真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

抵抗勢力とは何者なのか

[抵抗勢力]
小泉内閣時代には、"抵抗勢力"という言葉をよく耳にした。今日はそれについて書きたい、もう廃れた感があるので抵抗はあるが。一般に、組織の中で抵抗勢力とは、今まで中心的役割を担って来た部内者(インサイダー)である。
[部外者]
◎また、それに対して、組織の中での変革者とは、今まで周辺部で付かず離れずにいた部外者(アウトサイダー)である。"でも、待てよ"と思われた方もおられるかもしれない。組織内で中心的役割を担って来た人々を抵抗勢力と呼ぶことに疑問を呈されるかもしれない。
[体制派と色取りが違う]
◎"抵抗勢力は部外者ではないのか"、といわれるかもしれない。部外者は、もちろん、完全に外部にいたものではなく、周辺部にいた、体制派に組みしなかったという意味でのアウトサイダーである。体制派と色取りが違うからこそ部外者なのだから。
[改革は部外者がもたらす]
◎通常、改革・革命は部外者からもたらされる。だから、必然的に部内者はそのような改革・革命に対して抵抗勢力となる。台風は必ず海から陸に向かって吹き上がって来るものである。台風は陸地では発生しない。
[現状肯定派]
◎重き仕事をこなしてこなかった者が抵抗勢力となることはない。軽き者は誰に対しても追従者であり続ける。抵抗勢力とは、今までの体制を支えて来た現状肯定派である。今まで組織を盛り立て繁栄させてきた功労者である。
[外部が変わった]
◎それが何故、抵抗勢力となるのか。何故、抵抗勢力と呼ばれるのか。それは内部が変わったからではなく、外部が変わったからである。外部が明るい昼から暗い夜へと移り変わったからである。
[現状変革派と対立]
◎それが故に、今までの体制をあくまで維持しようとする現状肯定派と、新しい風に乗って羽ばたこうとする、現状変革派とか対立することになる。中心に位置するほど、周辺から遠ざかるほど、外の空気が吸えない。外の風に当たれない。
[勝利者は次の環境で敗者]
◎生物進化が教えるところによれば、環境変化に対応して、自らを変革できたものが新しい、より高い進化へと昇ってゆくことができる。環境が変化すれば、今までの勝利者が次の環境での敗者へと墜落する。恐竜が滅んだのもその環境の激変であった。恐竜はそれについて行けずに絶滅した。
[必要に駆られて機能獲得]
◎恐竜の絶滅を喜んだのが、夜行性の猿である。彼彼女が、天敵が減り昼行性になることによって、今まで不必要であった、色彩視を獲得した、必要に駆られて。熟れた果物と未熟なものとを見分けるために。
[目的が新機能を生む]
◎さらに、果物の豊富な高い樹の上で生活することによって、両眼視を獲得した、精密な距離感を得るために。そして、手と足の役割が分離した、手でしっかりと枝をつかむために。
[環境変化が進化させた]
◎そして、さらなる環境変化、森の減少と草原の増加が、森の猿から、草原の人間へと進化させた。草原では獲物(果物は動かないが動物は逃げる)を捕らえにくい。それが彼彼女を集団に、社会性のある生物へと進化させた。それが脳の進化を促した。
[環境変化をクリアー]
◎かくして、夜行性の昆虫食の原始的猿が、昼行性の高等な草原の人類に進化した。原猿が次々に到来する環境変化を、見事にクリアーして"上がり"にまで、双六の上がりにまで到達した。
[身体内部の抵抗勢力]
◎しかも、身体内部においても現状維持派(部内者)は環境変化に対して抵抗勢力であった。身体においても改革・革命は部外者からもたらされた。外部の環境(変化)が生物に改革をもたらしたように。改革に失敗した生物は絶滅か衰退していった。栄枯盛衰は世の理(コトワリ)である。
[突然変異が部外者]
◎身体内部の部内者とか部外者とかは、一体身体内部の何についてなのか。それは"遺伝子"である。持って生まれた遺伝子は部内者で、生後に突如生じた突然変異が部外者である。そして、進化に関与する身体変化は突然変異からしか生まれ出ない。低い進化から高い進化へと上昇をもたらすのは、内部には存在しなかった突然変異なのである。
[進化・改革・革命は外部・周辺者から]
◎そういう意味では、進化や改革・革命は外部や周辺者からしか生じない。環境という純粋外部と、身体内の純粋内部においても、そのことが当てはまる。また、これは人的組織においても同様に当てはまる。
[抵抗勢力は追放]
◎小泉元首相が改革を断行するに当たって、内部にいて見えなかった現状維持派、抵抗勢力をあぶり出して、みんなの前に曝した技法は大したものである。それによって抵抗勢力は追放の憂き目にあった、古代ギリシアの"陶片追放"のように。
[改革阻止する現状維持派]
◎そういう点では、時代(環境)に即応した体制(構造改革、進化・改革・革命)をもたらすのは部外者なのである。そして、進化や改革・革命を阻止する側、現状維持派、抵抗勢力は中心部にデンと構えた面々である、今までの功績によって。
[仲間を粛正する強い意志]
◎阿倍現首相は、そういう面では、自らが体制派の中心人物であるから、改革を実行しようとしても、抵抗にあえばあえなく撃沈されてしまう。仲間をも粛正するだけの強い意志は持ち合わせておられないようだから。また、竹中平蔵氏のように強力に改革推進できる人物を抜擢することもなかった。
[旧体制への後戻り]
◎改革が必要な時期に体制の中心から首相が出てくるということは、改革ができない、下手をすれば、旧体制への後戻りさえも起きかねない。阿倍内閣がかくも支持率をお見事なほど下げておられるのはその辺が理由であるようだ。
[阿倍現首相と小泉元首相]
◎追記ですが、阿倍現首相と小泉元首相との違いを以前にこのブログで述べたので参考にしていただければ幸いである。参考記事はこちら→"内政重視の小泉元首相と外交重視の阿倍現首相"