真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

無党派層は何者なのか

[宮崎県知事選の開票結果]
◎もう今や時期遅れではあるが、まずは、宮崎県知事選の開票結果をご覧下さい。
そのまんま東(49、元タレント)=無所属=266,807。
川村秀三郎(57、前林野庁長官)=自民党推薦、民主、社民、連合宮崎から支援=195,124。
◆持永哲志(46、元経済産業省課長)=自民、公明、県内経済10団体から推薦=120,825。
◆津島忠勝(61、共産党県委員長)=共産公認=14,358。
武田信弘(52、元高校教諭)=無所属=3,574。
[投票での重視は]
◎今回知事選は、"官製談合事件"を受けた前知事の辞職に伴う"出直し選挙"と見られ、有権者の関心が"談合解消"など政策に集中すると思われた。だが予想に反し、出口調査では、投票での重視は、"談合解消への姿勢"が12%であり、政策の15%と合計しても27%に過ぎなかった。
[候補者の人柄・資質]
◎最重視が、41%の候補者の"人柄・資質"だった。その次が"実績・経歴"は18%だった。この選挙では、所属政党や政策より、"人物そのもの"が重視された。これは、組織型選挙を展開した、相も変わらぬ"骨肉の争い"つまり、ともに自民の支援を受け、官僚出身の経歴も重なる持永、川村両陣営のせめぎ合いにあきれ果てて、失望した有権者たちの声なき声だろう。
[風を読んだ勝利]
◎このような、地下深くふつふつとたぎったマグマのような(プロ的組織人への)不満は、組織などの推薦を受けない"草の根選挙"を展開し、"私の組織は県民"と訴え、"しがらみはない"と叫び続けた東国原氏支持へと一気に爆発したと思える。風を読んだ(呼んだ)勝利ともいえる。
参考記事はこちら→"宮崎知事そのまんま東氏はどんな人物か"
[市民感覚を持たない]
◎それに引き替え、川村氏は長年の行政経験を基に安定感をアピールし、"すぐに仕事ができる"と、県政立て直しの即戦力になると叫んだ。自公推薦の持永氏は、"政権与党との太いパイプがなければ宮崎は良くならない"と訴えた。これらへの拒絶反応は官製談合を生み出した、市民感覚を持たない元凶へ向けたのかもしれない。
[組織型選挙手法は通用しない]
◎かくして、出直し知事選では、無党派層に対しては、旧来の、行政経験のアピールや、政党などの組織型選挙手法は通用しなかった。政党支持者からも票がかなり東氏に流れた。これから統一地方選参院選が控えている。既成政党や経済界、諸団体はこの選挙の結果をどう見るのだろうか。
[知名度だけを頼りにしたか]
◎方や、そのまんま東氏はタレントとしての知名度だけを頼りにしたわけではなかった。"新規企業立地100社、新規雇用1万人"、"一般会計の見直しで年間350億円の財源捻出"、"入札制度改革で投資的経費の1割削減"など、東氏は数値目標が並んだマニフェスト(公約集)を選挙中に掲げた。
[マニフェストを作成]
◎東氏は、また、40歳を過ぎてから大学で地方自治を学んだ。そこでの同窓生人脈を駆使して財政・行政の専門知識を持つ若手を集め、知事選向けにマニフェストを作成した。これが、有権者に"真剣度、本気度"を示すものとして好感され、行政経験のない同氏が官僚出身の対立候補を破る手力ともなった。
[アマチュアが持つエネルギーと情熱]
◎このように、プロからアマへの、時代の流れがさまざまな分野で鮮明になってきている。今回でも、アマチュアが持つ、小泉的なエネルギーと情熱を感じさせられ、新しい流れを呼び込む風を吹かせる候補に期待的な票を投じたのではないだろうか。
[しがらみの無さが大要素]
◎新しい流れを呼び込む風を吹かせるにはしがらみの無さが大きな要素になる。それがアマチュアを求める真相ではないか。既成政党は民主党も含めてプロ集団である。がっちりと固められた構造からは、もはや新しい流れ、新しい風をそこに期待できない。無党派層が増大している原因はそこにあるのではないか。
[首相は国民にとって抵抗勢力]
◎国政レベルでは、アマっぽい小泉元首相に対して、阿倍首相は保守本流に位置する。それ故か、同首相は国民受けする政策よりも、自民党受けする、産業界受けする政策の実施に限定している。もはや同首相は国民にとって抵抗勢力である。支持率低下がそれを物語っているのではないか。
参考記事はこちら→"抵抗勢力とは何者なのか"
[不満を抱く心の熱い層]
無党派層は明確な意見を持っているわけではない。ただ、現状に満足出来ない、不満を抱いている心の熱い層である。だから、現状を変革する力を支持する方向へと一気呵成に流れる、マグマのように。そのマグマに明確な方向性を示せる人物が現れると爆発的な噴出を見せる。
[風が吹いた県知事選]
◎まさしく、そのまんま東はその役割を担って政治世界に登場した。これは元長野県知事田中康夫氏が、旧来的自民党的なばらまき政治、土建屋行政を批判解体することを旗印にしたことと相通じる。また、滋賀県知事選でもこの風が吹いた、マグマが噴出した。
[業界団体支持を受けて当選確実視]
◎連合の組織的な支援と、若さと清新なイメージで幅広い支持を背負う、田中氏は、県議会議員や農協や多くの業界団体(建設業団体など)の支持を受けて当選確実視された対立候補(前副知事)を、みごと破り、初当選を果たした。
[雪崩現象]
◎ばらまかれた砂鉄の中に、ハブとなる、核となる磁石を投げ入れると、たちまち吸い付けてしまうように、現状への不満を持つ無党派層に、田中康夫氏やそのまんま東氏のような期待を抱かせる人物が出現すると、雪崩現象が起こる。
[期待を抱かせる人物の人柄・資質]
出口調査にも表れたように、求めるのは、目が向くのは、政策ではなくて、期待を抱かせる人物の"人柄・資質"なのである。現状を変革する風なのである。だから、小泉元首相のように、その人物が自民党所属であっても構わない。無党派層水戸黄門を見る眼のように正義が勝つ姿を見たいのだ。
[何でもありの政党]
◎だから、単に知名度が高いというだけでは、マグマの噴出や、雪崩現象を起こせるわけではない。だのに、自民党は懲りずに知名度に頼った選挙をもう模索し始めたようである。自民党は政権を維持するためなら何でもありの政党である。これは有権者をバカにした、愚弄した行為である。