真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

いじめを生まない学級経営の一つの提言

[日々イジメが話題に]
◎イジメの記事を見ない日はないというくらいイジメが話題に上る。そこで見かけたお名前、河村茂雄・都留文科大教授(心理学)は、今までに、学級崩壊や学級経営に関して実証的な資料知見を数多く発表している。
[河村教授]
◎それで、今日は、最近、河村教授が発表したイジメと学級経営との関係について、ネット上に載せられた報告(新聞報道)に基づいて書いてゆく。
[ブログ記事が立ち上がった]
◎なお、同教授の報告が載った後、すさまじい数の、その報告を元にしたブログ記事が立ち上がった。そこへもう一つ蛇足ながらも記事を立てさせてもらう。参考サイト→"gooブログ"
[QUテスト]
◎同教授は、全国の児童生徒(小学生を児童と、中学生を生徒と呼ぶ)約5万人を対象に、教師や同級生との関係などを問う"QUテスト"(心理テストの一種)を実施した。その分析の結果から、学級の特性といじめとの相関性を読み取った。
[学級集団の全体的特性]
◎いじめは、一般に、"加害者側の資質・性格や教師の指導能力を直接原因と見なしがちだ"。それに対して、河村教授は、"主に教師と教え子の関係で定まる{学級集団の全体的特性}に注目すべきだ"、という。
[二つに分類]
◎河村教授によると、教師の教え子への接し方をまず二つに分類する。①有無を言わせず従わせる"高圧的指導"タイプと、②子供の言い分を尊重する"援助"タイプとに。
[管理型となれ合い型]
◎子供にとって"満足度の高い学級"の教師は、状況に応じて二つのタイプを使い分ける。しかし、①に余りにも偏ると、"管理型"に、②に強偏すると、"なれ合い型"になる。つまり、片寄ることによって、"高圧的指導"タイプは"管理型"に、"援助"タイプは"なれ合い型"に固定する。
[片寄った指導]
◎河村教授は、このように、教師の子どもへの接し方によって、学級の特性を、厳しく指導する(1)"管理型"と、(2)"なれ合い型"とに分類する。だがしかし、これは片寄った指導に固定された場合に生じる型であるが。
[なれ合い型の増加]
◎1998年と06年を比べた場合、なれ合い型の学級は小学校で倍増して半数近くを占め、管理型は半減した。中学校では管理型が主流だが、それでもなれ合い型は倍近くに増えた。
[なれ合い型学級でいじめが]
◎調査結果では、教師が教え子に友だち感覚で接する"なれ合い型"学級でいじめが生まれやすい。なれ合い型学級では、教師が子供に引きずられ、いじめを防ぐどころか加担する恐れもある。
[長期間いじめがなれ合い型から]
◎さらに、小学4〜6年生(約5000人)を詳細にみると、"長期間いじめを受けてつらい"という子供の所属学級は、約5割がなれ合い型で、3割強が管理型だった。
[子供同士の関係は不安定]
◎なれ合い型では、当初は教師と子供が良好な関係を保つかに見える。がしかし、最低限のルールを示さないため、学級はいつまで経ってもまとまりを欠く。その結果、子供同士の関係は不安定でけんかやいじめが生じやすい。
[学級崩壊]
◎やがて、教師の友だち口調の指示を、誰も聞かなくなり、それをも放置すれば、ついには学級が崩壊(リーダー不在の単なる羊の群れ化、群衆化)する。担任教師はもはやその学級の指導者の位置にはいない。
[中心的生徒が仕切る]
◎また、そのような学級では、運動や勉強が得意だったり、けんかの強い子供が学級をまとめ、教師が逆に彼らを頼りにするケースも多い。もはや教師がリーダーではなく、中心的生徒がその学級を仕切る。
[教師が止めるのは困難]
◎がしかし、その子供や取り巻きが特定の子供をいじめの標的にして、学級全体が同調した場合、なれ合ってきた教師が止めるのは困難で、何とか学級をまとめるため、教師自身による助長や加担の恐れもある。いじめられっ子は犠牲の羊と相成る。あるいは人柱化する。
[なれ合いの回避]
◎河村教授は、"いじめた子や加担した教師を非難するだけでは解決しない。子供を暴走させ、教師も巻き込まれる『なれ合い』をどう回避し、いじめを生まない学級を作るか、教師たちが議論することが大切だ"と話す。
[学級は社会の縮図]
◎ここからは主に私の考えを述べる。学校は、また、その中の一つの単位である学級は、社会の縮図である。国に、司法、行政、立法の三権がある。そこ(学校・学級)にもそれに似た機能を入れ込む必要がある。
[さまざまな役割]
◎国では、具体的には、裁判官がいて、警察官がいて、行政担当役人がいて、教師がいて、心理カウンセラーがいて、報道記者がいて、医者がいて、とさまざまな役割を持った人間が働いている。
[役割を持つ機能や人物]
◎学級内においても、裁判官、警察官、行政担当役人、教師、心理カウンセラー、報道記者などの役割に似たものが必要である。ある程度の役割を持つ機能や人物が必要である。
[学級を構造化]
◎まず、新学期始めの学級の生徒達は、羊の群れに近い。そこへ規則・ルールを持ち込んで、できれば生徒と一緒に、学級を構造化、システム化しなければならない。これが担任教師の大きな任務の一つである。
[一つの役割に固定で学級は混乱]
◎そこで、先ほどの話に戻ると、さまざまな役割を担わなければならない教師が、ある一つの役割に固定してしまうと、他の役割を取る者がいなくなり、学級は混乱したり、不安定になったりする、つまり、学級の構造化、システム化が生じない。あるいは、いびつな構造が立ち上がってしまう。
[教師がさまざまな役割を受け持つ]
◎できれば、初めは教師がさまざまな役割を受け持ち(使い分け)、それが軌道に乗れば、生徒に権限移譲してゆく。つまり、生徒の自治にゆだねる。構造化、システム化が完成していれば、たいてい生徒の運営でもうまく行く。
[教師はオブザーバ]
◎教師はそのオブザーバ役で、生徒の手に余るときにだけ、前に出て、運営を引き継いだり、生徒に助言したりして切り抜けてゆく。学級経営で、一番大事なことは、学級の構造化、システム化作りである。
[生徒主体で運営]
◎これが教育だろうと思う。まずは教師が手本を見せて、道筋を作り、その後で生徒に権限(裁判官・警察官・行政担当役人・教師・心理カウンセラー・報道記者などの役割)移譲して、彼ら主体で運営をさせながら、教師はオブザーバ役につく。