真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

境界線の喪失

[Web2.0の特徴]
◎前日にこのブログで書いた、"Web2.0"の一つの特徴は、さまざまな面における、境界線の喪失崩壊である。そのことに関して述べたい。
[大前研一]
◎以前このブログ"大前研一を読む"でも紹介した、大前研一氏は、"ボーダレス経済"という。(ボーダ(border:国境・境界線)+レス(less:ない)=境界線のない)。この"ボーダレス"現象がネット以外でも、いろいろな分野で進行している。
[自由な移動]
大前研一氏の言葉。"85年のプラザ合意によって、世界の経済は連結経済、つまり「ボーダレス経済」になったことだ。いわば国境そのものが実線から点線になった結果、経営資源である資本や技術、顧客、企業が、国境をまたいで自由に移動するようになった"。
[世界経済は霜降り肉]
大前研一氏はこうもいう。"世界経済はもはや『霜降り肉』になっている。赤身なのか脂肪なのか分からない。これはすべてについて言える。仮に日本が「中国製の服」をボイコットしても、ボタンはフィリピン、糸は日本、生地はエジプト、縫製は中国──。これが実態だ"、と。
[純粋の国産品はもはやない]
◎事実、中国は日本製不買運動をやめた。それは自分で自分の首を真綿で絞める結果にもなるからだ。日本製であっても、それを製造する作業員は自国の中国人自身であるのだから。しかも、その素材もかなり自国の物である。
[電子商取引]
◎境界線喪失の流れは、ネット上の商取引にも広がっている。商品を販売する側と購入する側の明確な境界線の喪失(実線から点線へ)である。
["店から個人へ"から"個人から個人へ"]
◎米"アマゾン・ドット・コム"は、自らが商品を仕入れて、それを消費者に販売する中央集権(店から消費者への商品の流れ:一点から放射状に拡散)的方式だ。
◎しかし、その後、個人同士で商品をやり取り・売り買いする場(オークション)を提供する米"イーベイ"が登場した、ヤフーや楽天のような。
◎店が多数の点(個人消費者)とを結ぶという中央集権から、店は点と点を仲介するサーバ(中継点)的存在(ネットワーク)へと移行する。とはいえ、もちろん以降も中央集権的店は存在し続けるだろうが。
[多様な道具の普及による選択範囲の増加]
◎これは、選択範囲の増加、多様化ともいえる。これに関して、"Yahoo!Everywhere構想"というのがある。ブロードバンドが安く提供され、最も進んだカーナビ・大型テレビの普及したことで、パソコン・携帯電話・テレビ・カーナビからもヤフーのサービスを使えるようにできる、という。
[ブラウザIEのシェア後退]
◎選択範囲の増加ということで、9月分のブラウザー世界シェア推計を見てみよう。首位の"Internet Explorer"(IE)は82.1%(8月は83.02%)に後退した。1年前の05年9月時点は、86.87%だった。このような長期低落傾向に歯止めがかからない。
[Firefoxのシェア拡大]
◎逆に、2位の"Firefox"は7.55%(05年9月時点)から12.46%(8月は11.84%)に上昇した。3月から10%台に乗せ、その後も勢いは衰えることがない。
◎3位の"Safari"は3.53%(8月は3.21%)に拡大した。 4位は"Netscape"で0.85%(8月は0.87%)、5位は"Opera"で0.64%と横ばいに推移した。
[選択肢の増加]
◎このように、IEが完全制覇から徐々に後退して、少しずつ利用者拡大するFirefox(私も愛用)やSafariNetscapeOperaという選択肢も残っている。
[独立自存から異業種との提携・合併・買収]
◎ネット関連大手、"ヤフー(Yahoo)"、"グーグル(Google)"、"マイクロソフト(Microsoft)"の3社は、拡大成長するネットサービスで、顧客獲得(囲い込み)競争で優位に立つためにパソコン、通信、メディアなど異業種と提携・合併・買収を進めている。
[手段の多様化・多角化]
◎ごく最近も、Googleは"You Tube"を買収した。"You Tube"は誕生して数年で、とてつもない巨額を手にした。Googleはそれだけの価値ありと判断したからだろう。これからは動画が主流の時代に入っているからだろう。
[個人が主役の時代へ]
◎私は、商取引で、["店から個人"から"個人から個人へ"]と見出しした。店を権威者・権力者・既存メディアと置き換えると、個人はブログと置き換えられよう。ブログやSNSが隆盛しているのは、店(大手マスメディア)から個人(ブログ)へと情報発信者の優位性の移動が起こりつつあることを意味しよう。
[国民が情報発信手段を手に入た]
◎これまで、既存マスメディアは、国民の声を集めて世論を形成し、社会を変えるといった役割を担ってきた。しかし、ネット出現後、国民が情報発信手段(ブログ・SNS)を手に入たことによって、自己形成した意見を自由に発言し始めた。それに同意する人たちを集めて、意見・ネット世論を形成することで、今や大きな力として認可され始めている。
[真の民主主義]
◎個人のバラバラな小さな意見で、影響力を発揮できずにいたが、ネット世界で仲間に呼びかけ、集団になることで、巨大組織(政府・大企業・メディアなどの既成組織)に影響を及ぼし始めた。個々を束ねて大きな組織に立ち向かうのは、真の民主主義の姿といえよう。