真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

チベット問題の真相と深層

[噴出したチベット問題]
◎今日(2008/3/31)、「噴出したチベット問題」(from:伊藤洋一の『BRICsの衝撃』)を読んた。
[チベット(自治区)の暴動・デモ]
◎地理や歴史に疎い私(もちろんそれ以外にもたくさんあるが)は、第二次世界大戦後に中国が占拠併合したチベット(自治区)の暴動・デモについて、その意味するところが全くといっていいほど分からなかった。
[コラム記事を読んで納得]
◎所が、今回伊藤洋一氏のコラム記事を読んでそうだったのかと納得した。特に、一番疑問に思っていたのは、中国にとって、北京オリンピックがある今、そんなに派手に鎮圧行動に出なくても、いいのではないか、それなのに何故なのだろうか。というものであった。
[上手い解説]
◎伊藤氏は、それに対して、お見事といえるほどに、上手く解説している。それを踏まえての、たぶん引き写しに終わりそうな、私の理解を記していきたい。さて、どうなりますか。
[民族(多民族国家)問題を抱える中国]
◎中国(漢民族)は、チベット自治区新疆ウイグル自治区(イスラム系)、内モンゴル自治区、台湾を抱えている。台湾を別にすれば、これは民族(多民族国家)問題を抱えていることを意味する。
[イラクで民衆抑圧する強圧的政治]
アメリカによるイラク戦争で崩壊したイラクは、それまで民衆を抑圧する強圧的政治が民族問題をも押さえ込んでいた。それはそれで上手く機能していた。
[戦後民族問題が一気に表面化]
◎が、アメリカが、そのフセイン政権を崩壊させてしまった結果、民族問題が一気に表面化してしまった。そして、5年前に始まった泥沼の紛争が今なお続いている。まだまだ収まる気配はない。
[経済格差問題を根に持つ]
◎しかし、今回のチベット(自治区)の暴動・デモは、民族問題だけではない。イラクでも同様のようだが、経済格差問題、貧困問題を根に持つ。たぶん、格差問題がなければ、チベットではこれほどの暴動になっていなかったのではないか。
参考資料→チベット騒乱の背後に地下資源問題
[資本にモノを言わせてぼろもうけ]
◎具体的には、中国沿岸地域の大発展によって築いた資本力を持つ漢民族が、 チベット自治区で、資本にモノを言わせてぼろもうけをする。
[チベット人は低賃金で働く]
◎しかるに、教育面でも低いチベット人は低賃金で働かざるを得ない。良い職は漢民族に独占されて、それらにも就けない。そのような現状が民族問題をさらにいっそう大きくしている。
[政権維持に民主化の強力阻止]
◎民族問題を抱えている中国では、共産党による一党独裁政治を行っている。共産党一党独裁政治を維持するために、中国は強力に民主化(自由化)を阻止してきた。
[天安門事件]
◎具体例として、天安門事件(北京市にある天安門広場に集結していた学生を中心とした一般市民のデモ隊が「人民解放軍」によって武力弾圧されデモ隊が殺害された事件:from Wikipedia)がある。
[民主化共産党政権を崩壊させる]
◎民族問題を押さえ込むためにも、この例のように、力によって、民主化を抑えるという政策を取っている。もちろんその理由は、民主化が、共産党政権を崩壊させる可能性が極めて高いからだ。
[中国の大統一が崩壊]
◎しかもそれはそれだけに留まらない。共産党政権の崩壊は、さらにその後に、中国の大統一が崩壊する(民族自決の)可能性も極めて高い。そして、その後は、イラクがたどった道を歩む可能性もある。
[後継者によって統一国家が分裂]
◎過去のさまざまな歴史を見ても、偉大な王(例えば、アレキサンダー大王)が大統一を成し遂げても、それを維持するだけの能力を持ち合わせていない後継者によって、統一国家が分裂の憂き目にあってきている。
[オリンピック成功より民族問題]
◎それを懸念する中国が、オリンピック前にもかかわらず、なりふり構わぬ武力鎮圧に走っているということらしい。中国にとって、オリンピック成功よりも、民族問題はそれほどにゆゆしき問題なのである。
[暴動鎮圧に失敗すれば中国が瓦解]
◎つまり、チベットの暴動鎮圧に失敗すれば、中国が瓦解する可能性すら待ちかまえている。それを恐れての、このような時期にもかかわらずの武力鎮圧に走ったというわけである。
[世界中が中国に降り注ぐ注目を当て込む]
◎ということは、逆から見れば、チベットは、この時期をわざとねらったと考えられる。オリンピック開催ということで、世界中が中国に降り注ぐ注目を当て込んでの行動であったのだろう。
[紛争が続く可能性]
◎しかも、聖火の点火式典を前にしての行動である。さらに聖火が世界中を駆けめぐり、民族問題を抱える地域も走り抜ける。となれば、これからも、まだまだその関連の紛争が続く可能性がある。騒動を拡大しようとするチベットと、オリンピック無事開催に向けて、それを武力鎮圧しようとする中国との思惑から。