真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

トーナメント形式構造に働く「統合と分解」機能

[統合力の根源]
◎このブログで前々回に書いた(「トーナメント形式における「統合と分解」の統合力の根源」)は、統合力の源泉に関して、精神世界(宗教、哲学、心理学など)での提唱を見てきた。
[科学が扱う物質世界]
◎今回は、精神世界に対して物質世界での話をしたい。つまり、科学が扱う物質世界では、「統合と分解」がどう紹介されているかを見てみたい。
[結合]
◎まず、「化学」では、「統合」を「化学結合」(fromWikipedia)と見る。それは、分子や結晶中で原子の間を結び付けている力である。この力の源泉(根源)を解き明かした理論は存在しない。
[無限後退]
◎何事に関してもそうだが、根源をたどっても出発点は見つからない。必ず、どこまでさかのぼっても、出発点が得られない「無限後退」する。
[根拠を延々と尋ねる]
◎だから、相手をやりこめる簡単な方法は、その根拠を延々と尋ねることである。それが先手必勝技である。相手はいつまで経っても反転攻撃には出られない、守勢に立つしかない。
[分解]
◎それはさて置き、「結合」に対する矛盾的同一である「化学分解」(fromWikipedia)は、化合物が2種以上の簡単な物質に変化する化学反応である。

水は、電気分解によって水素分子と酸素分子に分解することができる
注)タンパク質(アミノ酸)など高い階層レベルでは、結合とは言わず「合成」という。
[階層構造を下降]
◎分解は、結合の反対方向、「階層構造を下降方向」へと進むことである。それは「より単純な方向」へと進むことでもある。
[引力と斥力]
◎化学に対して、物理では「結合と分解」ではなく「引力と斥力」(fromWikipedia)を使う。
引力とは、2つの物体の間に働く相互作用のうち、引き合う(互いを近付けようとする)力のこと。
一方、斥力とは、同様に2つの物体の間に働く相互作用であるが、反発し合う、すなわち互いを遠ざけようとする力。
電磁力(静電力と磁力)には引力と斥力の両方が存在する。
古来より引力と斥力は、漠然とではあるが、世界を説明する重要な対になる概念であった。引力と斥力で世界の全てを説明できると考えた哲学者もいた。 現在でも力は重要な概念であるが、もちろん引力と斥力だけで世界や物理現象を全て説明することはできない
[自己組織化]
◎ある程度の複雑性を帯びると、「結合」は「自己組織化(自発的秩序形成)」(fromWikipedia)とも呼ばれる。それは、生物のように他からの制御なしに自分自身で組織や構造をつくり出す性質のことである。
スチュアート・カウフマンは地球の生命の起源について多大な考察をし、生物のシステムと有機体の複雑性はダーウィン自然選択説以上に、自己組織化と熱平衡状態から大きく離れた系に由来するのかもしれないことを主張している。
[構造化と崩壊]
◎「統合と分解」は目には見えない「機能・働き」であるが、それらが働いた結果出来上がる「形」に注目すれば、「統合と分解」の代わりに「構造化と崩壊」という言葉でも言い表せる。
[散逸構造]
◎「構造化」と言えば、「イリヤ・プリゴジン」が提唱した「散逸構造」(fromWikipedia)が思い浮かぶ。
[入力で構造を維持]
◎例えば、「潮が流れ込むことによって生じる内海の渦潮のように、一定の入力のあるときにだけその構造を維持しているような構造」を「散逸構造」とよぶ。
[定常開放系]
◎一定の入力のある「定常開放系」、「非平衡開放系」は、エントロピーが一定範囲に保たれ、系の内部と外部の間でエネルギーのやり取りもある。生命現象はそのような「定常開放系システム」とも見なせる。
[自己創出]
◎「入力のあるときだけその構造を維持する構造」といえば、「オートポイエーシス(自己創出、自己産出)」(fromWikipedia)が思い浮かぶ。
細胞では、核酸酵素代謝物のような様々な生化学的な構成要素からなり、細胞内の組織化された構造を作り上げているが、物質とエネルギーの外部との交換に基づいて作動しているこれらの構造は、その構造を維持しつづけるようにその構成要素を絶えず生成または分解している。
このような観点を採るとき、システムにとっては自己維持のみがその機能であり、それ以上でも以下でもないとみなすことができる。
[機能だけを見る]
◎これは、今までの視点が、「構成要素」「構造」(物質面)を見ていたが、「オートポイエーシス」理論は、「機能」(生成または分解)だけを見る。
[抽象概念]
「トーナメント形式における「統合と分解」の統合力の根源」で、「統一力」というような抽象概念を取り上げた。
[精神は抽象を見る]
◎精神が強く働くと、物質面よりも、その物質(の中)に働く機能(抽象概念・行動・働き)がよく見える。精神は抽象を見て、肉体は物質を見る。
[物質や人間の間に働く機能]
◎そのような目で見る人々、宗教家、哲学者、心理学者は、どうしても、物質や人間の間に働く「機能」の方を見ようとする。それは別な言い方をすれば、「抽象化」である。