真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

脳は右脳と左脳との矛盾的自己同一

[脳の話]
◎今日は脳の話をする。ちと堅い話題かなと思うが、私の好きな分野である。我慢して少しばかりおつき合いを願いたい。(我慢してまで付き合ういわれはないという声が聞こえそうだが)。私は理系が大好きな文系人間である。なんのこっちゃ???。
[古い上に新しいが積み上がる]
◎脳は、地層のように、進化するにつれて、下から上へと新しいもの(構造と機能)が積み上げられてきた。宇宙では古い上に新しいが積み上がるのが普通の構造であるが。
[意識機能の積み上げ]
◎脳が進化につれて層構造的に積み上がったので、人間も、脳が進化したのと同じ方向(階層構造)で、感覚から感情へ、感情から知性へと意識機能を積み上げてゆかねばならない。
[知育偏重が元凶]
◎しかし、勘違いをよくされるが、感覚や感情を切り捨てるのではない。両者ともども十分に育ててゆかねばならない。現代のゆがみは感覚や感情を育てないことから来る、切り捨てることから来る。幼すぎる頃からの知育偏重が元凶である。育てた上で乗り越えねばならない。
[一番上に大脳新皮質]
◎話を戻す。脳において、一番上に積み上げられたのが大脳新皮質である。それは中にあん(こ)の入ったまんじゅうの薄皮部分にたとえられる。事実、新皮質は下位構造をほぼすっかり上から覆い包むように、延び広がっている。これが人間を知性的生き物にしている元凶(?)である。
[矛盾的自己同一]
大脳新皮質は、西田幾多郎が言うように、矛盾的自己同一である。その意味は、対になるもの、性質の反対なるもの、打ち消し合うものが同居していることである。矛盾(互いに否定し合う対立)していながらもひとつのまとまったものとして機能している。
[プラスとマイナスを含む磁石]
◎矛盾的自己同一の簡単な例が、磁石である。磁石はプラスとマイナスを含んでいて、それらは互いに打ち消し合う。しかし、磁石を、プラスとマイナスとに分かれた部分をどれだけ何度も何度も切り離しても、それぞれの断片は必ず同程度のプラスとマイナスとを含む。
[陰陽は矛盾的自己同一]
◎同じことを道教でも言う。道教では、性質の反対なるものとして、陰と陽を代表例として使う。この陰陽(に代表される矛盾的自己同一)を宇宙生成の基本原理だという。
"陰陽図"
[ヘーゲル弁証法]
◎西洋の哲学者ヘーゲル弁証法という形で、似たようなことを主張する。"全てのものは自己の内に矛盾を含む。それによって必然的に自己と対立するものを生み出す。生み出したものと生み出されたものは互いに対立しあうが、同時にその対立によって互いに結びついている"と。ちなみに、弁証法は宇宙進化の方向を示す。
[右脳と左脳とは矛盾的自己同一]
◎脳(特に大脳新皮質)では、右脳と左脳という、相反する機能を矛盾的自己同一的に持つ。下位部分(すべてではないが)ではそのような機能分離を伴わない。それ故に動物は単純明快なのかもしれない。裏山しい!!。
[矛盾的自己同一的離合集散]
◎右脳の基本原理は、統合(統合化)である。左脳の基本原理は分解(細分化)である。これらの両機能を一言で言えば、矛盾的自己同一的"離合集散"である。次ぎに、右脳と左脳の機能的特徴をさらに具体的に列記する。
[通俗的な右脳左脳]
◎ただし、この右脳左脳は生理学的なものではなく、通俗的な意味での右脳左脳(特注、お断り、科学的裏付けがないものもある)であるある。どこかのテレビ番組を思い出すが。
[右脳の基本原理は統合]
◎①右脳、②結合(統合化)、③具体性・イメージ(写真・動画)、④拡散・拡大、⑤空間、⑥同時性、⑦アナログ(連続性)、⑧東洋、⑨集団化、⑩多様化・複雑性。
[左脳の基本原理は分解]
◎①左脳、②分解(細分化)、③抽象性・文字音声(言葉・記号)、④収束・収縮、⑤時間、因果関係(論理思考)、⑦デジタル(点集合)、⑧西洋、⑨個人個性化、⑩単一(統一)化・単純性。
[右脳と左脳の機能的特徴]
◎あらためて、右脳と左脳の機能的特徴を一言にまとめる。右脳は、たくさんのものをその特性を残したまま抱え込む。それに対して、左脳は単一・単純なものへと分離してしてゆく。例えば、音は左脳が処理するが、それが連続してつながりを持つと、メロディーとして右脳が処理する。
[統合と統一の差異]
◎ここで、右脳側に統合、左脳側に統一があり、おかしいではないかと思われるかもしれない。私の解釈では、統合は個性を残したままの(多様性を持った)まとまりであり、統一は個性を消し去った単位化である。そこには多様性の有無が鍵となっている。
[科学は細分化へ進む]
◎科学(左脳)はどうしても細分化(分析・分解)方向へ進むので、マンションで隣同士が互いをほとんど知らないのと同じように、隣の分野とはつながりが切れてゆきがちになる。そしてその弊害が有用性を上回る事態にもなってきた。その反省から、最近では複雑系という方式が台頭しつつある。
[複雑系科学]
複雑系科学は、複雑な現象を複雑なまま理解しようとする姿勢を持って臨む。これは右脳思考である。全体を全体のまま扱う。例えば、西洋医学は全体の一部を取り上げて(心臓なら心臓のみを)治療するが、東洋医学では体をひとつのまとまりとして扱う。私にはどちらも必要な方法だと思えるが。
[東洋と西洋の差異]
◎西洋は全体として、左脳優位の方向で進んできた。それに対して、東洋は右脳優位で進んできた。文字でも、西洋文字は抽象性が高い。それに対して、東洋の漢字はいまだに具体性をある程度残している。また、漢字は文字を統合して、それをもひとつの文字にしてしまう。木を三つ集めて森を作る。この思考も右脳的である。