真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

龍馬の偉大さはどこから来るのか

◎東京で就職した長男が久々に帰ってきた。大阪と東京では、放送されるテレビ番組が幾分か異なっている。話題が龍馬伝になった。彼も見ているという(もう最終回が終わったが)。
◎その中で、龍馬の偉大さがどこにあるかを話し合った。ということで、今日は、48回に渡って放送された、NHK大河ドラマ龍馬伝」が描く坂本龍馬像から得られた、私の感想である。
◎私は龍馬について書かれた本を読んだことがないので、実際の龍馬はどんな人物であるかはほとんど知らない。でも「龍馬伝」は実像と大きく外れてはいないだろうとは思う。
◎まずは龍馬の人生を決することになったと思われる生い立ちをWikipediaを参考にして列挙してみた。参考資料⇒「坂本龍馬」=from"Wikipedia"
◎1)次男である。次男であるということは、家・家督をつぐ必要がなかった。それが次の2)、5)、7)などの経験を可能にしたと感じる。長男であれば、家の継続という重荷のために、どうしても視点が固定しがちである。
◎2)非常に裕福な家庭であった。江戸遊学などが許されたのも裕福な家庭であったからである。その対比として、極貧の岩崎弥太郎が、番組の展開では使われていた。その相違が彼らの人生行路(経済界と政治世界)が大きく反れて行ったのだろう。
◎3)下士の身分。元々の武士ではなく、武士として取り立てられたので、下士であった。番組の前半ではその身分の低さがどういうものかを取り上げられていた。彼はそれを身に染みて味わっている。それが明治での身分制撤廃への遠因にはなっただろう。
◎4)12歳のときに母・幸が死去。一番という居場所が家庭ではないという立場がとれた原因の一つではあっただろう。偉大な人になる人(例えば道元)は幼い頃に母親を亡くしていることが多い。これは単なる私の個人的な思い込みだろうか。
◎5)藩籍から離れて一方的に主従関係の拘束から脱する脱藩を決行している。龍馬は脱藩浪士になった。その彼が藩主やそれに近い人々に面会が許されるというのは、彼の偉大さを証明している。もちろん海援隊(勝海舟)という後ろ盾があったにせよ。
◎6)長崎や下関からの珍しい土産話などを聞いたとされる。また、世界地図や数々の輸入品を見て外の世界への憧れを高めた。外国への興味、関心、憧れを持っていた。彼は実に多くの外国を実感できる機会を手に入れている。時代がそうさせたのだろうか。
◎7)絵師河田小龍宅を訪れて国際情勢について学び、河田から海運の重要性について説かれて大いに感銘した。関心や憧れだけでなく、実際の知識も持っていた。このような外国に関する詳しい知識に触れる機会も多かった。
◎これらの生い立ちは、龍馬に強い固定点を持たない浮動の視点を与えた。これが、誰か(家長、藩士、役人など)からの側に立って、説得するという立場を持たないで、公平無私な視点からの論議を可能にした。
◎人を説得するには、そして実際に相手にその説得に応じさせるには、相手の立場が分かった上で、かつそれを含むがもっともっと大きな広い立場を頭の中に描いて、その絵柄を相手に言葉で描いて見せて了解・納得させる必要がある。
◎あなたの視点で行動すれば、こういう不利な結果を招きますよ。もちろんこういう利点もあるにはあるのだが。でも、もっともっと大きな視点から見て、こういう行動をとった方が、あなたに取って有利に展開しますよ。
◎このように、論点をきちんと整理して、有利な点、不利な点、を列挙する。そして、相手が十分に吟味できる時間を与える。冷静な判断をさせるために。熟考する前の判断は感情が多分に混じりやすい。
◎現代の営業で、営業マンが、相手の立場に立って、相手が得する利点を述べても、聞き手は、「本当は自分よりも彼の会社の利点から勧めているのではないか」と疑ってしまう。その疑いを取り去ることが絶対に肝要である。
◎そんな時に、相手をも、会社をも、ともに公平に眺められる公平無私な視点を提供できるかどうかが、信頼を得る前提になる。会社の有利な点も不利な点も正直に言う方が信頼が得られる。
◎話が少しそれるが、疑惑を持たれた人物が記者会見をするときには、ほとんどの場合、抽象的な表現で疑惑を否定するだけである。これでは、全く疑惑は晴らせない。
◎もし、本当は悪いことをしているならば、素直に謝るほうが、日本においては、とちらかといえば、好印象を与えられる。否定すればするほど、疑惑は真実味を帯びてくる。マイナスがそれだけ大きくなるだけである。
◎話を龍馬に戻すが、龍馬は大政奉還などで制度を破壊するだけでなく、その破壊のあとに何を建設するかの見取り図すら描いて見せている。
◎これによって、壊す方はかなりの安心感を持てる。それは本当に大きなことである。不安が大きいままで、破壊に向かえば、より長い混沌が待ち受けている。
◎というのは、それぞれが描く未来は余りにも漠然としているために、試行錯誤が長々と続く結果になってしまうからだ。さらに同じ目的に向けて協力するという方向でなく、方向性の違いから、内部分裂に陥りやすい。
◎その点で、菅首相はまことにへたくそである。下手くそであるよりも、余り計算をしないで、思いつきで口に出してしまうのかも知れない。その結果、内部分裂を生み出している。
◎例えば、選挙戦直前の「消費税」発言がその典型である。それが故に民主党は窮地に陥ってしまった。今回の「TPP」への参加表明もそうである。練に練った上での発言とはどう考えても思えない。
◎これは菅首相の人格を表しているのかも知れない。重みのない言葉、口からポット飛び出した熱い湯、おっと違った、言葉を国民に投げかける。高い立場の人々の言葉はすごい重みが加わっていることをよく知るべきである。