真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

「もう一度君に、プロポーズ」の記憶の喪失について思ったこと

1)私達家族全員が楽しみにしていた、テレビドラマ、「もう一度君に、プロポーズ」が、ついに終わってしまった。10回のシリーズでは物足らない、空腹感が残る。
2)なんだか楽しみがひとつなくなって、つまらない、待ち受けるものがあるというのは素晴らしい。期待するものがあるのは、楽しみに待つものがあるのは、ほんとうにうれしいものである。
3)空腹感を埋めるために、筋を思い返してみた。その時に、記憶がなくなってしまうということは、どんなことなのだろうか。想像をしてみた。
4)また、夫に関する記憶がそっくり抜け落ちた妻の心境とはどんなものだろうかと、思いを巡らせていた。相手のことが全くわからないのに、親しげに、図々しい、馴れ馴れしくする男。
5)見知らぬ男女が、恋仲に成り、結婚するには、すこしずつ踏んでゆかねばならない、過程がある。最初は、挨拶すらぎこちないものだろう。
6)それが、何回か顔を見合わせるうちに、気軽に声を掛け合うようになる。二人だけの時間を過ごす方法として、デートをするようになる。
7)その内に少しずつ遠慮がなくなってくる。顔を間近に向かい合わせられ、やがて、手を触れ、腕を組み、肩を抱き寄せる。更には、キスをするようにまでなる。
8)相手の記憶が抜け落ちるとは、そのような積み上げてきた体験が消え失せるということである。すこしずつ登ってきた階段をストーンと下まで落ちることである。
9)一方が、キスをすることさえ、遠慮無く出来るほどの近しさを感じている。だのに、他方は、気軽に声をかけることさえためらわれる、疎遠な状態にまで引き戻されるのである。
10)このように考えを巡らせていると、これは、何も、恋仲の二人の関係だけではないと思えた。例えば、体系的知識と、学習者の間でも言えることではないかと。
11)初学者は、その体系的知識に対して、どこから手を付けたらよいか、相手のことが何もわからないまま、気持ち的なぎこちなさを感じる。
12)または、教師と、生徒の間の、学習、授業のやり取りでも当てはまる。教師は、指導教科に関しては、熟知している。他方、初学者的生徒は、知識には疎遠である。
13)このように、よく知っているもの(人、物、知識、システム、職業などなど)と、ほとんど知らないものとの間で、程度差が大きい場合、初学者の気持ちを如何に軽くさせるか。
14)それは、相手のぎこちない、不安な気持ちにどれだけ寄り添えるか、にかかっている。ドラマ「もう一度〜」で、夫の波留(竹野内)は最初それに気づけなかった。
15)彼は、相手のそのような気持ちにより添えず、もっぱら、自分が望む方(妻の記憶を取り戻させること)を、妻に求め続けた。
16)指導する側、熟練者は、初学者のそのような気持ちを読めないことも多い。その結果、妻、可南子(和久井)は、罪悪感に似たものを感じ、夫を避けてしまう。
17)夫を避けると同時に、過去と向き合うのも避けてしまう。学習者にありがちなのは、強引に指導する指導者を避けると同時に、その教科をも避けてしまう。
18)それに気づいた夫は、離婚を決意する。離婚とは、先に進んでいた夫が、妻を自分のいる地点にまで、強引に引っ張ろうとするのをやめることであった。
19)逆に、妻のたたずんでいるスタート地点へと、引き返す決意のことであった。夫の持っていた、記憶を気持ちの上で、リセットすることであった。
20)夫が妻の気持ちに寄り添って、二人が同じ地点に立ったことによって、妻のほうが、空白の過去を埋める気持ちが生まれた。
21)過去に触れることを避けてしまうつらい気持ちが薄れたので、自分が書いてきた日記を読み、数カ月間の間に知った夫の心を体験して、共に歩める相手と感じられた。
22)これは、同じ気持ち、同じ知識量を持ち合わせない、二人が、共に、前に進むのに必要な心構え、心がけではないだろうか。