真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

日本人は苦痛から逃げない犬

[檻の犬に電気ショック]
◎ある心理学実験が行われた。檻に入れられた犬に軽い電気ショックを与える。その時、入り口が開かないようにしておく。その結果、犬はそのショックから逃げるすべがなくなる。
[ショックから逃げようとしない]
◎それを繰り返すと、犬はそのショックから逃げようとはしなくなる。最初は、暴れたり、檻に体当たりしていたのに、次第にショック後も身じろぎしなくなる。
[もはや逃げない]
◎そうなった後で、犬にもはっきり分かるように、ドアを開けておきながら、電気ショックを与える。犬はドアが開いているのを知っていながらも、もはや逃げようとはしない。
[逃げる意欲をなくした]
◎ここからさまざまなことが考えられる。もう犬は「苦痛に慣れてしまった」のかもしれない。犬は「逃げる意欲をなくしてしまった」のかも知れない。犬は「逃げまいと意志した」のかも知れない。
[犬を人間に置き換え]
◎「軽い電気ショック」を「社会から受ける嫌な事柄」(ストレス)に置き換え、「犬」を人間に置き換えて、考えてみたい。
[日本人は世界16カ国中で最低]
◎ある調査結果を示す。その調査・分析結果は、「仕事に対して『非常に意欲的』と感じる日本人は世界16カ国中で最低となるわずか2%しかいない」という。
参考資料→「「仕事への意欲が最低なのは日本人」――人事戦略コンサルティングの米タワーズペリンが調査:ITpro」
[意欲的でない日本人も41%]
◎逆に、仕事に「意欲的でない」と答えた日本人も41%おり、インドの56%に次いで2番目に低いそうである。
[転職を考えない比率が高い]
◎日本人の特有の傾向として、「仕事に対して意欲的でないにもかかわらず、転職を考えてない人の比率が高い」とその調査結果はいう。
[前向きでないけれども去らない]
◎この結果は、まさに上記の心理実験に使われた犬の心境(?)「逃げる意欲をなくしてしまった」状態と同じではないのだろうか。仕事に対して、前向き(意欲的)じゃないけれども、さりとて、そこから去ろうともしない。
[意欲や忠誠心が高かった日本]
◎日本の労働者、会社人間はかつて、「仕事への意欲や会社への忠誠心が高い」と言われていた。
[終身雇用は辞めます]
◎「これは、過去10年以上にわたって景気が悪く、人員削減をはじめとした急激な組織改革が行われたためだ。会社に忠誠を誓って仕事をしてきたのに、突然、終身雇用は辞めますと一方的に言われ、仕事への意欲がなくなったのだろう」と、米タワーズペリン社は分析する。
参考資料→(私のブログ)「「勤勉と道徳心はどこへ消えたのか」の問いかけに応じて」
[労働意欲を支えているもの]
◎次に、オリコンが20代〜40代の社会人に「労働意欲を支えているものは何か?」というテーマで行ったアンケート調査結果を示す。
[収入]
◎全体の72.9%(複数回答・以下同)と圧倒的に多かったのは、「収入」であった。「収入」がダントツの一位である。
[家族]
◎2位は一位の半分以下の得票数で、「家族」である。これは全体の35.1%。女性(29.6%)よりも男性(40.7%)の回答率が高い。
[仕事に対する責任とやりがい]
◎3位にランクインしたのは、「仕事に対する責任」(30.9%)。4位の「やりがい」(29.4%)が僅差でその後に続いた。
[労働の中身ではない]
◎このアンケート結果からいえるのは、労働意欲を支えている重要な要件は、労働の中身ではなかった。「収入」と「家族」。
[外発的と内発的]
◎労働意欲を支える要因は、報酬や評価といった「外発的」なものと、仕事の内容や自分の成長といった「内発的」なものに分かれる。
[仕事の習熟が意欲を変える]
◎仕事に習熟してくると、「外発的」な報酬や評価ではなく、「内発的」仕事の面白さや自分の成長を重んじる傾向があるようだ。
[就業意欲喪失]
◎しかしながら、就業してからの労働意欲持続問題以前に、就業希望を持ちながら失業状態の長期化により求職活動する意欲を失った就業意欲喪失という、職場獲得意欲喪失問題というのもある。
[獲得された意欲喪失は持続]
◎これも、上記の心理実験の犬の心境であろう。意欲持続はとても難しい問題である。実験犬が示すように、いったん、獲得された意欲喪失は持続する。
[門戸開放後も入らない]
◎外からの根気強い働きかけがないと、その克服が難しい。門戸が開放されてもそこから入ろうとも出ようともしない、あの実験犬が示すように。
[良好だった労働環境をぶち壊した]
◎もしかすれば、終身雇用制度の撤廃は、日本にとてつもなくデカイ問題を持ち込んだのかも知れない。目先の利益のために、日本の良好だった労働環境をぶち壊したかも知れないのだ。