真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

与党が頭を抱える一事不再議

[国会でいつもにはない面白い論議]
◎今、国会ではいつもにはない、面白い論議が交わされている。このような本気の論議が国会で交わされるのは、本当に久しぶりのことではないだろうか。与党は野党を納得させる説明をせざるを得ないのだから。
[与党は二つの点で困っている。]
◎我々国民には面白い国会審議ではあるが、与党にとっては、このような衆参でのねじれに、二つの点で困っている、というより、苦しみもだえている。というのも、現実的には、野党の方が有利なのだから。
[参議院で法案は否決される]
◎一つめが、与党が多数を制する衆議院でたとえ法案を可決しても、少数与党になってしまった参議院で、その法案は否決されてしまう可能性がきわめて大きいからだ。
[再可決すれば済む]
◎しかし、この場合は、再度、衆議院に戻して、三分の二を有する与党が、強引に再可決すれば済む。国民がそれをどう判断するかは別にして。安倍首相に任期(人気)がなかった、一つの理由がこの強行採決であったことを心すべきだが。
[一事不再議]
◎所が、与党はもう一つのことで頭を抱えている。実は、こちらの方がはるかに重大な問題である。致命的とすらいえるかもしれない。それは「一事不再議(いちじふさいぎ)」である。
[再度審議することが否定]
Wikipediaより引用。


一事不再議とは、会議体における原則のひとつで、会議体において一度議決・決定した事柄については再度審議することが否定されるとする原則をいう。同一事項が蒸し返されることにより、議事の効率的処理が妨げられることを防止するために認められる。会議体の合理的運営を目的とする原則である。
[参議院は審議することを否定]
◎要するに、与党がある法案を衆議院で可決したとしても、野党が同一内容(もちろん完全同一では出す意味がないが)の法案を参議院で可決してしまえば、与党がせっかく衆議院で可決した法案であっても、参議院は、一事不再議を盾にとって、審議することを否定してしまう、否決ではなく。これが野党の秘訣である。
[審議未了にもならない]
◎審議に入らなければ、審議未了にもならない。そうなければ、審議されることもなく法案は流れてしまう。少なくとも、衆議院に再度戻せるのは、参議院で否決されるか、60日経過して審議未了になった場合である。
[衆議院に戻せない]
◎そもそも審議にすら入らない場合には、衆議院に再度戻しようがない。つまり、与党には打つ手がなくなってしまう。衆議院で再可決という手段を断ち切られてしまう。今回、一事不再議はそういう力を野党に与えてしまった。魔法の杖ともいえよう。一振りすれば、あら不思議、与党の法案は消えてしまう。
[参議院での方が早く採決]
◎そこでだが、衆議院参議院がヨーイ、ドンで、同時に、同一法案を審議すれば、現実的には、参議院での方が早く採決することが出来る。つまり、野党が多数を占める参議院で、法案を出されてしまえば、衆議院で可決しても意味を成さなくなってしまう。
[議長を野党が取る]
◎しかも与党にとって不利なことに、参議院を仕切る議長を野党に取られているから、与党がゴリをしようにもできない。逆に、野党のペースで進められてしまう。だから、与党はすごすごと引き下がらざるを得ない。
[低姿勢あるのみ]
◎その結果、どちらかといえば、与党は野党の機嫌を損ねないようにきわめて低姿勢に進めざるを得ない。もしかすれば、麻生氏が首相になれなかったのは、そこまで読んだ結果かもしれないとまで疑ってしまう。押してもダメなら引いてみな、というところだろうか。そちらの方が福だといえるのかな。