真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

笑った後に涙が出る話題

[大量の事業・仕事が舞い込む]
◎笑った後に涙が出る話題を一つ。日本を代表する名門企業、機械・プラント大手のIHI(旧石川島播磨重工業)は、海外の発展途上国から舞い込む景気回復で、大量の事業・仕事が同社に吹き込んで来た。さぞかし笑いが止まらなかっただろう。
[黒字から赤字へ]
◎しかし、ああーそれなのにそれなのに、何故か不思議にも、四百億円の黒字から、百七十億円の赤字(もっと膨らむ可能性大)になるとの見通しを最近同社が発表した。どう考えてもおかしな話である。
[受注仕事を期日までにこなせず採算悪化]
◎原因は、過去に実施したリストラなどで技術を持った、現場を知った技術者などが減ったところに、あるいは減ったが故に、受注した仕事を期日までにこなせず採算が悪化した。単にこなせなかっただけでなく、さまざまな事故・トラブルが発生した。
[6割が重大な欠陥]
◎たとえば、海外でのセメント工場の建設の一部を、インド系業者に下請けに出した。その原料貯蔵施設の工事の内で、何と6割にも上る部分で、重大な欠陥が見つかった。その結果、130億円もの損失が懐に転がり込んだ。大やけどである。
[事故が次から次へと発生]
◎また、東南アジアでは、完成前のボイラープラントで爆発事故が起きた。さらには、国内の愛知工場の造船ドックで6人の作業員が死傷する爆発事故も起こしている。このような、工事の欠陥や遅れや事故が次から次へと発生した結果、多額の損失が出る見込みだという。
[受注増に設計能力が追いつかず]
◎これらの大本を探れば、日本を覆い尽くした、内需の低迷で、同社は他事業に人員を振り分けていた。そのため、海外からの予想をはるかに上回る受注増に設計能力が追いつかなかった。
[結果としてトラブル・事故・欠陥]
◎その結果として、生産・外注のトラブル・事故・欠陥によるやり直しや、工期の遅れが相次いだ。それに対応するために、多額の追加費用・持ち出しが大量発生した。仕事をすればするほど赤字が膨れ上がる悲惨な事態に発展した。
[会長が責任を取って辞任]
◎これらを受けて記者会見した社長は、会長が責任を取って近く辞任するという。会長が辞任する理由は、これら一連のトラブル・事故・欠陥が、会長の社長時代に起こったからである。
[人材という無形資産]
◎日本における景気回復が本物になった時点で、企業内の人材という無形資産内容が大問題となるだろう。まだ、景気は海外から吹き込んでいるだけで、国内自体はそんなに景気がよいわけではない。というよりも、地方では景気後退がいまだに続いている。だから、景気回復の恩恵は大企業に限られている。
[貴重な人材と貴重な技術の継承]
◎これが、上から下へと、上流から下流へと、恩恵が徐々に流れ下ってゆくにつれて、人材の取り合いが始まるだろう。今までリストラによって、貴重な人材が、貴重な技術の継承が、断たれてきたのだから。
[若木から育てるには年数がかかる]
◎企業という森で、太い貴重な樹(器)を切り倒すのは一瞬だが、若木から育てるには年数がかかる。森の木を切ることによって、降って来た雨(仕事)は、そこに留まる(自分たちで請け負わずに)ことなく、一気に流れ(外注に出し)てしまう。
[目先の利益に走った故の自業自得]
◎その結果が、今回の一連のトラブル・事故・欠陥を引き起こしたと言えるのではないか。目先の利益に走った故の自業による自得といえばそれまでだろう。これから、このような事態が大企業のあちこちで発生するだろう。いや、もうすでにかなり発生済みだが。
[おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな]
◎今回の話は、企業にとって、人材の育成と技術の継承がもっとも大切な仕事であると肝に銘じなければならない、大切な教訓、他山の石であろう。
松尾芭蕉は鵜飼いを見て次の俳句をよんだ。
「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」