真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

おもひでぽろぽろ

[おもひでぽろぽろ]
◎昨日(2007/10/19)、テレビで、「おもひでぽろぽろ」を見た。これを見たのは二回目だった。一回目はいつ見たか記憶にない。その時には、心に残らず印象の薄いアニメだなと感じていた。何故なんだろうか。自分の関心からは遠いからであったのだと思う。
[見たい気がしなかったが見ずにはいられなかった]
◎それ故に、見る直前まで見たい気がしなかった。しかし、心の底で、盛んに「見ろよ」「見たいな」という衝動が後押しした。ついには、見ずにはいられなかった。
[暖かい涙がじわーっと広がった]
◎所が、どうだろう、今回見終わった時には、目には暖かい涙がじわーっと広がってきた。落ちる涙ではなく。風呂に入って体に暖かさがしみこんでくるような、空きっ腹に、温かい飲み物を流し込んで、胃の壁にその温かさが広がるように、そんな涙であった。しかも、見終わった後にもいろんな情景がかなり鮮明に思い出せる。
[何に対する涙なのだろうか]
◎この涙は何なのだろうかと考えた。何に対する涙なのだろうかと思った。出てきた答えを、一言で言えば、「よかったな」涙であった。主人公のタエ子への心の中での拍手の、「よかったな」涙であった。傍にいたならば、音を立てずに、うんうんと頷きながら、拍手したい思いであった。
[後悔したくなるように思い出ばかり]
◎劇中に盛んにタエ子の小学校五年の思い出が繰り返される。それらは彼女にとって今更ながら後悔したくなるような思い出ばかり。27歳のタエ子が今何故小学校五年の思い出なのだろうかと考える。
[毛虫から蝶へと羽ばたく前のもがき]
◎その頃と今とに通う共通項、「さなぎ」、があると彼女は感じた。つまり、毛虫から、蝶へと羽ばたく前の、もがき、屈折、構造改革、の時期である。それ以前にはガキとして無心でいられたのに。
[ガキから女性へと変身]
◎小学校五年は女子にとって、単なるガキから女性へと変身するさなぎの時期なのだろう。
小学校五年の男子は未だガキであり続けているが。その時期は、何気ないことで心が揺さぶられる、多感な時期だ。その時にはタエ子は蝶へと羽ばたけなかった。
[心地よい居場所と心地よい相手]
◎蝶へと羽ばたけなかったとの思いを引きずる(それ故に盛んに思い出として蘇る)彼女は、親戚の田舎へ向かう。そこで過ごす内に、トシ夫と彼の暮らす田舎の中に、自分の打ち込める心地よい居場所と本音を出せる心地よい相手を見出す。
[先へは踏み込めない]
◎しかし、そこから先へは踏み込めない。小学校五年の時もそうだった。さまざまなことに対して、一歩前へと踏み込めなかった。
[タエ子にトシ夫との結婚を]
◎それを察するかのように、おばあちゃんが思い切って、タエ子にトシ夫との結婚を勧める。子供の時と同様に今回も、トシ夫との結婚を求められても、踏み込めない。踏み出せない。あのころも、踏み込めないで後悔したのに。
[思い出がタエ子に前へ踏み出すように後押し]
◎田舎の親戚に別れを言って、汽車に乗り込んだ時、小学校五年の思い出がタエ子に前へ踏み出すように後押しする。ここがクライマックスだ。大勢の小学校五年の思い出たちが思い切りなよと、後押しする。
[彼らの待つ田舎へととって返した]
◎彼女はきっぱりと決意と決心して、彼らの待つ田舎へととって返した。その時に湧いてきた涙が、「よかったな」涙であった。
[跳び箱]
◎だだだっと走って来て、踏切台で強く踏み切って、跳び箱を跳び越えなければならない時が人生には何回か存在する。彼女は、跳び箱の大きさを前にして、どうしても強く踏み切って跳躍できなかった。今度こそは、やったね、よかったね。