真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

契約栽培、日本農業の一つの方向性

[政府の無策・駄策]
◎日本の農業政策は農業・農家を駄目にしている。例えば、政府は農家にお金(補助金助成金)をばらまくことによって、農家は畑に種をまかなくなった。このような政府の無策・駄策によって、結果的に、将来性のない農業・農家は高齢化と後継者不足という深刻な問題を抱えている。
[農業の正念場]
農水省は07年度から補助金の対象を一定規模以上の農家に絞り込み、農業の体質強化を促す改革に乗り出す。米の値下がりに耐えるだけの経費削減に成功するかという、本当の正念場に立ち至っている。
[耕作放棄地]
◎それらの結果、農業従事者が減り、専業農家の数も減った。茶農家も同様に減少傾向にある。畑でありながら農作物を何も育てない"耕作放棄地"が目立つ。日本の茶畑も耕作面積が減っている。これでは、他の農産物と同様に、緑茶の葉も輸入品だらけになってしまう。
[国産茶葉用茶畑の造成]
◎そこで、伊藤園は、飲料製品の高品質な原料国産茶葉を価格・量ともに安定的に確保するため、茶畑をゼロから造成し、茶葉の生産に取り組んでいる。健康ブームを背景に、緑茶飲料(缶・ペットボトル入り)市場は、年々拡大を続けている。それに伴い、国産茶葉の供給が追いつかなくなり、中国やオーストラリアからの輸入に頼る。
[茶産地育成事業]
伊藤園大分県長崎県、鹿児島県など九州各地で、農業協同組合(農協)と共同で、緑茶飲料製品向けの茶葉を育てる茶産地育成事業を進めている。そこでは、農協が茶園の造成、栽培管理、荒茶加工を行う。
[業務改善策や方法の導入]
伊藤園の方では、品種を選定し、栽培や加工に関する生産技術を提供する。茶葉の品種や、刈り取りの時期、その加工法など様々な情報を生産者に直接伝授する。このように、伊藤園の業務改善策や方法を導入することで、農作業の合理化と生産費削減が図れる。
[利益を出せる構造を再構築]
◎畑で収穫された茶葉は、伊藤園が全量買い取り、緑茶飲料製品の原料として使用する。その結果、茶生産者は、安定的に利益を出せる構造を再構築できる。
[外食事業での有機農産物生産]
伊藤園の茶産地育成事業に対して、外食事業を展開するワタミグループ全店では、安全な食材を使った料理の提供を目的に、契約栽培での減農薬減化学肥料栽培野菜を導入した。さらに進んで、日本に有機農業を広げていくことを目的に、グループ内企業での有機農産物の生産も開始した。
[有機野菜の宅配]
◎現在、約40種類の野菜の生産以外にも、酪農と乳製品加工などの生産品目にも拡大して、それらを自社各店に食材として供給する。その外にも、"ワタミファーム倶楽部"で有機野菜の宅配をも行っている。
[将来的に畜産へ参入]
◎そのワタミファームと呼ばれる、全国に6ヶ所ある農場は、有機農業事業者としては、日本最大のグループになった。そこでは、日本で生産されている全有機野菜の約6%をも生産している。それだけではなく、さらにワタミは将来的に畜産への参入も画策している。
[契約栽培]
◎農家が、作物の品種や栽培面積、出荷規格、全量買い取りなどを決めた、契約に基づいた農産物を生産する契約栽培では、最初に価格を取り決めて契約を結ぶため、天候などの影響を受けることなく、安定した価格で消費者に農作物を提供できる。
[安全な食品を提供]
◎また、契約栽培では、栽培方法などを指定して生産した農作物を契約農家から仕入れるため、安全な食品を提供できる。例えば、有機栽培や減農薬栽培などのように栽培方法を指定し、それらの情報を消費者に提供することで、安全や健康志向の高い消費者の要望を満たすことができる。
[協働契約栽培]
サッポロビールでも同様に、畑からこだわり、安心できるいい原料を使うという、全ての麦芽とホップを"協働契約栽培"している。
[生産者と会合を重る]
◎また、同社は、日本各地と海外で、自社ぶどう園や協働契約栽培農家の育成に力を注ぎ、日本固有のぶどうからヨーロッパ系のぶどう品種まで、世界各国の約3,000軒の生産農家を直接訪ねて、種播き前・収穫前・収穫後に、生産者と会合を重る"協働契約栽培"をも行っている。
[企業と手を組んで安定収入]
◎農家・農業の生きる道として、伊藤園ワタミサッポロビールが行っているような、消費側企業と手を組んで、安定的な収入と、様々な生産技術やシステムの導入によって、経営が安定すれば、後継者不足という深刻な問題の解決にも役立つ。
[農業の一つの方向性]
◎これらの成功事例が日本の農業の一つの方向性を示しているのではないだろうか。農産物は国際的に取引されている商品であるが、日本では農業保護政策によって各種の農産物が国際競争から隔離されている。政府は規制や保護政策によって農業の事業展開をがんじからめに縛るのではなく、規制緩和構造改革によって他業種の農業参入を奨励すべきであろう。
[農協が時代に即した改革]
◎これは農協という巨大組織にとっては脅威だろうが。というのは、農協は中抜きされるという恐怖感を持っている。しかし、農協自体が時代に即した改革を断行して農業の振興の先頭に立つべきではないだろうか。それが農協にとっての生きる道だろう。
[近代的農業の育成]
◎長い目で見れば、それらが農作物の国内自給率アップにもつながり、近代的農業の育成にも役立ち、消費者の安全・安心に対する不安をも解消できる。グローバル化によって、農業にも近代化の波が押し寄せつつあることを心せねばならない。