真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

問題の本質を捉えるにはどうすればよいか

[本質"について]
◎今日の話題は極めて堅い話、超堅い話である。最後まで耐えて読み通してもらえる自信はない。その内容は、物事の"本質"を捉えるとか、問題の"本質"を見誤るとかの"本質"についてである。
[本来的不可欠の性質・要素・姿]
◎辞典(事典)などを見ると、"本質"とは、物事の"本来の性質や姿"である。それなしにはその物が"存在し得ない性質・要素"(中心核)である。と定義している。"本来"的で、存在に欠かせない(不可欠の)性質・要素・姿である。
[不変普遍絶対]
◎時間的観点から見れば、本質は、時間が経過しても"変化しない"で、"普遍的"で"絶対的"なものである。"絶対"とは"相対"の反対である。相対とは、相手が変われば自分も変わることである。絶対とは、相手とは無関係に常に一定(不変)であることである。
[付帯する性格]
◎だから逆から言えば、"本質でない"ものは、事物に"たまたま付帯する性格"を指し示す。時間の推移とともに変化するものは本質とはいえないことになる。変化するとは性質が変わることであるから。
[常にあり続ける性質]
◎本質は常にそこに"あり続ける"性質である。消えてしまったり、変化してしまったりする要素は本質ではあり得ない。
[本質などない]
◎しかし他方で、絶対的かつ普遍的な"本質などない"という考え方もある。すべては要素の集まりであり、そこに中心的で普遍(不変)的な核はないという考え方である。中心的核はなく、要素のみだという考え方である。
[椅子の本質]
◎そこで、本質を考えるために、今例えば、"椅子"を取り上げる。では、椅子の本質とは何だろうか。そもそも椅子に本質があるのだろうか。
[素材だろうか]
◎椅子の本質は、"素材"だろうか。木の椅子。鉄パイプの椅子。籐の椅子。革の椅子。布の椅子。それぞれ材質が異なる。しかし、素材が異なってもともに椅子であることに変わりはない。となれば、椅子の本質を表すのは素材ではない。素材は付随的要素である。
[形姿だろうか]
◎では、椅子の本質は、"形"(姿)だろうか。四本足の椅子が普通である。しかし、三本足のものもある。足のない椅子だってある。木の幹を輪切りにしてそのまま使った椅子だってある。となれば、椅子の本質を表すのは形姿でもないことになる。
[共通性と差異性]
◎では次ぎに視点を変えて、椅子と座布団の"共通性"と"差異性"を考えてみる。まず、椅子と座布団の"差異性"はどこにあるのだろうか。日本は以前には畳の生活で椅子がなく、座布団を使っていた。所が、西洋では、座布団ではなく椅子を使っている。
[床に対して直接か間接か]
◎座るときに、直接床(畳)に敷くのが座布団で、床から離して置くのが椅子である。故に、椅子と座布団の差異性は床に対して直接か間接かという違いである。
[座るときのおしりの支え]
◎それに対して、それらに対する共通性は、"おしりを下ろす場所を提供するもの"である。"座るときのおしりの支え"である。
[椅子の本質]
◎この、"床から離して、おしりを下ろす場所を提供する"性質・要素が、椅子の本質である。足(形姿)とか、木(素材)とかは、たまたま付帯する性格である、付随的要素である。それ故に、椅子に対して、さまざまな素材と形が存在する。
[本質にも階層がある]
◎椅子と座布団の"共通性"、"おしりを下ろす場所を提供する"性質・要素は、椅子だけの本質や、座布団だけの本質よりも"より普遍的"なもの、より本質的なものである。ここから考えると、本質にも階層(高さ)があるといえる。
[より統合性が高い]
◎より普遍的とは、より"共通性"が高いということである。つまり、より統合性が高いということである。筆と、鉛筆と、ボールペンに共通するものは、文字を"書き記す"性質・要素である。筆記具は、筆と鉛筆とボールペンの共通要素であり、本質であり、それぞれをさらに統合した語句である。
[本質は機能・働き]
◎つまり、本質とは、素材や形姿において"差異性"(たまたま付帯する性格)を持つけれども、機能・働きにおける"共通性"といえるだろう。
[本質が共通性]
◎だから、物事の本質を捉える、問題の本質を見極めるには、それだけを見ていては捉えられない、見極められない。本質が共通性なのだから。どの部分の共通性なのかを、何との共通性かを見極めなくてはならない。
[類似の物事・問題を探し出す]
◎ではどうすればよいのだろうか。解答としては、類似の物事・問題を探し出して、それらとの共通性を読み取ることである。そのためには、頭の引き出しに、たくさんの過去の(詳細がはっきりしている)事例が仕舞い込まれている必要がある。もちろん他人の頭やネット内でも構わないのだが。
[本質を捉えるには専門的知識]
◎つまり、提示された物事、問題と似た経験をたくさん積んでいる必要がある。ここに専門家の出番が待っている。本質を捉えるには、専門的知識が必要なのである。まずは類似性(共通性)を見極めなければならないのだから。これでは堂々巡りですね。