真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

岐路に立つ自動車産業

前回(今の時代の流れを生み出しているものは... - 真 夢人 日記)は、大きなテーマを取り上げた。今回は、それを下に、個別の事柄(自動車)を考えてみた。
1)シェアリングエコノミー:「ソーシャルメディアの発達により可能になったモノ、お金、サービス等の交換・共有により成り立つ経済のしくみ」という「シェアリングエコノミー」と呼ばれる経済活動が、世界規模で盛んになって来ている。
注)「ソーシャルメディア」とは「インターネット上で展開される情報メディアのあり方で、個人による情報発信や個人間のコミュニケーション、人の結びつきを利用した情報流通などといった社会的な要素を含んだメディア。
利用者の発信した情報や利用者間のつながりによってコンテンツを作り出す要素を持ったWebサイトやネットサービスなどを総称する用語。
古くは電子掲示板(BBS)やブログから、最近ではWikiSNSミニブログソーシャルブックマークポッドキャスティング動画共有サイト、動画配信サービス、ショッピングサイトの購入者評価欄など」引用from「ソーシャルメディアとは - IT用語辞典 e-Words
2)現在、世界中のクルマの累計走行距離は現時点で年間およそ10兆マイルである。このうちで、自分の車を自分のために運転する走行形態が全体の96%を占める。残る4%がタクシー、レンタカー、などのシェア型の走行である。
参考)「2015-12-23
という車利用の現状を考えると、自動車のコモディティー化はまだまだ先の話しかなとも感じられる。
3)自動車のコモディティー化:シェアリングエコノミーの潮流に乗って、社会環境が、「自分の車から他人と共有する車が主流」へと、推移することで、自動車のコモディティー化は急速に進むにちがいない。
4)ビジネスモデルを破壊することになる、自動車のコモディティー化に適する車は、電気自動車である。
5)垂直統合型ビジネス:ガソリンで走る自動車は、構造が非常に複雑である。そのため、数多くの部品メーカーを傘下に置いた垂直統合型ビジネスでしか規模の経済が働かない。その結果、新規参入が難しかった。
6)ところが、電気自動車は、部品数がガソリン車よりも少なく、部品の標準化が可能である。電気自動車は、今までの垂直統合型ビジネスから、パソコン業界のような水平分散型ビジネスへと舵をきらせる。
7)水平分散型ビジネス:アップルがiphone製造で行っているように、電気自動車は、グローバルな市場で、電池、モーター、電源コントローラなどの部品を専門に作る企業数社から、メーカーが、部品を調達して組み立てて販売する。
つまり、コモディティ化が可能な電気自動車は、垂直統合型の自動車メーカーのビジネスモデルを破壊する。参入企業が多数現れる可能性大である。となれば、価格もかなり急激に下降するにちがいない。
参考)「ガソリン車の部品点数は全部で10万点ほどあり、その内エンジンを構成する部品は1万〜3万点にもなります。それに対し、電気自動車に搭載するモーターの部品点数は30〜40点ほどで、インバーターの部品点数を加えてもわずか100点ほど」引用from「電気自動車により変化する産業構造 [電気自動車・EV] All About
5)自動車市場:といっても、自動車市場は、公共交通手段的利用に供される汎用車(コモディティー車)と、富裕層や愛好者向け高級車へと二極化する。
9)また、自動運転が話題になり、実用化も近づきつつある状況では、自動車産業を変えるルールチェンジャ−、ルールメーカーになるのは、グーグル、アップルなどIT企業による自動運転技術だと、言われている。
となれば、自動車メーカーは、IT企業にコモディティ車を供給するだけのサプライヤーに格落ちする可能性も大きい。
10)となれば、自動車メーカーは、ハードウエア(車)だけではなく、ソフトウェアを含むシステム全体を売らねばならない。自動車業界にとって、今は岐路に立たされている。
日本は、現状維持志向が強く、海外からの黒船によって、半強制的な方法で、転換を迫られる、という形に持って行かれるのが大半である。しかも、美味しい部分は、海外にかっさらわれるのも多々ある。
今回も、ガソリン車から電気自動車への転換に遅れを取って、海外勢に、先手を取られる愚を犯すのは見たくないものだ。
参考)「トヨタは、自動車コーディネータになってゆく - 真 夢人 日記