真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

官僚組織の縦割りと構造改革

[官僚による官僚のための官僚政治]
◎私は、以前にブログでこう書いた。"官僚による、官僚のための、官僚政治"。もちろん、これはリンカーンの言葉、"人民による、人民のための、人民の政治"、に対するパロディー(風刺・滑稽を感じさせる改変)である。
[最大の敵は官僚組織]
構造改革(国の経済産業構造の転換)に対する最大の敵はこの官僚組織である。というのは、日本の官僚組織機構は余りにも強固である、いろんな意味において。
[くさびを打ち込む首相補佐官]
◎阿部内閣は、この官僚政治にくさびを打ち込むべく、首相補佐官を5名を置いた。とはいっても、首相補佐官の機能や権限は未知数である。要するに、首相(トップ)が、どこを向いているか、どこの肩を持つのか、どこまで本気なのかであらかた決まる。
[権限を持つキャリア公務員]
◎念のため官僚について説明する。官僚は、通常、行政機関(特に中央省庁)の上級(の地位にある)国家公務員(キャリア公務員)である。ただし、その内で、官僚位置の公務員と特殊法人公益法人等への指揮監督や、民間企業に対するさまざまな権限を持つ地位にある者である。
[学閥の弊害]
◎日本の官僚組織において(政治家の派閥のような)学閥の弊害が指摘されている。例えば、公務員の採用時と昇進時に特定大学出身者(東京大学京都大学など)が優遇されていると指摘される。
[官僚が法案作成]
◎また、このようなことがいわれる。立法は国会の重要な機能であるのにもかかわらず、国会議員が自ら法案を起案・提出することは数少ない。実際には、法案の大部分を占める内閣提出法案を作成するのは官僚であり、議員立法ですらも多くは官僚におんぶにだっこである。
[官僚に有利な法律]
◎このように、官僚が主導して法を作成するとなれば、自分たち官僚にとって有利なように法律を作る傾向にあると批判されている。
[官僚に法案作成を丸投げ]
◎こういう事態に至っているのは、政治家が自ら法案を作成もせず、大企業が中小企業に仕事を丸投げするように、官僚に法案の作成を丸投げする状況から来る。
[専門知識を持つ官僚に依存]
◎といっても、法律起案は高度に専門化されており、作成には関連法令の調査や字句の吟味まで多大な知識と労力が要求される。こうなれば、専門知識を有する官僚に依存せざるを得ないのもうなずけるが。
[持ち場保持に全力]
◎しかし、逆に細かな専門知識を有する官僚組織は、全体としての国をどうするかには関心がなく、ただ自分たちの持ち場の保持にのみ全力を挙げる。それ故に、各部署の最高の優先順位は、国のためではなく、自分たちの立場の保持・維持である。
[縦割り]
◎この最大原因は(下に深く掘り進む)縦割りである。その結果、上から下まではきれいにつながっているが、自分の領域を外れた横とのつながりは皆無である。
[権限責任の範囲規定]
◎といっても、その責任の一端は、権限、責任範囲などの規定にもある。官僚にとって、責任の取れない部外者に、つつき回されてはたまったものではない。
[情報は上から下へ]
◎それと、情報の保持、共有などの制度にも関係がある。官僚体制では、情報は上から下へと流れ落ちる。横のネットワークはないに等しい。
[領域外情報はない]
◎自分の領域外の情報は流れてこない。しかし、時代、出来事、事件は、彼らの期待通りにはなってくれない。今の時代、この情報をどのように扱うかが、大きな課題である。
[連携行動が取れない]
◎国内の利害調整という点では、中国は一党支配で国内の利害調整がやりやすいから、改変を思い通りに進められるという良い面を持つ。それに反し、日本は、縦割りの弊害が強い官僚主導でしか進められず、連携行動が取れず、国際社会での交渉力も弱い。
[国鉄電電公社の民営化]
◎話は変わる。もうずいぶん昔の話になってしまったが、国鉄電電公社の民営化をきっかけに、それらは一気に自由化に向かった。例えば、NTT(電電公社)は市内通話から国際通話まで、あらゆる料金が安くなり、サービスも向上した。
[束縛されずに済む]
◎これは、国、実際には、公益のためという縛り、行政からの指揮監督や、民間企業への権限を持つ官僚からの指導通達などに束縛されずに済むからである。
[縛りを解き放つ構造改革や民営化]
◎これらの縛りを解き放つのが、構造改革であり、民営化である。しかし、それは、国、政府、官僚が自分たちに有利になる方向へと引っ張ってゆけないということでもある。
[小泉元首相しかなしえない荒技]
◎つまり、構造改革、民営化は、国(政府、官僚)にとっては、自分の手で自分の首を絞める事態である。これはまさに、自民党内にあって、しかもアウトサイダーであった小泉元首相しかなしえない荒技であろう。ということは...