[アップルコーナーが広くなってゆく]
◎最近、ヨドバシカメラに行く機会が頻繁にある。以前は近くの大型電気店に足を運んでいたが。今は、ヨドバシカメラ一本である。そこへ行って感じるのが、アップルのコーナーがどんどん広くなってゆくな、ということである。
[アップルとマイクロソフト]
◎アップル(アップルコンピュータ株式会社／マッキントッシュ[マック]は製品名)は少し前まで、マイクロソフト(株式会社)に大きく溝を開けられていた。とはいえ、マイクロソフトがすごかったのは営業戦略だけだが、ビル･ゲイツ氏は極めつきの策士である。
[iTunesの登場]
◎しかし、"iTunes"が登場(それより少し前から余震はあったが)することによって、事態は一変した。突如の大嵐、突如の大地震、突如の巨大津波であった。今まで追いかける立場にあったアップルが、今やマイクロソフトから追いかけられるようになった。
[何が巨大津波なのか]
◎マイクロソフトだって、"iTunes"に負けず劣らずのソフト、 "Windows Media Play"を持っている。さほどの違いがあるとも思えない。だのにどうして。"iTunes"の登場が、大嵐、大地震、巨大津波なのか。
[新しい使い方の提案]
◎それは、同時に新しい使い方を提案提供したからだ。"iPod"というデザイン的にもすぐれた音楽プレーヤを添えて。これは若者の心を強く捕らえた。日本の全メーカー(ソニーですら足元にも及ばない)が一丸となって体当たりしてもびくともしない強さだ。
[アップルは丸ごと提供]
◎これはアップルが丸ごと提供することから来る。機器(パソコン)もソフト(iTunes)も。アップルがすべてお膳立てしてくれる。今回はそれに加えて、新しい使い方までも添えて。
[マイクロソフトはソフトの提供業者]
◎それにひきかえ、マイクロソフトは、(OS基本)ソフトの提供業者に過ぎない。それが今まで成功した秘訣であったのだが。ソフトを作って、他業種(機器メーカー)に、それに基づいた製品を作らせて、そこにソフトを抱き合わせた。
[ソフト製造業者がリード]
◎パソコンはソフトがなければ、ただの箱なのだ。それだから、ソフト製造業者がリードして、機器(周辺機器も含めて)メーカーがその後を、ただ命ぜられるがままにただ付いて歩くだけであった。
[ソフトでは生きてゆけぬ時代]
◎アップルの成功に驚いたマイクロソフトは、アップルと同じように、機器の販売にも手を伸ばし始めた。この理由は、もはやソフトだけで生きてゆける時代ではなくなったことも大きい。かなりのソフトが無料で手に入るようになった。
[マイクロソフトを追い越すGoogle]
◎それを如実に示すのが、"Google"である。今、マイクロソフトに追いつき、追い越そうとしている企業が、"Google"と"アップル"である。いや、気持ちの上ではすでに追い越してしまっている。逆に、事実上、マイクロソフトが二社の後追いをしているのだから。
[リーダーから転落]
◎新しい提案は、二社("Google"と"アップル")から出て来る。このように考えてくると、マイクロソフトの時代、マイクロソフトが時代を引っ張ってゆくリーダーから転落したといえる。
[どこでもドア]
◎アップルの業績を急上昇させた、"iTunes"と"iPod"("アップル")が、提案したのは、ドラえもんの、"どこでもドア"である。
[個性化を提案]
◎"アップル"は、好きな時に、好きな場所で、好きなものを楽しむという、個性化を提案した。それまでは、パソコンという箱の中で快適に過ごす方法をマイクロソフトは提供してきた。そして、その箱には高いソフトが放り込まれなければならなかった。
[ソニーのウォークマン]
◎どこでもドアが、それまでなかったわけではなく、ソニーがウォークマンを世に出した衝撃の方が大きかった。ウォークマンはその足で世界中を走り(いや、歩き)回った。
[音楽、テキスト、映像、学習、仕事、趣味]
◎しかし、アップルは、音楽に始まって、テキストを、映像を、学習を、仕事を、趣味を、好きな時に、好きな場所で、好きに楽しむという方式を提案した。これは大きな変革をもたらすだろう。
[iTunesからiPodへ]
◎例えば、もう数年経てば、新聞はもはや配達するものではなく、"iTunes"から、"iPod"へ、ポットからカップへコーヒーを流し込むように、情報を流し込むものだということになるだろう。とはいえ、その頃には"新聞"というのは死語間近という事態であろうが。
[通勤の電車内で楽しむ]
◎もちろん、テレビも家の居間で楽しむよりも、通勤の電車内で楽しむものになっているかもしれない。"iTunes"を介して配信された、お気に入りの番組だけを。もちろん、ケータイのワンセグという手もあるが。
[時代に大変革をもたらす]
◎機械(iPod)がもたらしたものよりも、"好きな時に、好きな場所で、好きに楽しむ"、という方式の提案が、時代に大きな変革をもたらすだろう。
