真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

あらためて、iPS細胞って、何なのだろうか

「生命の未来を変えた男」
◎テレビをつけていて、ある番組が終わり、他に何かいい番組がないかと、チャンネルを切り替えていると、偶然NHKスペシャ「“生命”の未来を変えた男〜山中伸弥・iPS細胞革命〜」が目に飛び込んできた。
注)2010年 9月23日(木):午後1:05〜午後1:55(50分)ジャンル:ドキュメンタリー/教養>宇宙・科学・医学
山中伸弥教授」
◎私は以前このブログで、「京都大山中伸弥教授、再生医療へのさらなる一歩」(2008/02/17)、「再生医療へ向けた新たな一歩か」(2007/11/22)、「ヒトの皮膚から人工多能性幹細胞を作ることに成功」(20071122)という記事を書いた。
「再生治療」
◎あるいは、再生治療に興味があったので、「世界初の心筋シートを心臓に張る再生治療例」(2007/12/16)という記事も書いた。
「iPS細胞」
◎ということで、今回は、「iPS細胞」に関連したことを書いてみたい。私は以前「宇宙原理としてのトーナメント形式」(2010/01/22)とか、「森羅万象は、「トーナメント形式システム」」(2010/01/21)とかの記事を書いた。その「トーナメント形式」とも絡めて話してみたい。
「恥をかくだけ」
◎もちろん、「iPS細胞」については、私が書くまでもなく、多くの専門家が書いているので、結果的には、恥をかいただけに終わってしまいそうであるが。
参考資料⇒「世間を賑わす「iPS細胞」とは何だろうか」=from"東洋経済オンライン"
「トーナメント形式」
◎まず、「トーナメント形式」であるが、これは、例えば、高校野球が採用している試合形式である。試合結果の頂点が優勝校、最底辺が出場全校である。
「受精卵=トーナメント形式の頂点」
◎そこで、細胞を、「トーナメント形式」で表せば、頂点が「受精卵」(個体のスタート点)で、最底辺は特化した分化細胞(体細胞)である。
人工多能性幹細胞
◎所で、「人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells)=iPS細胞」は、頂点(受精卵)ではなく、そこから、幾分か下に下がった細胞である。
ES細胞(胚性幹細胞)」
◎"Wikipedia"の「人工多能性幹細胞」では、「iPS細胞」を、次のように定義している。

ES細胞(胚性幹細胞)のように非常に多くの細胞に分化できる分化万能性(pluripotency)と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持たせた細胞
「分化万能性」
◎「iPS細胞」は、「分化万能性」(下への細胞分裂)と「自己複製能」(横への細胞分裂)を持つ。しかし、この「自己複製能」は、下手をすると、癌細胞へとばく進する可能性を持つ。
「悪性腫瘍(癌細胞)」
◎「悪性腫瘍(癌細胞)は、生体の細胞がコントロールを失って無制限に増殖するようになったもの」で、「正常な状態では細胞数をほぼ一定に保つため、分裂・増殖しすぎないような制御機構が働いている」。引用from「悪性腫瘍」=on"Wikipedia"
細胞分裂
◎所で、その細胞分裂には、(能力的に同じ機能を持つ)横への細胞分裂と(能力的に機能限定する)下への細胞分裂とがある。「トーナメント形式」で言えば、横への広がりと下への下降。
「臓器に分化誘導」
◎「下降」的細胞分裂に関しては、「分化万能性を持った細胞は理論上、体を構成するすべての組織や臓器に分化誘導することが可能」と表現されている。
「宇宙原理の基本形態」
◎これは、例えば、言葉の分類で、「文房具」(上位項目)の項目の下(下位項目)に、鉛筆、筆箱、消しゴム、筆、などなどが属しているのと同じ形式である。宇宙原理の基本形態である。
「元をたどれば受精卵」
◎あるいは、「ヒトの体はおよそ60兆個の細胞で構成されているが、元をたどればこれらの細胞はすべて、たった一つの受精卵が増殖と分化を繰り返して生まれたもの」と紹介されている。これは「トーナメント形式」のトップ(一つの受精卵)とボトム(60兆個の細胞)。
「遺伝子的には全く同一」
◎所で、下へと分化しても、能力(機能)を失うのではない。「分化万能細胞も体細胞も核内にもつ遺伝子の塩基配列は(テロメアなど一部を除き)全く同一」である。トップもボトムも、遺伝情報量は同じである。
「遺伝子が発現しない」
◎では、その違いは何か。「ES細胞はOct3/4やNanogなどの遺伝子を発現してES細胞としての分化万能性を維持しているが、終末分化した体細胞ではこれらの遺伝子は発現していない」。
「発現が抑制」
◎ボトムの「全ての体細胞は、Oct3/4やNanogの遺伝子を核内に持ってはいるが、様々な転写因子やエピジェネティック機構により、発現が抑制されている」。つまり、トップとボトムの違いは、発現する遺伝子の量の違い。トップは多くて、ボトムは少ない。
「自己限定」
◎哲学者、西田幾多郎は、このような現象を「自己限定」(反対が「絶対無」)と呼ぶ。体細胞では、上位機能は封印されている。この「自己限定」を外して初期化(スタート地点へ帰還)させる遺伝子がある。
下流遺伝子の発現を制御」
◎例えば、遺伝子「Sox2」は、未分化性特異的転写因子であるOct-3/4と協調して様々な下流遺伝子の発現を制御しうる機能を持つ。
「上流遺伝子は下流遺伝子の発現を制御」
◎つまり、遺伝子も「トーナメント形式」で(社長や取締役的)上位機能を持っているものや、下流遺伝子(ヒラ社員)に属すものもある。上流遺伝子は、下流遺伝子の発現を制御している。
注)上位、下位は下手をすると差別をも意味するから、上流、下流を使っているのだろうか。
「4種類の遺伝子を導入」
◎体細胞(皮膚、心筋細胞などなど)に、発現が抑制されている「Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc」の4種類の遺伝子を導入することで、この遺伝子たちの制御下にある多数の遺伝子が発現し、その結果(頂点に近い)iPS細胞が、京都大山中伸弥教授らによって創造された。
「再度頂上近くまで遡らせる」
◎つまり、これら4種類の遺伝子は、初期化遺伝子、タイムマシーン遺伝子(立花隆命名)ともいえ、「トーナメント形式」を下ってきた細胞を、再度頂上近くまで遡らせる機能を持つ。
「若返りも夢ではない」
◎これによって、古くなった部品(例えば、心臓や肝臓など)を取り替えるのも可能になるに違いない。さらには、若返りも夢ではなくなる。でも、受精卵にまで若返るのはゴメンだが。しかし、宗教では、受精卵の位置を神の座と呼ぶ。
注)仏教では、人間は誰でも、受精卵の位置に返り咲く可能性(仏性=仏と同じ性質を持ち、仏になる可能性)を持つと説く。