真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

恥や差別(感)や劣等感はどこから来るのだろうか

「恥」
◎私は以前(2007/10/22)、「恥ずかしいとはどういうことなのか」という題名で「恥」について書いた。今日はそこから発展させて述べたい。今回は、物理法則とも関連付けてみたい。
「比較にもとづく劣位感情」
◎私は、その記事で、「恥とは、なんらかの比較の基準にもとづく劣位の感情」だと言った。「劣位」に基づく「一時の感情」が「恥」だとすれば、それに対する「ずっと続く感情」は、「劣等感」である。
「劣等感」
◎「劣等感」といえば、「アルフレッド・アドラー」を思い出す。彼は、「アドラー心理学(個人心理学)」を打ち立てた。
「個人心理学」
◎「個人心理学」は、「人間の生を、個人という全体が個人の必要な機能等を使って目的に向かって行動している」という。限定すれば、「人間は、相対的にマイナスの状態(劣等感を感じる位置)から、相対的にプラスの状態(優越感を感じる位置)を目指して行動している」と。
「差別」
◎「劣位」については、「劣位(や優位)」に基づい(を軸にし)て、相手を見下した評価(価値判断)をすると「差別」へと導かれてしまいがちだ。「差別」は「見下した評価」を行動化(言語化を含めて)したものである。
「競争か協同か」
◎所で、人が二人いれば、その二人の関係は、1)競争するか、2)協同するか、3)無関係を保つか。のいずれがであろう。
「男性原理」
◎もし、1)「競争する」ならば、「男性原理」が強く働いているであろう。「男性原理」(閉鎖系)は、「個性」、「分離・分解」、「言語」などを際立たせる。脳で言えば、「左脳」である。
「女性原理」
◎逆に、2)「協同する」ならば、「女性原理」の方が強く影響しているだろう。「女性原理」(開放系)は、「集団」、「結合」、「イメージ」などを優先させる。脳で言えば、「右脳」である。
ヘラクレイトス
◎所で、ギリシア人の哲学者で、自然哲学者の「ヘラクレイトス」は、「万物は争いより生じる」と言った。つまり、万物は、「男性原理」によって作られるといったといえる。
「科学や物理学は何を述べる」
◎優位とか劣位とかについて、これまで心理学や哲学から述べたが、科学や物理学はそれらについて何かを述べているだろうか。
エントロピー増大則」
◎まず私が思い浮かべるのは、「エントロピー増大則」である。例えば、熱は、「熱い方から低いほうへ移り」「均等・均質」(平衡状態)になろうとする。
「均等・均質」
◎「エントロピー増大則」は、「熱い方」を優位と見ると、「熱い方」(優位)から「低いほう」(劣位)へ熱が移り、「均等・均質」になろうとするという。心理学的にいえば、これは「女性原理」である。
「母性社会日本の病理」
◎余談だが、日本は、この「女性原理」の方が強く働いているといえる。「米国の合理的な社会制度・思想に触れ」た「河合隼雄」は、その対比から見えてきた「母性社会日本の病理」という本を表した。
注)この著書では、「男性原理・女性原理」ではなく、「父性原理・母性原理」を使っている。
参考資料⇒「母性社会日本の病理」by河合隼雄(fromアマゾン)
「変化不可能性」
◎「均等・均質」になってしまった状態が、「エントロピーが最大化」した状態である。なお、「エントロピー」を広く捉えると、それは「変化不可能性、情報の無さ、乱雑さ」を示す。
「何の差違も見られない」
◎「エントロピーの最大」とは、もうそれ以上変化が起こりえない状態である。そこにはもはや何の差違も見られない。つまり、「女性原理」が最大に発揮された状態である。
「環境から分離」
◎それ故に、生命の単位である「細胞」は、周りの環境から「分離」することによって形成され、維持される。外部と差異を必要とする細胞には、外部と隔てる「膜」を持つ。
エントロピー増大則に逆らう」
◎膜によって、内と外とを隔てなければ、生命を維持できない。「ヘラクレイトス」が「万物は争いより生じる」と言ったのは、自然の持つ「エントロピー増大則」に「逆らわなければ生命を維持できない」からだろう。
「生命を維持するには」
◎生命を維持するには、環境に対して、常にエントロピーを少なくしておかねばならない。その行為を「争い」(「競争する」)と見たのだろう。死ねば自然と同質化する。
「環境との競争」
◎とすれば、「生命を維持する」行為は、環境との競争である。欧米では、その意識が強い。それが、ヨーロッパで、(ダーウィン)進化論が生まれ出た理由かも知れない。
散逸構造
◎さらに、科学や物理学は、「均等・均質・平衡」とそれに対抗する「差異」に関して、イリヤプリゴジンに、「散逸構造」(=from "Wikipedia")を提唱させた。
「定常的な構造」
◎「散逸構造」とは、「平衡状態でない開放系、つまり、エネルギーが散逸していく流れの中に自己組織化によって生まれる、定常的な構造」である。
「開放系」
◎やり取りのある開放系は、1)エントロピーは増大せずに一定範囲に保たれうる。2)系の内部と外部の間でエネルギーのやり取りもある。
「定常的散逸構造を維持」
◎生命は、自然が持つ「エントロピーの最大化」に逆らって(競争して)、自己組織化によって生まれる定常的散逸構造を維持する。
「競争か協同か」
◎所で、「内部と外部の間でエネルギーのやり取り」を競争と見るか、協同と見るか。自然界を見てみると、時に競争と見え、時に協同と見える。
「自由と平等」
◎自然界では、差異(違い)があるから生きられる。西欧では「自由と平等」というが、「自由」(競争/男性原理)と「平等」(均質/女性原理)とは、相容れない性質である。
参考資料⇒(私のブログ記事)「自由と平等は対立概念?」
「中庸、中道」
◎しかし、すべては矛盾的自己同一である。それへの解答として、東洋や仏教では、中庸、中道という。バランスが大切であるという。