真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

新しい比較優位を拡大するという道を進むべき日本

以前にも紹介した、中西輝政氏の「なぜ国家は衰亡するのか」の中から、今日は、以下の部分を引用して、それについて話を進めたい。
注)「なぜ国家は衰亡するのか」を読みながら考えたこと
アメリカが80年代に陥った硬直化と90年代の再生へ向けての克服」とは、「自動化できるものは徹底的に自動化し、同時に「戦略中枢」つまり創造を担う部分は絶対に維持してさらに多くの資源をここに割くことにより、追い上げられたトップランナーとして「新しい比較優位」を拡大してゆくという方向性を見いだした」。
注)ヘビは、体を左右に揺らしながらも、目的地に直進していく。一見無駄に見える左右への揺らぎがなくなった硬直化では逆に前に進めない。
日本の工業化のあまりの発展によって、師匠であるアメリカはかなり打撃を受けてしまった。それ故の模索から生まれた方向転換である。
追記)方向転換としての「選択と集中」の事例。「北米の総合電機メーカーとして世界的に有名なGEも、以前は多角化が進んでいました。しかし1980年代にCEOに就任したジャック・ウェルチは、市場で1番か2番の事業に集中し、それ以外の事業は収益が上がっていても売却か撤退することを宣言しました。これにより、事業が整理され、その後の高成長につながったといわれています」引用from"経営用語の基礎知識"
注)金融資本主義という方向へも走ったが、リーマンショックによって、世界から大ブーイングを浴びて、腰折れ状態である。「リーマン・ショックを境に世界的な経済の冷え込みから消費の落ち込み、金融不安で各種通貨から急速なドル安が進み、米国市場への依存が強い輸出産業から大きなダメージが広が」った。引用fromリーマン・ショック - Wikipedia
人間の脳は、意識と無意識で構成されているが、意識は創造部分(もちろん創造のみではないが)であり、無意識は自動化(習慣化)部分を受け持つ。だから、この考えはごく自然なものだ。
自動化は、徹底した効率を求めるための機械化(ロボット化)であろうが、グローバル化時代では、経済性を考えたアウトソーシング化と読み替えることもできる。
注)この著書が出版されたのが、1998年10月である。つまり、15年前。なお、グローバル化は、米ソ冷戦終結後の1990年代に地球規模化した現象(引用fromグローバリゼーション - Wikipedia)。
アウトソーシング化とは、日本が得意とする、系列への下請けへの発注ではない。系列という枠は設けない。
系列への発注は、効率、能率という面では良いだろうが、
東日本大震災(平成23年3月11日発生)において、中小企業の多くが、貴重な人材を失ったり、設備を失ったことで、廃業に追い込まれました。また、被災の影響が少なかった企業においても、復旧が遅れ自社の製品・サービスが供給できず、その結果顧客が離れ、事業を縮小し従業員を解雇しなければならないケースも見受けられました」
引用from"1.1 BCP(事業継続計画)とは"
効率化を追求し過ぎると、不測の事態では長期間立ち往生してしまう。社会性を考慮すると、事業継続は重要課題である。
そこで、不測の事態に備えるために、冗長性をもたせる。
冗長化とは、システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように予備装置を平常時からバックアップとして配置し運用しておくこと」である。from冗長化 - Wikipedia
故に、不測の事態を予測したBCP(事業継続計画)や一見無駄に見える冗長性をも考慮しながらも、効率や経済面を考えて、外製化できるものは、出来るだけ外製化する。
それをした上で、中枢を担う、創造を担う戦略中枢部分だけは内製化する。私は、以前、この好例として、アップルを上げた。
日本の再生もこれに尽きるのではないか。成長途上国にない、「新しい比較優位」を拡大する以外に道はないだろう。
先進国では、真似によって、成長する、若者である成長途上国にはないものを、育てていく。それは成熟した者の最大の課題であろう。
しかし、これを自民党に実行できるとは思えない。見ていると、自民党は未だに、過去に発展してきたコンクリートを最重要課題とみなしているようにしか思えない。
日本には、再生医療、農業の近代化、世界へ向けた(ユビキタス化した)観光立国化、日本文化そのものの発信、などが、「新しい比較優位」なものとしてあげられよう。多くの資源をここに割くことを期待する。