真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

老人が戦う相手はこんなにも多いのです

老人力
◎もう今ではかなり前のことになるだろうか、「赤瀬川 原平」氏が、「老人力(fromちくま文庫)」(2001/09出版)という本を出された。それはベストセラーになった。この本は高齢化社会を迎えるに当たって新しい視点を投げ込んだ。
「明るく前向きに老化を捉える」
◎といっても、私は読んでいないのだが。書評などを見ると、その本は、「老化による能力の衰えが、それとは対局に位置する能力を浮かび上がらせる」のではないかと明るく前向きに老化を捉えている、と読み取れる。
「劣位にあった能力が表面化」
◎若者が得意な能力。その能力が衰えてくると、その影にあってそれまで表面に出てこれなかった能力が浮上してくるのではないかと思える。
「矛盾的自己同一」
◎(私が勝手に唱えている)宇宙原理に「矛盾的自己同一」というのがある。正反対のものが同居するという意味である。そして、大抵の場合、その内の一方が優位で、他方が劣位、あるいは潜在化している。
参考資料⇒(私のブログ記事)「宇宙原理としてのトーナメント形式」
「他方が表面化」
◎ということを考えれば、それまでさまざまな能力を開発されてこられた方は、どれかの能力が衰えても、それに反比例して、矛盾的自己同一にある他方が表面化する、といえる。
「老化を嘆かなくてもよい」
◎だから、本当は老化することを嘆かなくてもよいのだろうが、どうしても若い頃、若い人と比較をしてしまい、マイナスと捉えがちである。
「戦わねばならない相手」
◎とはいってもやはり、老人になれば、若い頃と違って、戦わねばならない相手が増えてくる。という言葉を聞いても、若い方や壮年期にある方々は、けげんな顔をされるのではないだろうか。
「戦わねばならない相手を紹介」
◎私ももうすぐ62歳となる身である。そろそろ「老人」と言われても致し方ない年齢に達した。私や私の妻(間もなく57歳)が戦わねばならない相手を紹介することにする。
「億劫」
◎1)「億劫」(めんどうで気が進まない気持ち)である。これは極めて強敵である。しかも、年齢が進むと共に確実に強大化する。とはいえ、「お母さん、これして、あれして」と他人に頼るわがままな若者にも取り付く怪物ではあるが。
「記憶力」
◎2)「記憶力」である。これも強敵で、「億劫」と同様に年と共に確実に強大化する。この記憶力は、50代辺から差し足忍び足で近づいてくる。
前頭葉の老化」
◎「あれ、俺は今何をしようとしていたんだっけ?」と、台所に来たのに、その目的を忘れてしまいうろたえる。これは前頭葉の老化だと思える。
「一番遅く完成、一番早く老化」
◎人間を人間らしく振舞わせる前頭葉は、一番遅く完成し、一番早く老化し始める。老人のわがままやがんこはこれが原因なのだろう。
「身近にメモ用紙」
◎私は記憶力減退への対処として、常に身近にメモ用紙を置いておくことにしている。しかし、しょっちゅう、そのメモをどこに置いたか忘れる。その結果、アチラコチラを訪ね回るはめに陥る。
「体力」
◎3)「体力」である。60代になりかかると、腕や足の筋肉がずいぶんと細っているのに気がついて愕然とする。また、食後、特に昼食後、絶えがたいほどの睡魔に襲われることがよくある。
「億劫と体力が手を携えて」
◎「億劫」なる怪物が、以前は歩いていった場所へも自転車に乗れとせがむ。あるいは、怪物が勝手に「まあいいか〜」とつぶやく。億劫と体力が手を携えて立ち向かってくる。
「病魔」
◎4)「病魔」である。三大成人病(がん、心臓病、脳血管障害/脳卒中など)だけで、死因の6割を占める。一位「がん」、二位「心臓病」、三位「脳血管障害」で、この10年間変わっていない。
「がんは常に第1位」
◎ちなみに、第4位が肺炎で、第5位が不慮の事故である。そのうちで、「がん」は、昭和56年から常に第1位となっており、約3人に1人がこれで亡くなっている。「ガァ〜ン」と頭をぶたれる数字である。
「病気で死ぬ率が高い」
◎特に、60歳〜90歳の間の人間にとっては指定席である。つまり、高齡(60歳以降)になると、病気で死ぬ率が、特にガンで死ぬ率がとても高いことになる。
「治療費や家族を巻き込む介護」
◎実を言うと、高齢で病気になる怖さは、病気そのものよりも、そのために支払わねばならない治療費である。「病魔」そのものが怖いというよりも、その結果の「治療費の支払い」や「家族などを巻き込んでの介護」である。
「近親者の人生を狂わせる」
◎病者への介護が近親者の人生を大きく狂わせることにもなりかねない。それを考えると、自分の健康を死ぬ直前まで保ちたいものである。自分の子供の人生を狂わせたくない。
「貧困」
◎5)「貧困」である。冷蔵庫が壊れても、そう簡単には買い換えられなくなる。テレビの映りが悪くなっても、だましだまし、なだめすかしながら、使うことになる。
「臨時収入は期待できない」
◎いざという時のために貯金を切り崩したくはない。高齡になれば、臨時の収入は期待できないのである。月々の入りは決まっている。だのに振り込め詐欺にあれほどたやすく引っかかるのはなぜなのだろうか。
「孤独」
◎6)「孤独」である。公園などに行くと、孤独な老人がベンチに座ったり、芝生に寝転がったりしながら、ひなが一日を過ごす光景にあちこちでお目にかかる。
「時間」
◎7)「時間」(退屈)である。ちまたを見ると、はっきりした生きる目的・生きがいを持たない老人が多いのに驚く。つまり、時間の決まった使い道がない高齢者が多い。平日などは、どの公園も老人で溢れかえっている。
「強敵と互角に戦う老人」
◎これらすべての強敵を相手に、老人は日々戦っているのである。これらの強敵と互角に戦っている老人を、尊敬すべき存在だと賞賛していただければ有り難い。