真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

共有地の悲劇とルールの投げ込み

[出社が楽しい経済学]
◎最近、私は、NHKの番組を見る機会が多くなった。もちろん、見たい番組が増えたからである。そんな中で、「出社が楽しい経済学」も時々見ている。
[経済学も身近なことに関わりがある]
◎題名に「楽しい」という言葉が入っているように、経済学用語を楽しい「コント」でわかりやすく紹介してくれる。経済学も身近なことに、関わりがあるのだなと実感できる。
[共有地の悲劇]
◎昨日(2009/03/14Sun)、第10回「共有地の悲劇」"を見た。なるほどこれはすごい視点だなと思ったので、今日はこれを取り上げたい。
参考資料→「共有地の悲劇」from"Google 検索結果"
[生物学者ギャレット]
◎「共有地の悲劇」とは、もともとは、生物学者ギャレット・ハーディンが1968年に「The Tragedy of Commons」としてそれを発表した。
[共有資源が乱獲]
◎その時の意味は、「多数者が利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまう」という限定的な法則であった。
[すべての農民が被害]
◎「共有地(コモンズ)である牧草地に複数の農民が牛を放牧する。農民は利益の最大化を求めてより多くの牛を放牧する。自身の所有地であれば、牛が牧草を食べ尽くさないように数を調整するが、共有地では、自身が牛を増やさないと他の農民が牛を増やしてしまい、自身の取り分が減ってしまうので、牛を無尽蔵に増やし続ける結果になる。こうして農民が共有地を自由に利用する限り、資源である牧草地は荒れ果て、結果としてすべての農民が被害を受けることになる」(fromWikipedia)
[さまざまな場面でも当てはまる]
◎所が、この行為は単に「共有地」に限定されずに、実にさまざまな場面でも当てはまる。例えば、私たちにとっては命と同じほどの空気も「共有地(コモンズ)」である。そしてその「共有地(コモンズ=空気)」においても、今まさに、共有資源の牧草地と同じ現象が起こっている。
[最適な最良の行為が不幸をもたらす]
◎「共有地の悲劇」をより一般的に言えば、個人個人にとっては最適な最良の行為が、全体にとっては不幸な結果を生む。それがひるがえって、個人個人に不幸が降りかかる。最適な最良の行為が不幸をもたらす。
[部分最適全体最適]
◎そこで思い出すのが、部分最適全体最適という言葉である。「システムや組織において、各部分機能の最適を図ることを部分最適、システム・組織の全体の最適を図ることを全体最適という」
[組織全体の最適に寄与するのか]
◎つまり、視野範囲を自分一人に置くか、組織全体にまで拡大するかということでもある。自分にとっての最適が、組織全体の最適に寄与するのか害するのか。
[目的に照らして]
◎例えば、人体の血液はすべての臓器を同時に働かせるほどの量はない。そこで、人体の目的目標という基準に照らして、配分することになる。ジョギングとか読書とかの目的に照らして、血液を必要臓器に重点配備する。
[階層構造として捉える]
◎私は、これを階層構造として捉えれば、わかりやすいのではないかと思う。一階を個人の部屋とし、二階を全体の部屋とする。二階の床は総ガラス張りで、階下の一人一人の動きが見える構造にする。全体の動きを見ながら、自分の動きを決める。
[解決法は、そこにルールを放り込む]
◎この悲劇への解決法は、「そこにルールを放り込む」ことである。あるいは、「自由放任」というルールに、さまざまな制限や条件をかけることである。
[自由競争からルールに基づいた協調]
◎「自由競争からルールに基づいた協調」への切り替えである。つまり、個人個人が勝手に行動するのではなく、あるルールに基づいて行動する。それが「協調」である。
[基準を全員が受け入れる]
◎先ほどの空気について言えば、「温室効果ガスの排出量を一定量削減」するという基準を全員が受け入れる。そして、それを有効に働かせるために、賞と罰を取り入れる。
[利益と損失]
◎規定量以上の削減をした量は売ることによって、利益を生み出すことができる。削減を達成できなければ、その分量を買い取ることで埋め合わせる。
[削減するためには費用がかかる]
◎ここには、削減するためにはコスト(費用)がかかるという事情がある。削減費用をかけたくないが、かけなければ、その分は購入するという費用がかかる。
[協調へと自動的に進む]
◎逆に、規定以上に削減できれば、その枠を売ることで相殺することができる。かかった費用よりも収入の方が多いこともあり得る。このようなルールを放り込むことで、自由競争から、ルールに基づいた協調へと自動的に進む。
[モーセ十戒]
◎突然の話題の転換であるが、「モーセの十戒」(fromWikipedia)という言葉がある。モーセが神から与えられたとされる10の戒律である。
[全体最適をめざして部分最適を調整]
◎より高い立場から、全体最適をめざして、部分最適を調整・限定させる。それには、全体を覆い尽くす、ルールを放り込む必要がある。それにはまず、バラバラの個人(部分)を集団(全体)にまとめる必要がある。
[ルールを放り込む役目はリーダー]
◎集団にあっては、そのルールを放り込む役目は、リーダーである。が独断でやれば、全体が納得して、それを受け入れさせることが難しくなる。それを機能させる手段が会議である。
[全体最適が犯されて初めて部分最適を調整]
◎しかし、今回のアメリカ発の経済危機のように、全体最適が犯されて初めて、部分最適を調整・限定させるルールを放り込むという後追いしかできない。あるいは、北朝鮮のように、テーブルに着くことすら拒めば方法(ルール)は一段と狭まる。