真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

人間にとっての潜在的可能性って何だ?

私が、このブログ内で、初めて、「潜在的可能性」、という言葉を使ったのは、記事「無欲の欲、無用の用、無知の知 - 真 夢人 日記」(2007/03/09)の中だった。
そこから引用。「無欲とは、欲が無いことではなく、認識できる段階(表面化)にはない、まだ潜在的可能性の段階の欲である。それ故に、その可能性は無限の方向性を持つ。つまり、無方向である。地下に眠るマグマの段階であって、地上に出て噴火する前の段階だという意味である。あるにはあるがまだ表面に現れていない」。 
例えば、無意識とは、意識がないのではなく、「認識できる段階(表面化)にはない、まだ潜在的可能性の段階」にある意識層のことである。意識の下位層で、意識の素材が充満している層のことである。
上の層(新しい層)にとって、下位の層(既存の層)は、自分が利用できる素材群である。肉食動物にとって、下位の草食動物などは、自分を形成する素材である。
宇宙は、そのような形成のされ方をする。その宇宙自体の開闢は、完全な潜在的可能性だけが存在する状態にあった。
そこからビッグバンが始まり、次々に潜在的可能性が顕在化しながら、宇宙は発達発展展開を今なお続けている。
その発達発展展開の方向は、今まで存在していなかった、新しいものが顕在化(止揚)するという方向、結果的には、多様性が増すという方向、複雑性が高まるという方向である。
潜在的可能性とは、種子の段階、卵の段階、受精卵の段階である。宇宙の誕生時を、卵で言い表す神話も多い。
例えば、柿の種子は、成長して柿の木になる。柿の種子(潜在的可能性)は、きわめて狭い可能性しか持っていないが、人間はきわめて広い可能性を秘めている。
進化的に上位(遅れて現れる新参)にあるものは、それまでのあらゆるものを、素材として取り込むことができるので、ほとんどの場合には、複雑性が高まっている。
では、この可能性の広さは何によって決まるのだろうか。
柿の種子も、人間の受精卵も、ともにその中に存在する遺伝子によって、発達発展展開して行く。その点においては同じである。それは固定部分(系統発生)である。
そもそも、生物(植物と動物)、生命とは、自身の中に、発達発展展開を可能にする情報(遺伝子)を持っている存在である。具体的には、細胞を持っていることである。
次に、植物と動物とで大きく異なるのは、脳(神経)を持っているかいないかである。この脳(神経)自体も、潜在的可能性が顕在化しながら、発達発展展開し続けている。
宇宙のあらゆるものは、階層構造的発達発展展開をして行くので、この脳(神経)も、同様に、階層構造的発達発展展開している。
脳は、具体的には、三層構造となっている。人間の場合には、この三層目(特に、大脳新皮質)は空白状態で生み出される。下位層になるほど、融通性(潜在的可能性)が低い。
人間の潜在的可能性とは、主に、この三層目の空白状態を指し示していると言える。人間では、誕生後に、経験体験(知識・情報をも含めて)することが、将来への糧素材となり、それらが、当人達にとっての潜在的可能性である。
個人が経験体験という素材(潜在的可能性)を用いて、未来を形成し、切り開いて行く。この個人個人が形成したものの総体が文化である。
そのようにして生み出された文化。過去に生み出された文化資産は、今の世代にとって、利用可能な素材であり、生み出された文化資産は、未来へと引き渡される文化資産(素材)となる。
参考)「実存主義って何だ。 - 真 夢人 日記
注)物質(生物)に対して作用する遺伝子に対して、文化(知識・情報)を担う遺伝子を、ミームと呼ぶ。
情報の階層構造をまとめ的に示すと、宇宙に存在する三段階の情報階層。1)物理法則、2)生物遺伝子、3)動物文化遺伝子。
物質は第一の物理法則までを受けられる。植物は第一と第二の物理法則と生物遺伝子を受けられる。動物は、第一の物理法則と第二の生物遺伝子と第三の動物文化遺伝子の全てを受けられる。
人間は、人間以外でも萌芽は見られるが、文化を発信する側でもある。今や、インターネットを手に入れたので、誰もが発信する機能を有する時代となった。