真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

コモディティ化(付加価値崩壊)とわびさび

[消費を襲う“付加価値崩壊”の波]
◎最近、「消費を襲う“付加価値崩壊”の波 | 時評コラム」from"nikkei BPnet<日経BPネット>2009/01/13"を読んだ。
[現代日本社会の心性]
◎それは、私が「現代日本社会の心性」について感じていた内容をとてもうまく表していた。
参考資料→(私のブログ)「死者は灰になるだけでなく金にもなります」(2009/01/27)
参考資料→(私のブログ)「売上好調なコンビニは日常生活便利店」(2009/01/22)
参考資料→(私のブログ)「デフレのどこが悪いのだろうか」(2008/12/20)
[いくつかを引用]
◎ということで、今日(2009/02/05)は、そこからいくつかを引用しながら、同時に、「現代日本社会の心性」に関する自分の考えをも示したい。
[付加価値が崩れ落ちていく]
◎最初の引用は、「今われわれが目にしているのは、日本の消費財企業が脈々と築いてきた「付加価値」が、もろくも崩れ落ちていく姿である」である。資源のない日本が得意とするのは、「付加価値創造」であった。
[コモディティ化宣告]
◎次に、「コモディティ化宣告は“付加価値の死”を意味する」という。「コモディティ」とは、日用品の意味だが、つまりは、付加価値に意味を見出さない「実用一本槍」とか、「実用本位」の製品のことである。
[ステータスシンボル]
◎例えば、私が若い頃は、自動車は憧れの「ステータスシンボル」(社会的地位や成功の象徴)であった。だから、「格好良さ」とか、「大型車」や「スポーティー」という付加価値が重要であった。
[あらゆる分野の商品を飲み込む津波]
◎所が、「付加価値崩壊の波はパソコンや自動車だけでなく、あらゆる分野の商品を飲み込みつつある」ともいう。
[10年以上前から着実に進展]
◎しかも、その「付加価値崩壊は、不況下の一時的現象ではない。10年以上も前から、この動きは着実に進展していた」ともいう。
[すっぴんの日用品]
◎自動車も日本人にとって、「ステータスシンボル」という「厚化粧」を完全にそぎ落とした「すっぴん」の日用品になってしまったという。だから、販売が堅調なのは、「ステータスシンボル」抜きの軽自動車であるという。
[単なる日用品]
◎同様に、パソコンにおいても、台湾製ノートパソコンが登場して以来、高い買い物をする特別品ではなく、単なる日用品だとの認識が確立されたように思える。
[高級商品を百貨店の衰退]
◎パソコンや自動車以外の消費行動においても、高級商品を主に扱うデパート(百貨店)が衰退し、日用品を扱うコンビニが着実に伸びていっている。
[ブランドイメージはもはや霧散]
◎ここでも、キーワードは「コモディティ化」である。「デパートで買う」という付加価値が崩壊しているということである。「デパート」(百貨店)というブランドイメージはもはや霧散してしまった。
[Simple is best]
◎話は変わるが、面白いことに、"Simple is best."(簡単が一番)という英文が日本でもてはやされている。その英文をグーグルで検索してみると、約267,000件と表示された。26万件以上もヒットするんですね。日本語にいかに浸透したかが分かる数字である。
[わびさび精神・ゆかし心]
◎そこで、私の勝手な解釈なのですが、「付加価値崩壊(付加価値の死)=コモディティ(日用品)化=実用本位=Simple is best=「わびさび」精神・「ゆかし」心」とくくってみた。
[精神的成長によるデフレ]
◎私は、自分のブログ記事「デフレのどこが悪いのだろうか」(2008/12/20)中で、「精神的成長によるデフレ」という言葉を使った。
参考資料→「市場半減!〜成熟社会化による “モノ消費”の崩壊 | 時評コラム」from"nikkei BPnet 〈日経BPネット〉"
参考資料→「クルマを買わない草食男子は、「見栄消費」しない」from"日経ビジネスオンライン"
[ものによらないで得られる喜び]
◎それを「ものによって得られる喜びから、ものによらないで得られる喜びへと比重・優先順位が移り変わってきていることから来るデフレ」と定義した。
[上品で落ち着いた美しさ]
◎その中で、「ゆかし」という言葉も使った。「上品で落ち着いた美しさがある。奥深さがあって心がひきつけられる感じ」を意味する。
[わび・さび]
◎「ゆかし」は女性(貴族)的であるが、それよりも、禅(武士)的なそぎ落としによって生まれたのが、「わび・さび」(fromWikipedia)であると思う。
[端的に表現する文]
◎私は、「わび・さび」をもっと端的に表現する文に出会いたくて、ネットを徘徊した。その中で、素晴らしい表現に遭遇した。
[侘び寂びの精神性]
「「侘び寂び」とはこの時代の利休や芭蕉(17世紀)によって完成された日本独自の美意識です。「侘び」とは余分な情報にとらわれることなく、一切の無駄を削いでいくことで本質そのものを直観するという精神性・・・「寂び」とは目新しいものを追いかけるのではなく、時の流れに耐えていまなお在るものにそっと目を向け、時空のかなたの本質を直観するという精神性、この二つの精神性に支えられた美意識を「侘び寂び」と呼んだのです」
[Simple is bestへ向かって進む]
◎私は、日本人の心性(精神性)は、女性(貴族)的「ゆかし」や、禅(武士)的「侘び寂び」へ、英語で言えば、"Simple is best"、へ向かって進んでゆくのではないかと感じる。それが、私が現代日本社会や日本人に感じている心性である。
[やっぱりなと感じる資料や根拠]
◎それを裏付ける資料や、根拠が欲しいと願っていたが、時評コラム「消費を襲う“付加価値崩壊”の波」が、やっぱりなと感じる資料や根拠を与えていただいた。感謝、感謝である。
[徐々に徐々に増えて行く]
◎もちろん、全員が同時にそちらに進むわけではなく、潮が知らぬ間にそっと増えてゆくように、その割合が徐々に徐々に増えて行くのではないかと思う。
[白から黒へと一気に反転する潮目]
◎そして、オセロのように、ある数に達すると、白から黒へと一気に反転する。そして、後から考えてみて、「ああ、あそこが潮目だったんだな」と、納得される。