真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

合併の背景に大学間競争の厳しさ

[大学全入時代の到来]
◎もう12年も前の、1992年にピークを迎えた18歳(大学受験年齢)人口がどんどん激減している。07年度に、少子化による大学・短大の志願者数(70万人)と定員数が同じになる、つまり、"大学全入時代"の到来である。結果、大学間競争や受験生争奪合戦がますます厳しさを増している。
[大学入学者定員割れ]
◎まだ受験者の方が多いとはいえ、大学の入学定員割れは、数年前から全国各地で群発している。昨年の段階でも、四年制私大は、過去最多の約3割(155校)が定員に達していない。このように大学の経営的環境は少子化の影響をもろに受けて危機的状況である。
[合併を模索]
◎企業と同様に、大学でも危機からの生き残りをかけて合併が盛んに模索されている。最近報道されたように、慶応大が共立薬科大を吸収合併する。早ければ08年4月の予定である。慶応大理事長は、"実務実習の際、病院や医学部があると、薬剤師育成などに絶大な力を発揮する"、と説明した。
[大学間競争]
◎私学トップ校の慶応大といえども、国立の東大や同じ私学の早稲田大などとの競争は厳しいものがある。"総合大学として薬学部を持てば、生命科学の分野など研究や教育の幅が広がる"という、教育や研究の充実が図れるのが、慶応義塾と共立薬科大との合併の背景にある。
[学校間合併]
◎これ以外の学校(法人)間の合併として、関西学院大聖和大が09年4月に予定されている。学校間合併では、すでに早くも1995年に南山大(南山学園)と名古屋聖霊学園との合併が実施済みである。
[神戸大と神戸商船大との統合]
◎大きな合併として、国立同士である、神戸大と神戸商船大が2003年10月に統合された。"海に開かれた総合大学"というイメージを明確化したい神大と、海運業が低迷する中で方針転換の必要性に駆られた商船大の期待が合致した結果である。
[国立大の独立行政法人化]
◎政府は2004年に、東京大学を含む国立の約80大学を一斉に国立大の独立行政法人化した。その趣旨は、国立大学による財政上の負担を減らすと同時に、大学の自主性・主体性を高め、経営に責任システムを持ち込むことだった。
[教育面の地域間格差]
◎所得格差がいわれているが、教育面でも、地域間格差が増大している。若者の地方地元離れと、大都市集中が加速している。大都市内の大学では定員の1.5倍もの学生を集めたところもある。こうした格差、二極化現象は、あらゆる分野、雇用、情報、文化、などにおいて広がっていることと関連する。
[都市のブランド大学に学生が流れる]
兵庫県であっても、私大・短大の大幅な定員割れ明らかになった。私立大学の半数が、私立短大では4分の3が定員割れを起こした。"都市のブランド大学に向かう学生の流れを止められない"ことが原因としてある。
[募集停止する大学]
◎大学としても座視しているわけではなく、学科新設や入試の工夫で生徒集めに奔走する。が、政府の補助金減額という追い打ちも重なり耐えきれずに募集停止する大学も相次ぐ。
[大学が地方都市の基幹機能]
◎といっても、大学が、地方都市における基幹機能としてますます重要になっている。即ち、大学を地方都市に呼び込んだのは、学生にその土地に根付いてくれて、地域活性化を促す立場に身を置くと期待したからであった。
[公開形式がばらばら]
◎地域とのつながりということで、例えば、富山大学では、教員が学部や個人のホームページを通じて論文などを公開している。しかし、形式がばらばらなので、検索には、対象教員や研究分野を絞り込まなければ探し出せない。
[研究業績を学内外に公開]
◎そこで、富大は、全教員(約900人)の研究業績をインターネットを通じて学内外に公開する"学術成果コレクション(学術機関リポジトリ)"をスタートさせた。
[学術成果コレクション]
◎学術成果コレクションは、大学図書館が中心となって、まず、大学内で創造されるあらゆる研究成果と、過去から累積する資料を電子化して、蓄積保存する。富大では、8学部全員(教授から助手まで)の、文章・図・写真・動画(中身は学術論文・研究紀要・報告書・電子教材など)をデータベース化して一元管理する。
[大学の研究成果を広く発信]
◎インターネットを通じて、無料でアクセスでき、論文は、タイトル、著者名、本文、日付などの手掛かりとなる基礎データを付けたり、著者名やテーマ、キーワードなどの項目で検索できるシステムとして、大学の研究成果を広く発信して、利用者に提供する。
[一般公開]
◎具体的には、文字情報(論文など)だけでなく、芸術文化学部で作家活動をしている教員は、作品を写真撮影して、そこに解説や受賞歴などを付けて研究業績として一般公開する。
[地場産業工業との連携]
◎このように、研究者の業績を管理、公開する学術機関リポジトリは、全国の大学では早大、慶大など二十校がすでにシステムを運用や試験公開している。大学は、地場産業、工業などとの連携、連帯を推進している。