真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

理論と現実、決定論(yes-no)と確率論(%)

テレビなどで、他人の論争を聞いていると、この人達は、理論と現実、決定論(yes-no)と確率論(%)などの区別をつけていないなあと感じることが多い。
そのような区別をつけていないので、あたかも、互いに違う土俵で相撲をとっているようなものである、つまり、戦いになっていないのだ。
だから、お互いに、相手の話を聞かずに、スレ違いで、言いっぱなして終わっていることが多い。そのために、実りのある論争とはならない。
参考)【11/07/15】原発問題の錯綜:決定論と確率論 (脳科学者はかく稽ふ)
決定論(yes-no)は、100(全)かそれとも0(無)しか認めない、白か黒しか認めない。
それに対して、確率論(%)は、0から100までのあらゆる数字を認める、白から灰色そして黒へと至るグラデーションを含める。
例えば、「これは安全なのかどうか」と問いかける。しかし、世の中に、100(全)の安全は存在しない。となれば、答える方は、答えに窮する。
注)仏教は、このような分別「決定論(yes-no)」を嫌う。
もし、「安全だ」と答えると、「では、絶対に事故は起こらないのか」と反論すると、現実問題として、起こらないとは言い切れない。
なので、「起こる可能性はゼロではありません」と答えざるを得ない。「ならば、安全とはいえないではないか」とたたみかける。
問う方は「理論」を重視し、答える方は「現実」を含めざるを得ない。理論だけならば、決定論(yes-no)だが、現実(世界)は、確率論である。
現実(世界)は、妥協点を探る外交能力がモノを言う世界である。理論だけではお話にならない世界である。
(机上の)理論と現実の別の面を考える。理論は、空間も時間をも含めない。
例えば、「例外はある」という言葉を発したら、すぐさま、その言葉は自分が発した言葉そのものに跳ね返ってくる。
「例外はある」という表現(文)に「例外はある」があることになる。「例外はある」の「例外」は、「例外はない」であり、自己矛盾に陥る。
理論は、時間を含めないので、過去へも言及するから自己言及する。しかし、現実は、必ず、空間も時間をも含める。現実では、時間は未来の方向へしか進まない。
注)自己言及のパラドックス - Wikipedia
数字の1は、理論であるが、1羽とか1台とかは現実である。現実の場合には、背後に必ず、具体を持つ。
1羽のニワトリとか1台の自転車とか。
この現実の具体から、一つ(の要素)だけを抽象して取り出すと、理論ができる。1羽のニワトリとか1台の自転車とかから、数だけを取り出すと、比較ができる。
であっても、1羽のニワトリと1台の自転車との"丸ごと"の比較はできない。例えば、「値段」という一点だけを取り出すならば、比較はできるようになる。
だから、ある人と他の人との丸ごとの比較はできない。でも、「数学の能力」だけを取り出すと、比較ができるようになる。
例えば、「ある人」は数学の点数が70点だが、「他の人」は57点だとすれば、数学に関しては比較できる。でも絶対に丸ごとの比較はできない。
理論はデジタル化であり、現実はアナログである。理論は、要素分解であり、現実はまるごとである。現実の分解、分析は理論化への道である。
これを考えると、学校が、どのような能力を重視し、企業側が、どのような能力を優先順位の上位に置いているかの違いを、学生側がはっきりと知るべきだろう。
多くの企業が、コミュニケーション能力の高さに重きを置いているが、学校側は、これを数値化できないので、取り入れていないところが多い。もっともっとディベートの重要性を認識すべきである。
コミュニケーション能力を理論化できていないので、数値化できない。理論化とは要素別に分解することである。
今のところは、コミュニケーション能力の高さの判別は、経験者による感に頼っている段階だろう。
丸ごとの一人の人間から、コミュニケーション能力をより分けて、その能力の高さを判定する判定方法が求められる。
といっても、コミュニケーション能力だけを求めている企業もそう多くはないだろう。就活生は、自分の能力を判定する技術を持つべきだろう。
かといって、それを個人に求めるのも酷であり、大学や専門学校や塾が、個々の生徒がどのような能力を持っているかを判定する技術を高めるべきだろう。
多様な能力を身につけるには、学校はかなり非力な場所であり、社会の方が、そういう意味では、有望な場所を提供している。
学校の社会化、社会の学校化が求められる時代でもある。
参考)「これから脚光を浴びる職種は、教育コーディネーターだ」from真夢人日記
「コミュニケーション能力」(fromアマゾン)