真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

増加する小学生の校内暴力

[生徒の暴力]
◎今日は、文部科学省の"生徒指導上の諸問題の現状"の調査結果が報道されたので、それに基づいて話を進めてゆく。
[校内暴力件数は3万]
◎2005年度(去年度)の小中高(学校)全体の校内暴力件数は3万283件(0.86%増)で、その内、中学生は2万3115件(0.02%増)であり、高校生は5150件(2.5%増)であった。
[小学生の暴力件数増加]
◎公立小学校の生徒が05年度中に起こした学校内暴力は、2018件(前年度比では6.8%増加)である。暴力件数は、3年連続で増加して、05年度は過去最多となった。とはいえ、中学校の十分の一もなく、高校の半分にも満たない。
[校内暴力はある種の反抗の意思表示]
◎中学では2万3千件強と、断トツに多いのは、中学二年が反抗期のピークだといわれているのと関係があろう。つまり、校内暴力はある種の反抗の意思表示でもある。だから、単に学校の指導力不足というだけでは片付かない問題だ。反抗は誰しもが通る道である。
[対教師暴力と器物損壊]
◎小学校の件数の内で、生徒が言動を注意された結果、"逆上して足をける"など、対教師への暴力は、過去最多の464件であった。小学校内暴力の内で、最多は"児童間暴力"の951件(4.1%減)であった。それ以外に、582件(7.0%増)の器物損壊が際だつ。校内暴力で11人が警察に補導された。
[出席停止]
◎ある小5男子生徒が器物損壊で10日間の"出席停止"となった。学校教育法改正(2002年1月施行)によって、出席停止の適用範囲が明確化され、適用しやすくなった。しかし、去年が小学生では初めて事例である。欧米では珍しくはないが。
[他の子どもの学習権保障]
◎出席停止は、問題行動を繰り返す生徒がいる場合、他の子どもの学習権を保障するため(当該校ではなく)市町村教委が保護者に命じる制度である。その点、義務教育ではない高校では、学校独自でずいぶん前からごく普通に採用されている。
[1人の児童が暴力を繰り返す]
◎教師への暴力の増加傾向について、"259人で464件と、中高生に比べて1人の児童が暴力を繰り返すケースが多い。理由として、しかられた後に気持ちの切り替えができなかったり、注意を聞けないケースもある"、と文部科学省は分析する。
[担任任せ]
文部科学省は、その原因として、"担任任せな実態"、"学級担任制で、担任一人に任せきりになるため、問題が放置されやすい"、と校内での一致した対応を求める。学級王国の弊害である。生徒の暴力への小学校側の危機意識はもともと希薄である。
[親から反抗心を引き出した結果]
◎保護者の協力不足は、保護者が、子どもへの指導は親への指導と感じた場合が多い。つまり、保護者との連携ではなく、親から反抗心を引き出してしまった結果だ。
[集団生活不足]
文部科学省は、小学校で校内暴力が増加している理由として、"感情のコントロールがきかない"、"忍耐力不足"、"自己表現力の貧弱さ"、"人間関係を築く力の低下"が増加傾向にあるのが一因と指摘する。これはさらにさかのぼれば、幼い頃から集団の中でなじませてゆかないことも原因の一つだ。
[有識者の意見]
◎その原因について有識者たちの間では、"家庭のしつけの見直しを"、"ゆとり教育の反動による詰め込み教育の結果"、という意見が数多く見受けらる。家庭のしつけの見直しをというが、具体的に誰がするのだろうか、親への指導を。
[保護者が注意しない]
◎子どもたちがキレる原因のひとつとして、子どもの暴力行為がわかっても、保護者が注意しないといった事例も報告されている。これは親が自ら悪役を演じたくない、との思いから来ることもある。男子の場合、男は腕力があるのがよいと、暴力に肯定的な親もいる。
[教師に逆上]
◎小学生の暴力が教師に向かう傾向が強まっている点について、文科省は"けんかの仲裁に入った教師に逆上し、矛先を向けるケースが多いようだ"、という。
[ささいなことで暴力に走る]
文科省は、"ささいなことで短絡的、突発的な暴力に走るケースが目立つ"と暴力行為の"低年齢化"に警戒感を強めている。"運動会の練習中、<整列>の指示に反発して教師をけった"(小6男子)、"あいさつの仕方を指導した担任にいきなり殴りかかった"(小5男子)など、衝動的に暴力に走った"キレる"事例が報告された。
[児童間暴力と器物破損]
◎"悪口を言われたと思って1年生の顔を殴った"(小3男子)という"児童間暴力"が、前年度比16.2%増の992件。"着席するように教師に指導されて腹を立て、教室の窓ガラスを割った"(小3男子)と、物に当たる器物破損。
[忍耐力やコミュニケーション能力不足]
文科省は"忍耐力やコミュニケーション能力の足りない児童が、気持ちを言葉で表現できず、暴力に走るケースが多いようだ"、という。 感情が、上へ向けて理性と手を組んで表現されるか、下へ流れて腕力として表現されるか。上へ向けて表現するように指導するのが教育だ。