真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

トーナメント形式システムにおける「矛盾的自己同一」

[トーナメント形式]
◎私のこのブログで、「森羅万象は、「トーナメント形式システム」」(2010/01/21)と、「宇宙原理としてのトーナメント形式」(2010/01/22)とを書いた。
[矛盾的自己同一]
◎今日は、その続きを書きたい。それらの二つの記事中で使った言葉(キーワード)、「矛盾的自己同一」を取り上げる。
[西田幾多郎]
◎哲学に少し興味のある方には、すぐにおわかりのことだろうと思うが、それは日本が誇れる哲学者「西田幾多郎」(fromWikipedia)の言葉から拝借した。
[絶対矛盾的自己同一]
西田幾多郎が使った言葉は、その前に「絶対」が付いた「絶対矛盾的自己同一」である。その言葉の意味は、「相反する二つの対立物がその対立をそのまま残した状態で同一化すること」である。
[対立をそのままに残した自己同一]
◎矛盾的(相反する)二つの対立物が、対立をそのままに残した状態(自己同一)である。それを可能にするのが、「階層構造」である。
[階層上昇=自己同一]
◎二つの対立物がバラバラの個別の階層にあるものが、階層を上昇することで、自己同一(分離しないで一つの物として存在)する。
[分離=階層下降]
◎例えば、色では、別々の「赤」と「青」とが結合(階層上昇)して自己同一すると、「紫」になるように。逆に、「プリズム」(fromWikipedia)は、自己同一する色たちを個別の色に分離(階層下降)させる。
[弁証法]
◎それを、ヘーゲルが、「弁証法」(fromWikipedia)という形で、表現している。

全てのものは己のうちに矛盾を含んでおり、それによって必然的に己と対立するものを生み出す。生み出したものと生み出されたものは互いに対立しあうが(ここに優劣関係はない)、同時にまさにその対立によって互いに結びついている(相互媒介)。最後には二つがアウフヘーベン(aufheben, 止揚,揚棄)される。このアウフヘーベンは「否定の否定」であり、一見すると単なる二重否定すなわち肯定=正のようである。しかしアウフヘーベンにおいては、正のみならず、正に対立していた反もまた保存されている
[アウフヘーベン]
◎「アウフヘーベン」とは、「階層」が上がることである。「対立していた反もまた保存」されているとは、分解して、階層が下がると、「互いに対立しあう」関係を「顕在的に示しながら」、分離するから、消えていないといえる。
[対立の潜在化]
ヘーゲルは述べていないが、「アウフヘーベン」するにつれて、階層が上昇し、その構造は、「トーナメント形式」を示す。そして、「「互いに対立しあう関係」は消滅するのではなく潜在化する。
[磁石]
◎「矛盾的自己同一」の典型的な物を紹介する。それは「磁石」(fromWikipedia)である。
磁石にはN極とS極の2つの磁極がある。これらの磁極は単独で存在することはなく、必ず両極が一緒になって磁石を構成する。永久磁石を半分に切っても、S極だけ、或いはN極だけの磁石にはならず、S極とN極の双方を持つ2つの小さな磁石ができる。
[位置関係]
◎それ以外にも、位置関係は、「左」が存在するためには、「右」が存在しなければならない。同様に、「上」が存在するためには、「下」が存在しなければならない。まさしく、「対立によって互いに結びついている」。
[陰陽]
◎森羅万象の「矛盾的自己同一」を説明する「陰陽」(fromWikipedia)思想が中国で起こった。
陰陽とは、古代中国の思想に端を発し、森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から陰(いん)と陽(よう)の二つに分類する範疇。陰と陽とは互いに対立する属性を持った二つの気であり、万物の生成消滅と言った変化はこの二気によって起こるとされる。

[八卦]
◎それと関係のある「八卦」は、「太極(1)→両儀(2)→四象(4)→八卦(8)→16→32→六十四卦(64)」へとトーナメント形式で展開していく。
八卦の図式⇒
[西洋と東洋とで]
◎「万物の生成消滅」という変化に対して、西洋では、「弁証法」がそれを解説し、東洋では、「陰陽」説がその方法論を唱えた。同じ現象を違った言葉と表現で説明しているが、両者とも同じものを見ている。
太極図⇒
[トーナメント形式システム=矛盾的自己同一]
◎それらを踏まえて、哲学者の西田幾多郎は、「万物の生成消滅」方法を「絶対矛盾的自己同一」という言葉(キーワード)で表現した。私は、それを「トーナメント形式」システムと呼ぶ。