真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

ルールブレイカーは新しい時代のルールメイカー

一昔前、"KY"(「空気が読めない」の略語)という言葉が流行った。私はそのことに関して、このブログ内で、「空気を読むことはいいことなのか」(2008/03/29)という、どちらかと言えば批判的な記事を書いた。
これを書いたのが、2008年。速いものである、もう5年半も過ぎ去っている。とはいえ、2006年ころから女子高生言葉として使われ出したそうである。
その記事から引用。
「日本人は、農耕民族で、群れて生きることを余儀なくされてきた。村八分という言葉が強く突き刺さる。農村では、村八分された人は、死人に等しい存在に成り果てるのだろう。田畑に水を引くことが出来なければ、死活問題であった」
農耕民族であった日本人にとって、群れから離れることは死活問題であった。群れることが、もはや農耕民族ではなく、工業社会人である日本人のDNAにいまなおしっかりと刻み込まれているのだろうか。
「「場の空気」を瞬時に読み取る状況判断能力が重要視されることを物語っているが、過度になると「主体性を喪失し周囲に迎合する」こととなり、これも問題である。ある意味、集団同調圧力が強い日本社会ならではの問題かもしれない」と、KYという言葉に関して、知恵蔵に書かれている。
ところで、出井伸之氏は、「日本進化論」の中で、
「Rの世界のビッグプレイヤーは思い切って、自らルールブレイキングをしていくべきです。このルールブレイキングを日本人がやらないと、日本の産業はダメになってしまいます」。
また、「ルールブレイカーこそが、新しい時代のルールメイカーになれるのです」、という。
空気を読むということは、今ある環境を読み解いて、それに従う、適応することである。集団の維持には不可欠の事柄であろう。
ところが、ルールブレイカーは、今ある環境をご破算してしまう。といっても、単なる破壊だけでは悪にしか過ぎない。
そこへ、新しい環境を自ら創造して、フォロワをそこに導き入れるところまで持ち込むことで、ルールメイカーになれる。
例えば、ソニーウォークマンは、ルールブレイキングであった。どこがルールブレイキングかといえば、携帯性(ポータブル)を持ち込んだことである。
この流れは、実に大きい。一旦、携帯性(ポータブル)という概念、機能を、世に知らしめると、次の展開は、「何を」という拡張に過ぎなくなる。
このことによって、携帯性(ポータブル)は新しい時代のキーワードにもなった。携帯電話やタブレットがそれを物語っている。
あるいは、ipodのように、ハードウエアによりも、ソフトウエア(デジタル音楽、iTunesというアプリ)に重きをおく、という流れを作り出す、というルールブレイキング(=ルールメイキング)もある。
ルールブレイキングと同時に、ルールメイキングを行う。日本企業が、世界のトップメーカーであろうとするならば、かくあらねばならない。
しかし、DNAの奥深くまで刻み込まれた、周囲に同調するという体質を革新するのは容易なことではないだろう。
特に、今の日本の教育指導方式、「主体性を喪失し周囲に迎合させる」指導がまかり通っている限りは期待できそうにはない。
最近、問題となっている、体育系での体罰は、リーダーのいうことを如何に、的確に素早く実行して成果を上げるかという、ロボット化を強要する。
これを歓迎する体質が今でも根強く残っている。これは空気を読む体質を強化する指導でしかない。