透方法が、新聞や本などのメディアである場合が多い。これは池に投げ込んだ石が波紋を作って、どんどん周りへ広がってゆくのに似ている。
[判定する基準作り]
◎今回は、メディアと裁判という形で、波紋が作られていっている。裁判は受け入れか拒絶かを判定する基準作りになる。メディアだけだと、大山鳴動して鼠一匹に終わる可能性だってある。
[自主的判断の下で製作]
◎裁判によって判定基準が確定すると、次からは、その基準を基に自主的判断の下で製作が行われるようになるだろう。
[基準確定が社会的な納得]
◎裁判による判定基準の確定が、社会的な納得を与える。問題解決によって、それは確定事項として、次へ進む礎(イシズエ)となる。学生がある問題を解くことによって、それよりもさらに高い問題へと取り組むように。
[裁判は社会的合意の形成へ]
◎そういう意味では、裁判は社会的合意の形成への最も明確な判断かも知れない。それへ、裁判員制度という形で、国民が参加するのは、民主主義という観点からは大きな前進かも知れない。
[Winnyは大幅な改善が必要]
◎私の考えは、「Winnyの持つ有用性は大きいが、今のままでは、悪用が余りにも簡単なので、社会的不利益も大きすぎる。故に、それを阻止する大幅な改善が必要だ」と思う。
[毎年数千人が交通事故死]
◎車は現代社会には必要不可欠だが、日本だけでも毎年数千人(2007年の死者数は5744人)が交通事故死している。そして、それを日本社会は容認している。
[悪用はゼロにはならない]
◎それと同じように、Winnyを使っての悪用はゼロにはならないだろうし、それを求めるのは酷すぎる。しかし、現状では悪用が余りにもはびこりすぎている。
[成熟の証]
◎どんなすばらしいものであっても、何パーセントかの犠牲・悪用・不正は覚悟しなければならない。それが成熟の証かも知れない。