真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

滋賀知事選から見た安倍政権の今後

2014年7月13日に投開票された、「滋賀知事選、与党敗北 元民主の三日月氏が初当選」:(日本経済新聞)した。
三日月氏対立候補は、無所属新人で、自民、公明両党が推薦する元経済産業官僚であった、元内閣参事官の小鑓隆史氏(47)(自民、公明推薦)。
またまた自公候補は、中央とのパイプを持ち出す。パイプの太さを強調する。ある意味、今回の選挙は、中央集権志向か、地方分権化の戦いでもあったということであろう。
別の面から言えば、上からの指示で動く組織と、草の根から個人の意志が集まってできた組織との戦いであったということもできる。
参考資料)(新ポリティカにっぽん)ガザと平和、滋賀と草の根自治:朝日新聞デジタル
また、日本維新の会橋下徹共同代表(大阪市長)は、小鑓氏を支持する考えを表明していた。これで、ますます維新の会の保守性が明確になった。
私は、以前、このブログで、「安倍政権の運気に陰りは靖国神社参拝(12月26日)から」という記事を書いた。
その中で、「ウクライナ問題。日本は米露両国のどちらにつくか、踏み絵を迫られた。安倍政権は、アメリカにも気を使い、かつロシアにも気を使う、二重拘束状態である」、
と書いたが、ロシアとの関係はもはや無理と感じて、北方領土問題から、拉致被害者らの即時帰国へと切り替えた。
ロシアの方も、日本と組むことを諦め、中国と手を組んでしまった。これで決定的結論が出た。
ということから、「被害者即時帰国へ全力 政府、拉致で報告書」(MSN産経ニュース)ということとなった。
アメリカ側にすり寄っても、今までどおりの訳だから、成果ゼロであるので、上のような方向へと走ったのだろう。
このような動きの中で行われた、滋賀知事選だったが、やはり、自公推薦候補が敗れた。集団的自衛権の強行決定が大きく響いているに違いない。
安倍首相は、端的に言えば、生産者、特に、大企業優遇、優先の政策である。そもそも、自民党自体が生産者側に立つ政党であるが、安倍首相は露骨にそれを推し進める。
円安も、輸出中心の大企業のためである。だが、円安によって、原材料を輸入に頼る企業にとっては痛手である。それは見えていたはずである。
インフレ(物価上昇)政策も、生産者側に立つ政策であり、消費者にとってはマイナスでしかない。
インフレ傾向下での低賃金では、労働者には地獄だから、安倍首相は、経済界に賃上げを要請した。効果はゼロではないが、残念ながら、物価上昇(+消費税上昇分)を超えるものにはなっていない。
「賃上げ率2%台回復見込み 15年ぶり」 春闘中間まとめ(朝日新聞デジタル)
15年ぶりの賃金上昇ではあるが、物価上昇(+3%消費税上昇分)には及ばないので、実質的には収入減になる。地獄の釜がまた大きく開いた。
大企業優遇の端的な例が、法人税減税。「安倍政権の法人税減税「意味ないどころか逆効果も」と大前氏」│NEWSポストセブンから引用。
大前氏は、「今や法人税率は、企業がどこに拠点を置くかという意思決定には、あまり関係していないのである。なぜなら、すでに海外の企業はグローバルな節税の仕掛けを持っているからだ」、と逆効果すら説く。
つまり、法人税減税は、国内の大企業にしか恩恵はないのである。税金に関しては、グローバル企業はもうすでに先手を打っているのだ。
原発も、原発再稼働へかじを切ったのも、大企業向けである。卒原発脱原発は、巨大で新たな成長分野を生み出すが、大企業にとってはマイナスでしかない。
今回、卒原発を掲げる三日月氏が当選したことは、自民党にとっては、大きな痛手だろう。それは、自民党への批判が表替えったという意味である。
全国民が、意外だとは感じずに、やっぱりなあと納得した出来事である。安倍政権の運気に陰りは靖国神社参拝(12月26日)から始まったが、これまでは伏流として表面化していなかった。
靖国神社参拝で、世界が日本を見る目が変わったのである。というよりも、新たにこの視点から日本を見るようになった。
世界に警戒心が生まれたのである。さらに集団的自衛権有効との強行的決定は、世界へ向けての明確な意思表示である。世界からどう見えているだろうか。
今回の知事選で、伏流していた運気の陰りが表面化しだした。ここから、下り坂を目の前にしている安倍政権に焦りが見え始めてくるだろう。
参考資料1)内閣支持率、初の50%割れ 日経世論調査:日本経済新聞(2014/7/27)

参考資料2)川内再稼働「反対」59% 内閣支持率最低42% 朝日新聞社世論調査:朝日新聞デジタル(2014年7月29日)
安倍首相が、いいことをしても、いいことを言っても、本当だろうかと、疑心暗鬼になり、悪いことをすればいえば、やっぱりなあと、納得する。
国民が最も期待するのは、あるいは、世界が最も期待するのは成長戦略であるが、現状維持の自民党に、特に過去志向の安倍首相に、妙案があるわけではないので、官僚へ丸投げである。
各省の官僚たちは、既得権を拡大することしか意識が向かないので、新しいものはほとんど出てこないだろう。ネーミングは上手いので、目新しくは感じるかもしれないが。
そもそも自民党は、固定した確立した大企業を保護することが最優先であるから、成長戦略は出しようがない。
本当の成長戦略は、新芽、若葉を保護し育成することなのだから。その制度を確立させることが先決である。
ここが、アメリカと日本の大きな違いである。アメリカが、いつもいつも崩れかけては、蘇ってくるのはこのおかげである。資金は、崩れかけた牙城から逃げ出して、新芽の萌え出る野原を目指す。
日本が本当に蘇るためには、アメリカが持っている、この新芽若葉の保護育成制度を確立するかどうかにかかっている。ところが、日本は崩れかけた牙城に立て籠もるを良しとする。
などなどを見ていくと、選挙権を持つ国民が、組織の指示に従ってしぶしぶ自民党に投票するか、各自が自分の本当の意志を選挙で表明するか。どちらに傾くかの分岐点が見えてくる。
参考資料)「公明支持層、投票減る 滋賀県知事選 朝日新聞社出口調査」:(朝日新聞デジタル)。これは、ある意味、公明党(創価学会)による自民党への無言の圧力とも読める。自民党議員が当選するには学会票が必要不可欠だろうとの意思表示とも。自民党の支持率が下がれば、ますます学会票の重みが増す。
参考資料)「特に20〜30歳代では66%に達し、自民党の23%を大きく上回った。無党派層は40歳代でも60%」引用from"無党派層が過去最高の47% 日経世論調査:日本経済新聞"