真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

「白い巨塔」の再放送(最終回)を見て感じたこと

[白い巨塔]
◎今日(2008/3/4)、「白い巨塔」(山崎豊子原作の小説のテレビドラマ版)の再放送版の最終回を見た。テレビを付けた頃には、もう始まっていた。懐かしいと思わず見入ってしまった。前回(2003年秋から半年間放送)とは違った気持ちで大いに考えさせられる最終回だった。
[最初から最後まで見続けた]
◎その前回版(2003年放送)は、たぶん最初から最後まで、妻と一緒に、最終回まで、続けて見たような気がする、自信はないが。
[財前に対する私の気持ちが変化]
◎今回は、最終回だけ見たからかもしれないが、前回版とは、財前五郎(唐沢寿明)に対する、私の気持ちがずいぶんと変化しているのに気がついた。
[財前を悪と弁護士側を善と見た]
◎前回版を見ているときには、勧善懲悪的な気分で、財前を悪と、弁護士側を善と見ていた気がする。そこに焦点が合ってしまった。
[無念の涙に同情すら]
◎がしかし、今回は、彼の悲哀、輝かしい未来を閉ざした病への無念さ、すら受け止めてしまった。無念の涙に同情すらしてしまった。前回は、ただただ憎い、患者を踏み台にのし上がろうとする、醜い医者にしか見えなかったのに。
[俺のしたことは良くなかったのか]
◎しかし、再放送版の最終回での財前の言葉、俺のしたことは良くなかったのだろうかという、疑問の提示が、強く心に引っかかった。
[それは良くないと言い切れた]
◎前回版の時には、何のためらいもなく、「それは良くない」と、言い切れた。私は、常に下から見る癖が付いていた。上の者の醜さに、心の底に火がついて、ちりちりと燃え上がった。
[織田信長的な貢献]
◎でも、今回は、ある意味、織田信長的な、「破壊することによって、新しい何かを建設する」という面では、大いに貢献できたよと、「小の虫は殺したが、大の虫は活かした」という面はあったかもしれない。とも感じられた。
[未来を閉ざされた]
◎さらに、信長も、新しい統一された国家を見ることもなく、家来に未来を閉ざされたのとダブって見える。彼(財前)も、未来に貢献するであろう、癌センター設立に尽力した。しかし、そのトップの席に座らずじまいになった。
[目の前の出来事に全霊を捧げて向き合う]
◎そのような遠くを見据える財前の生き方に対して、里見脩二(江口洋介)が、歩んだ、もう一つの生き方、目の前の出来事(と患者)に全霊を捧げて向き合うという生き方もある。
[患者本位の医療実践]
◎その生き方は、最後には、回りの全ての者を遠ざけた財前から、全幅の信頼を示されるという、面前する患者本位の医療実践だった。
[正しいことをしたけりゃ偉くなれ]
◎話は変わるが、「正しいことをしたけりゃ偉くなれ」は、「踊る大捜査線」での、「いかりや長介」が演じた「和久刑事」のゼリフだ。
[歪みを正せるのは上層部だけ]
◎構造的な歪みを正せるのは、大きな権限を持つ上層部だけであろう。 という意味では、改革を実行できるのは、内部の人間でしかあり得ない。誰(石原慎太郎?)の言葉か忘れたが、自民党を変えるために、俺は自民党に入ると言った。
[財前は政治家タイプ]
◎そのようなことを考えると、私は、財前五郎(唐沢寿明)は政治家タイプであると思える。それに対して、里見脩二(江口洋介)は、仕事一徹、現場主義の職人タイプではないかと思えた。
[自分の目標に突き進んだ]
財前五郎里見脩二と、どちらの生き方が正しいかではなく、それぞれが自分に合う生き方を選んだということだろう。それぞれが、一生懸命、自分の目指す目的・目標に向けて突き進んだと感じた。
[両者を等距離から眺めた]
◎自分の話になるが、前回は、完全に、里見の生き方、医療ミス裁判での弁護士の生き方を、是とした。しかし、今回は、最終回だけ(過度の感情移入せずに)見たからかもしれないが、両者を等距離から眺められた。
[素晴らしい生き様を見せていただいた]
◎自分の心が、広がったか、より高い俯瞰を得られたからかもしれない。と自分を振り返る機会ともなった。ともかくも、二人の医師、一人の弁護士と、素晴らしい生き様を見せていただいた。感謝。