真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

南米アマゾンの森林の破壊と消失

[消えゆく世界最大の森林]
◎今日は、"ナショナル・ジオグラフィック日本版"編集長、佐伯 裕史氏が書いたコラム、"消えゆく世界最大の森林"(2006年12月27日水曜日)を読んでの感想である。
[ナショナル ジオグラフィック]
◎世界約180カ国で850万人が購読する月刊誌、米国に本部を置いて発行される、"ナショナル ジオグラフィック"は、地球とそこに生きるすべての生き物の営み(自然・野生動物・社会・文化・探検・科学など)を紹介する。
[サッカー場150個の森林が毎時間消失]
◎話を今回のコラムに戻すと、世界最大の森林が広がる南米アマゾンでは、わずか1時間ほどの間に、なんとサッカー場150個分もの森林が消失している。アマゾンを含めた、世界の森林は毎年約995万haが減少し続けている。つまり、毎年韓国と同じ面積の森林が消滅しているのだ。
参考資料→「第1回 地球では今、1秒間にサッカー場1面分の緑が消えている」=From" - ECO JAPAN〈エコジャパン〉 - nikkei BPnet 環境ポータル"
[全森林面積の2割が消えた]
◎このような森林の消失が問題になり始めたのは1970年代に入ってからで、過去40年間に全森林面積の2割近くが消え、今後20年間でさらに同じく2割が消失することになりそうである。しかし、森林の消滅は森林の消滅だけでは終わらない。
[森林を農地に転換]
◎森林があらかた伐採されてしまうと、今度は伐採用林道を利用して別の人々が入り込む。そして不法にそこの土地を占拠する。彼らはさらに森の奥深くまで進入し、木々を伐採して、そこを農地に変えていく。元の森林には返らないのだ。
[近畿地方の5倍の森林が消えた]
◎アマゾンはあまりにも広い。欧州がすっぽり入ってもまだ余白があるほどの広さをもつ。しかしながら、こうした森林破壊がどんどん進んでいき、2000年以降だけでも、13万平方キロメートル(近畿地方の5倍)の森林がすでに消えた。
[先進国の私たちも加害者]
◎森林破壊という犠牲の上で得られた恩恵はアマゾンの住民だけでなく、先進国の私たちも受けている。例えば、ブラジルのアマゾンで切り出された木材の約40%は、米国やアジアでも消費されている。
[消費者も同罪]
◎森林を切り開いて開墾した農園では、大豆やトウモロコシ、綿花などが栽培されている。これらは世界各地へ輸出される。つまり、私たちはそのような生産品の消費者なのである。同罪というわけである。
[森林破壊はブラジルを潤す]
◎ブラジルでは、その結果、大豆生産が急増し、米国に続く世界第2位の大豆輸出国に躍進した。また、肉牛の飼育も盛んで、2004年に輸出量世界最大の国に成長した。こうした農産畜産物を買い上げているのは、米国系などの巨大企業だ。
[森林破壊の当事者意識]
◎それ故に、単にブラジルが森林破壊をしてけしからんという論は成り立たない。ブラジルの行為の恩恵を私たちも同様に受けているのだ。私たちは森林破壊の"当事者意識"を持たねばならない。いじめ問題と同じように、傍観者であれば、間接的(二次的)加害者である。
[拡大再生産的悪影響]
◎今や、グローバル化の時代である。一国の行為が一国内にとどまらない。アマゾンの森林は地球全体のものである。アマゾンの森林は地球全体のおよそ20%の酸素を供給している。その大半が失われることになれば、地球環境に拡大再生産的悪影響を及ぼす。悪循環の形成である。
[地球上から森林が一本もなくなる]
国連食糧農業機関は、推測として、あと100年もすれば地球上から森林が一本もなくなってしまうほど深刻な状態にあるという。その原因は、①木材利用のための大量の森林伐採。②焼畑による原生林消失。③放牧地や大規模農地確保のための森林開拓。④レジャー施設(例えば、スキー場)などの開発。⑤酸性雨による森の荒廃。⑥地球温暖化による森林の枯渇(と砂漠化)。である。
[先進国が過去に通った道]
◎これは、私たち先進国が過去に通ってきた道であり、その国々を決して責められない。例えば、日本人にとって、ヨーロッパの森林は美しい森林をイメージするけれども、ほとんどは原生林ではない。その後200年近くかけて人工林という現在の姿で回復したものなのだ。これは日本でも同じ状況である。今現にブラジルがやっているように、ヨーロッパの森林は17〜18世紀の産業革命の後に切り開かれたという過去を持つ。
[過去の経験を生かす方策]
◎先進国はこのような過去の経験を生かす方策を持たねばならない。そしてそれらを環境保護政策として先輩から発展途上国に伝える努力が必要だ。
[無駄や使い捨てを抑制]
◎我々が日常的にできることは、現在のような無駄や使い捨てを抑制することだろう。そのために、木材の価格に植林や森林保全回復のための経費を上乗せする必要がある。紙や材木の値段が上がれば、浪費が減少するだろう。このような取り組みには、国際的なルール作りが必要である。