真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

規模の経済による利点と不経済

[レストランでコック]
◎私の末娘は、ホテル内のレストランでコック(調理係)をしている。大きな店のコック(調理係)では、直接お客さんと顔を合わせたり、応対することが少ない。
[お客さんの前で実演]
◎それへの対処の一つでもあるかも知れないが、時には、お客さんの前で、料理を作ったり、切り分けたりの実演をするそうだ。とはいえ、パーフォーマンスとしての実演の意味が大きいだろう。
[区分けして分担]
◎レストランでは、受付(会計)が、お客さんの最初と最後に応対し、給仕係が、食事を上げ下げし、コックが調理する。
[分野の専門性を高める]
◎このように、全体の仕事をいくつにも区分けして分担をしている。これはそれぞれの分野の専門性を高めることにも役立つ。人数をさばくにはこの方法がよいのだろう。
[一部始終を見る担当者がいない]
◎しかし、欠点として、お客さんの全体、一部始終を見る担当者がいないことだ。となれば、お客さんへの対応に関して、各人の責任が希薄になってゆく。
[情報伝達システム]
◎例えば、料理の味が気に入らなくても、それを直接コックに伝えにくい。受付(会計)にその旨を伝えても、情報が担当部署(コック)にまで伝達されない恐れもある。情報伝達システムがきちんとしていないならば。
[役所的対応]
◎これはチリ地震津波についても言える。津波警報が出ても、実際に避難した住民の割合がひどく低いことが話題になった。縦割りの役所的対応になってしまった可能性もあるのではないか。
[顧客目線を強めていきたい]
◎今、日本を、アメリカを揺るがす問題が発生している。トヨタ問題である。それについて「トヨタ社長が帰国「顧客目線を強めていきたい」」=from"YOMIURI ONLINE(読売新聞)"と述べたそうである。
[不具合情報共有]
◎また、「トヨタ:大規模リコール問題 不具合情報共有へ 品質管理体制見直し着手」=from"毎日jp(毎日新聞)"という対応策を宣言した。
[臨機応変に対応]
◎例えば、1人か2人(夫婦)で切り盛りする小料理屋的店では、店主は、お客さんが入ってくる瞬間から戸を閉めて帰るまで、ずっと一部始終を見て応対できる。臨機応変に対応ができる。
[部署間での情報共有化]
◎私は、以前(2007/08/07)、このブログで「部署間での情報共有化」という題の記事を書いた。そこからいくつか引用。

産経新聞社からの記事(2006/7/27付け)を元にブログ記事を書く。その新聞記事は、世界のトヨタ-大企業病という感じの見出しを付けていた。
◎そこには、自動車生産企業6社のリコール(生産者が欠陥製品を公表しての回収修理)の資料が載っている。トヨタでは、14年度(50万台弱)から17年度(190万台強)へと4倍弱へとリコール台数が跳ね上がっている。
◎欠陥を長年放置して業務上過失傷害事件を引き起こしたことによって、さらなるリコール増加もあいまって、出された国交省の業務改善指示(7/21付け)内容が、"関連部署間での情報共有化による連携の強化"であった。
トヨタは物質面では大いに成功(まもなくアメリカを抜いて世界最大の自動車生産企業になるだろう(部分的にはもう達成している)。がしかし、情報面ではいろいろとほころびが目立ってきたということだろう。情報インフラの整備が急務なのではないか、国交省も指摘するように。情報インフラは人体でいえば、脳脊髄神経体系である。
合併統合などで規模を大きくし過ぎることで、効率(メリット)は得られるであろうが、同時に摩擦(デメリット:トヨタ大企業病など)も発生・肥大化する。過ぎれば効率よりも摩擦(知恵が回りかね)の方が大きくなる。
◎今回のトヨタ-大企業病とは規模が大きすぎるために、情報共有化によって行われるべき上下や横間の連携が失われてゆく(自立化する、各部署が独立化する)という摩擦も同時に拡大していったのだろう。その結果、各部署を通底して、全体を見る、森を見るという意識が希薄になる。
[国交省の業務改善指示]
毎日新聞にある「不具合情報共有へ」対応するということであれば、国交省の業務改善指示"関連部署間での情報共有化による連携の強化"がトヨタには活かされていなかったということだろう。
[重篤大企業病]
◎もはや、トヨタは、正真正銘の重篤な「大企業病」を患っているのではないかと疑われる。グローバル化には、規模の拡大が必須だといわれる。
参考資料→「【トヨタの苦悩】(下)グローバル化の落とし穴」=from"SankeiBiz(サンケイビズ)"
[情報の共有化と対応の迅速さ]
◎大きくなればなるほど、二つの面で苦しくなる。一つが情報の共有化。もう一つが、対応の迅速さ。トヨタは、今回の問題からは、この二つともに不十分であったように察せられる。
[世界の巨人マイクロソフト]
◎大きくすればしたで、得られるものも大きいが、同時に失うものも大きい。矛盾的自己同一である。私には、少し前までの世界の巨人マイクロソフト」を思い浮かべる。同時にアメリカという国をも。
[長くは頂点に立ち続けられない]
◎これほどの巨人では、「いつまでも世界を支配し続けるのでは」と思ってしまうほどの巨人であっても、それほど長くは頂点に立ち続けられないものだ。環境の変化がそれを許してはくれない。
[自民党があっけなく倒れた]
◎日本の政治世界でも、「これほど長期間持続する自民党が倒れることがあるのか」と思いきや、あっけなく倒れた。しかも、一旦倒れると、昔大きな存在であった「社会党」のように、あえなく雲散霧消するという危機さえささやかれている。
[一時は世界一さえうかがった日本]
◎そういう日本という国でさえ、一時は世界一さえうかがうという隆盛振りが、今や世界からどんどん見放されようとする存在にまで落ち込みつつある。しかも、先行きはかなり暗い。
[中身を伴わないバブルに陥る]
◎もしかすれば、急激に大きくなるというのは、風船や餅のように、中身を伴わないバブルに陥るのかも知れない。つい最近も、バブルがアメリカではじけて世界中が大騒ぎをしたではないか。