真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

反抗をどう評価すべきだろうか

[反抗はどう評価?]
◎最近、私のブログでは、"抵抗(勢力)"・"競争"という心理を廻って話題が展開しているようだ。今日もそれと同種の"反抗"を話題に取り上げる。さて、その反抗であるが、それをどう評価すべきだろうか。以前のブログでは"抵抗勢力"をどちらかといえばマイナス評価したが、"反抗"はどう評価されるだろうか。
参考記事はこちら→"抵抗勢力とは何者なのか"
[反抗はマイナスイメージ]
◎反抗は普通"マイナスイメージ"(否定的印象)でとらえられる。それは相手を"攻撃"する側面を持つからではないだろうか。人を攻撃するというのもマイナスイメージとして見られがちである。そこで、この反抗を分解してみてはどうだろうか。水が水素と酸素に分解できるように。
[抵抗勢力]
◎なお、"抵抗勢力"がマイナス評価される理由は、環境や時代が変化してゆくのについて行けないで、依然として旧い体制を維持しようとする体制維持派であるからだ。反抗はその点どうなのだろうか。
[旧い体制を破壊する欲求]
◎実は反抗には逆に旧い体制を破壊する欲求が奥底でうごめいている。反抗を受ける側のいら立ちはそこに起因する可能性が高い。反抗されていらだつ、狼狽するのは、自分の中に確立されている構造・体制が揺さぶられるからなのだ。それは拠り所とする構造・体制に自信がないからだ。
[要素分解してみれば]
◎話を戻すが、分解要素は人によってさまざま異なるだろうと思う、数学のように公式は存在しないので。私は、"反抗=積極性(向かう態度)+自己主張(個性)+相手否定"。と分解する。そうなれば、全体としてはマイナスイメージとしてとらえられてしまいがちな、反抗が、要素分解してみれば、そこにはプラスも含まれている。
[それぞれの要素をどう評価?]
◎"積極性"は大いなるプラスイメージ(肯定的印象)であり、また、"自己主張(個性)"もプラスイメージである。組織が優先される日本では、必ずしもプラスに評価されるとは限らないが。他方、"相手否定"がはっきりとしたマイナスイメージを持つ。
[総合的にはマイナス]
◎反抗や攻撃では、この相手否定、攻撃を受ける側からすれば、自分が否定される、例えば、"うるさい、黙れ"という言葉攻撃が強烈な印象を与える。それで反抗や攻撃にプラス面が含まれていても、総合的にはマイナスだと判定されるのだろう。
[肯定的な面に応答]
◎しかし、親なら、指導者なら、上司なら、"相手否定"という強烈で目立つ側面に応答しないで、反抗に内在する、"積極性"、"自己主張(個性)"という肯定的な面に応答するというのはどうだろうか。そうすれば、相手(反抗者)も、肯定的な面を評価された、受け入れられたと判断するので、ケンカにはならないだろう。
[試合に負けて勝負に勝つ]
◎実は、これは、前回ブログに書いた、"試合に負けて勝負に勝つ"という方式である。しかしこれは、自分が持つ知識構造に自信を持たないとできない。というのは、自信がなければ、反抗的態度に自分の心が揺さぶられてしまうから。
参考記事はこちら→"試合に負けて勝負に勝つ"
[論点として展開部分に応答]
◎"試合に負けて勝負に勝つ"という方式は、"うるさい、黙れ"という言葉攻撃には切り返して逆転反論するという手には出ない。その部分は受け入れる。理由はそこを論点にすると話が先へと展開してゆかないからだ。必ず水掛け論的感情的なこう着状態に陥る。それ故に、本当に論点として展開してゆきたい部分に応答を限定する。
[具体的な場面]
◎そこで、子どもが親に反抗をするという具体的な場面を考えてみる。例えば、お母さんが、娘に、"国語力を付けるために本をたくさん読みなさい"と言う。これはなるほどと思う理論であるが、それに対して、娘が、"本を読むとすぐに眠たくなるからいや"と反論する。
[反論するのは]
◎みなさんは、"この反論のどこにプラス面などあるのか"、と反論したくなりませんか。"うるさい、黙れ"ほどではないにしても、自分(お母さん)の投げかけた言葉がぴしゃりとたたき落とされている。もしあなたが娘(の言葉)に反論したくなったとしたら、"あなたは私の上に立って見ていない"と言うことになりますよ。と私はあなたの意見に反論する。となると、私もあなたの上に立って見ていないという証拠になるのですが。
[相手の言動にプラス面を見出す]
◎"上に立って見る"とは、"相手の言動にプラス面を見出す"ことだと思う。もっと言えば、"相手を成長させる観点から見る"のだと考える。上に立つとはそういうことだと思う。それによって、相手をも組織(家族や会社)をもともに成長発展させてゆける。
[引き出して伸ばす]
◎"上に立って見る"というのは、相手自身がまだ自分の中に見出していない積極性+自己主張(個性)などの成長点を見つけ出して、それを引き出して伸ばす方向へと持って行こうとする。相手を切り捨てる反論は相手をつぶす方向に向かう。反抗や攻撃がそうであるように。
[問いかけ]
◎所で、先ほどの娘の言葉への応答として、例えば、"今までどんな本を読んだの?"と問いかけてみる。これは本を読んだという経験を認めている。こう問いかけられたら、娘はたぶん抵抗なく、自分の読書体験を反省する、振り返るという方向へ進むだろう、親子関係がそんなに悪化していないならば。
[反抗とは]
◎ここで話を振り出しに戻す。"反抗"は精神発達に必要不可欠な一過程である。人は、意志が芽ばえ、自我感情が発達すると、まずは他人の指示を拒否し反対の行動を取る。この行為は、"積極性(向かう態度)+自己主張(個性)"から発している。反抗をつぶすというのは、同時に、反抗に内在する、積極性(向かう態度)+自己主張(個性)をも(それ故に自我感情も)つぶしている。
[自我感情]
◎この"自我感情"の発達に伴なって、自立・独立の欲求が高まる。まだ自己確立が達成できていない間は、これが(自分をつぶされないようにとの自己防衛から)反抗という形で表現・表出される。だから反抗は正常な行動であり、人格形成がうまく進んでいる証拠でもある。
[自己防衛]
◎自分を守る必要のない相手だと分かると、心を開いて(反抗をやめて)相手の意見や情報を素直に受け入れるようになる。そういう意味でも、反抗者を叩く行為は、自己防衛的態度を強く取らせる結果となり、害こそあれ益のない方法である。
[自立・独立心]
◎反抗によって、積極性(向かう態度)+自己主張(個性)の欲求がある程度満足されれば、同時に自立・独立心をも育てたわけだから、自主性が確立される。暗いトンネルを抜けると、そこは雪国であった。雪国にまで至る前には暗いトンネルを通過せねばならない。
[抵抗勢力と反抗の関係]
◎なお、抵抗勢力と反抗の関係は?。反抗者は若くて伸びゆく勢力で、抵抗勢力は旧い体制を維持しようとする側である。だから、もしあなたが、若者の行為に不愉快な反抗を感じとるならば、それはあなたがもはや伸びゆく側ではなく抵抗勢力として振る舞っているのかもしれませんよ。ご用心、ご用心。(これは自壊しないための自戒である)。