真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

11は10より大きいか

[10と11ではどちらが大きいか]
◎お母さんが、小学校一年の息子に尋ねました。「数字の10と11では、どちらの方が大きいの」。
[10だよ]
◎小一の息子は、しばらく考えて、「10だよ」と、きっぱとした口調で答えた。
[10に1足したらいくつ]
◎お母さんは、ため息をついて、彼に言いました。「11でしょ、こんなことも分からないの」といらついた声で言った。「10に1足したらいくつ」。
[11は10より一つ大きい]
◎「11だよ」。「だったら、11は10より一つ大きいでしょ」、「わかった?」。彼はしょんぼりとしながらうなずきました。
[めでたしといえるか]
◎ということで、この少々お馬鹿な小一息子は、少し学力がつきました。めでたし、めでたし。と、いえるのかな。
[大切なものをなくした]
◎私は、彼は何か途方もなく大切なものをなくしてしまったかもしれないと感じるのだ。息子の寂しさに同情を禁じ得ない。
[無垢の発想力]
◎もしかして、彼がなくしてしまったものは、とらわれのない無垢の「発想力」かもしれない。大人の手垢の付いた知識と引き替えに。
注)「発想とは、物事をどのように把握するか、見解をとるか、どういう概念で理解するか」(from Wikipedia)
[彼の答えも正しかった]
◎もしかすれば、彼の答え「も」正しかったともいえる。「11より10の方が大きいなんて有り得るんか」といぶかしがられるかもしれないが。
[数字の数]
◎つまり、お母さんは、数字の内で、「数」について質問した。どちらの数が大きいですか、と。もちろん、この場合にはどう考えても、「10より11ですね」。
[数字の字]
◎ところが、息子は、数字の内で、「字」について、思いを巡らしたとも考えられる。数字の意味ではなく、字の大きさ。字が占める面積、ドット数と言い換えてもいいかもしれないが、では、10は11より占める面積は大きいですね。
[常識的な発想、固定観念]
◎しかし、お母さんは、常識的な発想から、もっと言えば、固定観念から、彼の答えも正しいという考えには至れない。
[固定観念をたたきつぶすような設問]
◎テレビ番組で、「IQサプリ」は、そのような、常識的な発想、固定観念をたたきつぶすような設問が出される。堅い頭の持ち主には、頭がくらくらしそうな問題に感じられる質問が連発する。
[発想力が押しつぶされた]
◎あの時が、常識的な発想・固定観念から、お母さんによって、彼のとらわれのない発想力が押しつぶされてしまった瞬間かもしれない。
[学力以上に発想力]
◎もちろん、どちらの能力も大切ではあるが、これからの社会で強く求められる能力は、どちらかといえば、学力ではなくて、あるいは、学力以上に、発想力であろう。
[学力が社会でもっとも必要な能力?]
◎単純には結論を出せないが、一般に お母さん方は、いまだに学力が社会でもっとも必要な要求されている能力だと考えておられるように思える。
[学力が全てを決するか]
◎同じように、これからの教育を考えているお偉い方々も、学力が全てを決するかのごとくに考えておられるのではないかと、危惧する。新しい指導要領などからすれば。
[先進技術を要求する企業の求める人材]
◎知識量を増やしたり、知識を詰め込む授業時間を増やしても、先進技術を要求する企業にとっては、求める人材の育成にはなってゆかない。
[発展途上国向けの教育方針]
◎大雑把に、世界の国々を、先進国、発展途上国、後発国とに分ければ、日本の教育界が目指す人材育成は、 発展途上国向けの教育方針である。これでは、先進諸国からは取り残される危険性はきわめて大きい。