真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

精神は意味を求める

[子を亡くした親は立ち上がる]
◎明石砂浜陥没事件で我が子を亡くした親や、酔っぱらい運転の相手にひき殺された娘の親が裁判へ持ち込むという事態が頻繁に起こるようになった。何故、なにゆえなのだろうか。暴力団抗争の流れ弾で娘をなくなった母親が、暴力団組長を訴えた。これなどは、命を覚悟して戦わねばならない裁判であった。
[死者に代わって無念を晴らす]
◎子どもの死が、無意味な死、犬死(失礼な表現で申し訳ありません)、最愛の人の死が無意味な死であればこれほどの悲しい、苦しい思いはない。是が非でも、そこに意味を見出したい、それが死者への本当の供養でもある。また、自分への慰めでもある。自分が死者に代わって無念を晴らすのが義務・責務だとそのような親は思う。
[何を問い返したか]
◎話を変えるが、例えば、「お前はバカだ」と言われる。"それはどういう意味ですか"と問い返す。といっても、バカの意味を知らないわけではない。それでありながら意味を問い返す。では、これは本当は何を問い返しているのだろうか。
[相手の意図・真意を知りたい]
◎それは真意(表面の意味ではなく、背後に隠された本当の意味)、相手の意図(行動・発言の背後にある考え・真意)である。相手がそのような言葉を発したのはどういう意図からだろうかと、問いただしたかったのである。背後に潜むものを見出したかったのである。
[死の意味を問うてゆく]
◎娘を酔っぱらい運転の相手にひき殺された。親がそれに対して感じる感情は、娘は何故死ななければならなかったのか。その死の意味を問うてゆく。娘はもう戻ってこない。その死は無駄死にだったのだろうか。
[娘の死を生かす方法]
◎そうはさせない。娘の死を生かす方法はないだろうか。その一つの方法として、酔っぱらい運転をなくしてゆく活動を展開する。その方法として、殺した相手に厳罰を裁判で要求してゆく。あるいは法制化を社会に対して訴えてゆく。そのような活動を始めた人々がもうかなりおられる。そして、それらを実現させた方々も。
[娘の死が社会を動かした]
◎これらが死を生かす一つの方法である。厳罰化によって、あるいは法制化によって、被害者が減ることが、娘の死を生かすことになる。娘の死が社会を動かした、より良い方向に展開させたことになる。娘の死に意味を与えたことになる。娘の死に意味を見出したことになる。これが娘への供養である。
[精神(魂)は意味、価値を求める]
◎このように、精神(魂と言い換えてもよい)は意味、価値を求める。あるいは見出してゆくと言ってもよい。それを実存という。与えられた生き方を生きる(動物はそうしている)のではなく、選び取って見出して生きてゆく生き方である。人生の中に価値を、意味を見出しながら生きてゆく。
[無意味は耐え難い苦痛]
◎娘の死に意味・価値(有用性、役立ち)を見出してゆく。私はそう言う意味で、人間は意味を求める生き物だという。無意味は耐え難い苦痛である。例えば、無視されるのは、お前は存在する価値なしとの宣言のようなものである。江戸時代に始まった、村八分は重い忍び難い刑罰であった。
[精神医学者フランクル]
◎実は、人間は意味を求める生き物だといったのは私ではなく、フランクル(オーストリアの精神医学者で実存分析を創出)であるが。彼はかのアウシュビッツ強制収容所から生きのびた人物である。
[精神力]
◎余談になるが、彼はそこで生き延びる人とそうでない人との差は何かを知った。自分にはやらねばならないことがあり、それを果たすまでは死ねないと心に秘めるものを持った人々であった。精神が是が非でも生きたいと願う人々だけが生き延びられた。これこそが精神力であろう。
[苦しみを乗り越える]
◎精神力の強い人は、肉体を従えることが出来るが、肉体の欲求に負けている人は精神が萎えている。心の弱い私自身は身に浸みてこのことがわかる。宗教で修行をする意味がここにある。多くの人が勘違いをするが、宗教は苦しみを取り去ることが目的ではなく、苦しみを乗り越えさせることが目的である。 精神の弱い人は宗教にも負ける。