真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

iPodは水道の蛇口

[結線・結節点]
◎私の子ども達はアップル"iPod"(我が家に三台あり)の大ファンである。"iPod"は突然のブレイクだと言ってもいいかもしれない。アップルは、今や、リアル世界とネット世界を結ぶドアである。言い換えると、リアル世界の人とネット世界の情報を結ぶ結線・結節点である。
[一手に引き受けて数珠繋ぎ]
◎つまり、今アップルがナウい。その強みは、ドア・結線"iPod"と、ネットの情報との両方を持っていることだ。iPodと"iTunes"(media player)と"iTunes Stores"(音楽配信サービス)を一手に引き受けて数珠繋ぎしている。その結果、とても簡単に使える、他の携帯プレーヤーに比べれば。
[コーディネーター]
◎このような、全体を見渡せる、幅広い知識と、それらを統率できるリーダーシップの持ち主を、"コーディネーター"、"マネージャー"、"指揮者"と呼ぶ。アップルは音楽に関して、"コーディネーター"としの役割を果たしている。アップル"ジョブズ"はパソコン世界の指揮者ともいえるかもしれない。
[統率体系]
◎所で、その統率体系を大きく分けると、"垂直統合体系"と"水平分散体系"とがある。その内、垂直統合体系は、例えば、出版世界を例に取ると、作家→編集作業→印刷→販売、すべてを串刺しする如く、取り仕切る一括体系である。アップルはこの方式を採用している。
[水平分散体系]
◎それに対して、水平分散体系は、作家、編集作業、印刷、販売が、対等横並びの相互分業体系を成している。パソコン世界でいえば、パソコン本体、周辺機器、ソフト、情報・コンテンツで構成される。アップルはそれらすべてを込みで販売する。
[ソフトがなければただの箱]
◎"パソコン、ソフトがなければただの箱"、なので、ソフト製造業者、マイクロソフト(MS)が水平分散体系の中から、一括統合する中心(ハブ)位置を奪い取った。そうなれば、相互分業体系であっても、もはや対等横並びとはいえないが。すべてのパソコン業者はMSの軍門に下ったと言ってもよいほどだった。
[ソフトが無くても動く箱]
◎もはやMSを凌ぐ企業の到来は不可能かと思われた。しかし、時代が動き、今や、パソコンは、MSのソフトが無くても動く箱になった。それによって、MSの地位は低下を続けている。今では、MSの位置にGoogleが座ろうとしている。
[一括統合する相手]
◎しかし、Googleが一括統合しようとする相手は、パソコン業界ではなく、"一般利用者"の方であるように思う。もはやパソコン業界には全く魅力がないかのように、興味を示さない。ネット内の情報をひたすら追いかけているように見えた。
[開放系と閉鎖系]
◎所が、アップルは、今までずっとパソコン関係を一括統合(垂直統合体系で)する方式を踏襲した。アップルとマイクロソフトの最大の違いは、統合方式に関して、閉鎖(垂直統合)系と、開放(水平分散)系の違いである。マイクロソフトは"みんな寄ってらっしゃい"の開放系で、アップルは"自分だけ、自分ですべてを"の閉鎖系である。
[マッシュアップ]
◎話題を少しずらす。今、"マッシュアップ"(混ぜ合わせ)という語がネット業界で騒がれている。それは、複数の異なる提供元の技術やコンテンツを複合させて新しいサービスを形作ることである。これは一般語で言えば、先ほど提示した、コーディネーター、マネージャー、指揮者である。混ぜ合わせするのは、素材、コンテンツであるが。
参考にどうぞ→"マッシュアップロゴ"
[みんなのネット]
◎先ほど言ったが、MSはもはやパソコン世界を束ねる位置にはない。それは"Windows"が絶大ではなくなったからだ。注目が"各自のパソコン"(MSの世界)から"みんなのネット"(Googleの世界)の中に向かっている。
[総合商社へ脱皮]
Googleが対象にしているのは、"みんなのネット"であるが、アップルは、iPod(音楽)を皮切りに、テレビ、通信分野(リアル世界)へも進出し始めた。つまり、パソコン専門商社から、総合商社へ脱皮し始めた。名前の変更がそれを見事に物語っている。アップルは、リアル世界とネット世界を結ぶドアの位置に立ち始めた。
[遅れてきたものが一番乗り]
◎それに対して、MSは専門商社(ソフト部門)として成功を収めすぎたので、その分そこからの脱皮が遅れた。ある分野の成功者は他の分野の失敗者(少なくとも遅刻者)である。新分野(ネット事業)では、それまでの分野で遅れてきたものが、一番乗りできる確率は高くなる。
[人類は新参者]
◎人類はすべての生物で最も遅く来た新参者である。その以前に隆盛を誇っていて、もはや他に勝ち目がないと思われた恐竜は激しい環境変化によって絶滅してしまった。巨大な隕石が最強の恐竜を見事滅ぼしてしまった。何やらこれは今のパソコンネット世界を暗示でもしているようにも思える。これも"盛者必衰の理(コトワリ)"であろう。
[逃げ遅れるのは成功者]
◎あるいは、ある分野で地殻変動が起きれば、そこから逃げ遅れるのはいつも成功者である。自信を持った成功者はかすかな変化にも対応可能との過信が災いする。これを競馬でいえば、水をあけた逃げ切り型先行馬は、コーナーを回ったところで、背後から来た対抗馬に追い越されてしまった。
[リアル世界とネット世界とをつなぐ架け橋]
◎今までリアル世界とネット世界とを対立的に見ていたが、時代はリアル世界とネット世界とをつなぐ架け橋を求めている。今のところ、Googleはネット世界の覇者だが、リアル世界とネット世界のマッシュアップ成功者、コーディネーター、マネージャー、指揮者はもう私たちの目に見えるところを走って来ているのだろうか。
[ダークホースの影]
◎あるいは、コーナーを回ったところで、Googleの背後から来た対抗馬として、ダークホースか突如として一番手に躍り出るのだろうか。われわれはもうダークホースの影を視野に収めているのだろうか。ひょっとしてそれはアップルかもしれない。