真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

イジメの構造化

[表面化するイジメ]
◎今、さまざま表面化している、イジメについて述べたいのだけれども、まず最初に、"構造化"について述べる。まずは、具体例を二つ示す。
[心理学的実験]
◎一つ目。心理学的実験として、互いにまったく見知らぬ、数人から十数人を、一つの部屋へ入れてしまって、何も説明しない。その後、誰も何も説明に行かない。
[自由に任せる]
◎ただ、その状態で、数時間放っておく。もちろん、トイレや飲み物を買いに出ることは自由にさせる。また、途中でのドロップアウト(一抜けた!!)も認める。つまり、さまざまな自由を認めるが、かといって、まったく何もしない。
[何かしようと動き出す]
◎そうすると、それぞれの人が不満を言ったり、何かしようと動き出す。例えば、隣同士の者が、指導者が放ったらかしなのはけしからんと、互いに愚痴や不満や怒りを吐露し合う。小さな輪が少し出来上がる。
[指導者は何もしない]
◎それでも、指導者は外部にいて、何もしない。ケガするほどの大げんかであれば、責任上止めに入るが、それ以外特に何もしない。
[モニターで観察するだけ]
◎するといえば、ただ外部から、モニターで観察するだけ。それも、不測の事態に備えるためだけ。外部からヒントを出したり、手助けしたりはしない。
[リーダーシップを取る者が現れる]
◎そうすると、部屋の中では、リーダーシップを取る者が現れて、人々をまとめ始める。リーダーが現れると、それに対して、従う者、補足意見を述べる者、それに反対する者などが現れる。
[形が現れる]
◎そのリーダーを中心に、あたかも、砂鉄の中に磁石を置いたかのように、形が現れる、しかも波紋状に構造化する。ほぼすべての人が一つの構造として体系化する。
[規範する構造]
◎その実験の目的は、人は如何に依存的であるか、依存する、規範する構造がなければ、何もできないかを知らしめることだ。それを自覚することがその目的の一つである。これは自分を知るためにも、リーダーの育成にも役立つ。
[水槽の中で]
◎さらにもう一つの具体例。ここに大きな水槽があると仮定する。水族館のような大きなものでもよいし、家庭内の小さなものでもよい。
[水槽に道具を設置]
◎そこに、水(蒸留水)を入れて、浮き草を浮かべ、藻を放り込み、小石を敷き詰め、石をいくつか沈め、空気ポンプを設置して、隠れ家を一つ入れる。
[小魚を入れる]
◎そこに、何種類かの(熱帯魚や金魚やメダカのような)小魚を入れる。あるいは、タニシやカメや水生昆虫などを加えてもよい。
[生態系が形成]
◎しばらく(何日か)すると、そこにニッチ(生態系)が生まれる。形成される。ニッチとは、生物(動植物)や無生物などで構成される、一つにまとまった体系である。それぞれが何らかの役割を担うようになる。意識するとしない、分かっているかいないかに関わらず。
[構造(システム)形成]
◎このように、どんなもの(無機物だけならたぶん駄目だろうが)でも、範囲指定(水槽、教室、会社、草原、池など)をすると、複数であれば、互いに交流しながら、構造(システム)を形成し始める。
[いじめの問題]
◎そこで、最初に提示した、いじめの問題に入る。新学期が始まって間もない頃の、新しいクラス(学級)は、余り構造化されていない。
[誰もが不安]
◎誰もが不安である。新しい友達ができるだろうか。楽しい学校(学級)生活が送れるだろうか。クラスにとけ込めるだろうか。などなどと。
[早く構造化]
◎そこに、古いなじんだイジメがあれば、つまり、過去にいじめられていた生徒がいれば、それをここ(新しいクラス)へ持ち込めば早く構造化される。リーダーに成りたい者はそれを利用すれば、もう過去に形が出来上がっているのだから、新しく形成する必要がないのだ。
[割れ窓理論]
割れ窓理論をご存じだろうか。例えば、まっさらのきれいな壁には落書きをしづらしい。けれども、少し汚れていたら、誰かがすでに落書きした壁ならば、余り罪悪感を感じずに落書きできる。これが割れ窓理論である。
[責任感希薄する群集心理]
◎要するに、群集心理の一種。赤信号の横断歩道、みんなで渡れば怖くない、である。みんながやっているならば、私ぐらい、僕がしたって、いいだろう。責任感が希薄になる。容易に学級にイジメ構造が形成される。
[依存性を自律性へと転化]
◎これへの解決策は、各自の依存性を自律性へと転化させてゆく。自律性、自己責任、自己判断、自己解決へ向けて。割れ窓理論は、他人に依存する、他人に頼る、ことから来る、人間の依存性を指し示す。自立ある者に、割れ窓理論は当てはまらない。