真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

食材偽装は、料理者側だけでなく、消費者側も反省を

車海老と表示してあったのに、実際に使ってあったのは、ブラックタイガーであったという偽装表示問題。
ごく一部の問題なのかと思いきや、出るわ出るわで、パチンコ店の広告文句を思い出してしまう。
更には、「羊頭狗肉」という言葉をも思い出してしまった。
もちろん、一義的には、偽装するほうが悪い。だが、食べる側にも大きな問題があったのではないか。
味覚で違いをわかった人がどれほどいるのだろうか。消費者の側から、この問題が取り上げられたのではない。
一人が出すと、後から後から次々に偽装表示問題を出しはじめた。この際、皆に紛れて出しちまおうという気なのだろう。大きく叩かれるのは最初の数人だけだから。
列をなして次から次へと、発表会を催している。最初は本気で怒っていても、これだけ多いと、最後には苦笑で終わりそうだ。チクショウ。
でも、これらに関して、問題提議をした消費者はないみたいだ。すべては、調理者側から自発的に発表があって発覚した問題である。
つまり、ほとんどの人が、単に、ネームバリューだけを楽しんでいることになる。
参考)ミシュランにも掲載 近鉄系高級旅館「三笠」の前料理長、当初から産地偽装を認識 - MSN産経ニュース
ちょっとしたからかいですが、記事内で「前料理長は「まずいという認識がなかった」と説明」。このまずいはどちらの「まずい」ですか。味ですか、それとも偽装表示ですか。それれとも両方をかけたのですか。それならばあなたは言葉遊びはうまいですね。
例えば、グッチーのバッグを買ったつもりだけれども、それは偽物であった。でも、買った当の本人は全く気が付かないのと同じだ。
中身で勝負なのか、外の表示で勝負なのか。味覚音痴がほとんどならば、メニューを誇大表示してみたいという誘惑が生まれてくる。
実際、誇大表示しても、どこからも、誰からも、苦情が出てこない。そうなれば、いつの間にか、誇大表示、偽装表示が常態化し、罪悪感が薄れてしまう。
日本では、就職でも、人物評価ではなく、今まで、どこの大学を出たかの学歴(ネームバリュー)を重視してきた。
本当のグルメであれば、表示ではなく、味や、料理の工夫を楽しむべきではないか。
「食に詳しい雑誌編集者の江弘毅さんは「客と店には顔の見える関係というべき信頼関係があった。それが、20年ほどのグルメブームを経て、食材の産地やブランド名といった『皿の上の記号』が重視されるようになり、純粋に料理を味わうのでなく、グルメの雰囲気を楽しむことが目的になった。その記号重視がもっとも悪い形で出たのが今回の問題」と話す」。引用from"利益優先、偽装メニュー 業界の慣習、消費者とずれ:朝日新聞デジタル"
日本人がまだ味を聞き分ける力を持つ段階にまで達していないことの表れではないか。あるいは、本来のグルメ志向に戻るべきとの警鐘なのではないか。
今のグルメブームを見ていると、どこそこ産地の食材に余りにもこだわった、いびつさが極端に出たように思える。
馴染みの店を持って、そこで、料理を楽しみ、味を楽しみ、雰囲気を楽しみ、会話を楽しむ。
だのに、何を食べたか、どんなに高いものを食べたか、どんなに珍しいものを食べたか、有名シェフの料理だ、お菓子だ、スイーツだとか。
消費者側が、そこにこだわりすぎるので、調理者側は、腕ではなく、味で勝負でもなく、食材の豪華さで勝負をせざるを得なくなる。
単なる表面の記号のみを話題にする、重視する消費者が、料理者側を誘導した面もあるように思える。