真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

あなたは受け入れるか、闘うか

[虚しい希望を振りまくテレビ]
産経新聞のコラム、「【断 久坂部羊】虚しい希望を振りまくテレビ」、を読んでの感想を書きたい。
最終段落を引用させていただいた。


現場で診ている患者の中で、いちばん楽そうなのは、麻痺を受け入れている人である。逆にもっとも苦しむのは、変えられない現実を変えようとあがく患者だ。
 あるがままを受け入れることは、決して後ろ向きなことではない。それは気持ちを切り替え、別の価値観に目を向けることである。若さや美しさや強さや健康だけが、この世の価値ではないだろう。執着で心まで麻痺させていてはもったいない。
[どちらを取るべきか迷う]
◎私は、いまだにどちらを取るべきか迷う。つまり、「受け入れ(てい)る」か「現実を変えようする」か、どちらの道を進むべきかに。
[楽そうなのは受け入れている人]
◎この筆者が言うように、「いちばん楽そうなのは、麻痺を受け入れている人」で、「もっとも苦しむのは、変えられない現実を変えようとあがく患者」だというのは、とても説得力がある。
[現状維持か現状変更]
◎しかし、受け入れるは、現状維持と見えるが、変えようするは、現状変更と見なせる。私は、現状維持という言葉が嫌いである。保守的という意味合いを感じてしまう。
[以前にさまざま論争があった]
◎もうかなり以前になると感じるが、ガンと闘うか、その病を受け入れるかでさまざま論争があったと記憶する。
[患者よ、癌と闘うな]
◎このコラム(【断 久坂部羊】)と似た考えを提示する、慶応義塾大学医学部放射線科講師の近藤誠医師が書いた、「患者よ、癌と闘うな」(発売日:1996?)というベストセラーがある。
参考資料(著書)→(アマゾン)「患者よ、癌と闘うな」
[それへの反論]
◎それへの反論もある。「患者よ、癌と闘うな?」(ウェブページ)。それ以外にも、反論的な著書が出版されたように記憶する。
[受け入れ思考背景に二つの流れ]
◎私には、戦わない、すなわち、受け入れる、あるがままを受け入れる、という思考背景に、二つの流れがあるように思える。
[来談者中心療法]
◎その一つが、アメリカの臨床心理学者、カール・ロジャーズが創始した、来談者中心療法である。
(from Wikipedia)

自分自身を受容したとき、人間には変化と成長が起こる。カウンセラーは、クライエントを無条件に受容し、尊重することによってクライエントが自分自身を受容し、尊重することを促すのである。
参考資料→(from Wikipedia)「カール・ロジャーズ」
[自然法爾]
◎もう一つが、仏教である。「自然法爾」がある。仏教語で、「自然」はおのずからそうであること。「法爾」(ホウニ)はそれ自身の法則にのっとって、そのようになっていることである。
[絶対他力にまかせきる]
浄土真宗は、自力をすて、如来絶対他力にまかせきる。人為を捨て、ありのままにまかせる、という教えがある。 (from 三省堂「新明解四字熟語辞典」)
[変えられないという判断]
◎私が一番迷うのは、「変えられない」という判断である。要は、この判断次第ではないのだろうか。闘って、勝利した場合は、万々歳である、見事変えられたのだから。
[時間と費用とを多大に費やす]
◎しかし、戦いに数年以上の期間を要し、その期間に時間と費用とを多大に費やさねばならない。その結果が、負けでは、その気落ちはいかばかりだろうかと案じられる。
[人生を有意義に過ごす]
◎それならば、いっそう、自然に任せて、 法爾させてゆく方がよいかもしれない。戦いに費やす時間と費用を、人生を有意義に過ごす(「気持ちを切り替え、別の価値観に目を向ける」)ことに使うならば、「いちばん楽そうな」人でいられる。
[あなたはどちらだろうか]
◎私はいまだに一方だけを取るという風には断固足る気持ちが固まっていない。風に揺れる葦のようである。どうですか、あなたは受け入れる派なのか、それとも闘う派なのでしょうか。
注)風に揺れる葦=旧約聖書の中で、周囲に流される主体性の無い弱い人物の比喩。