真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

思考はトップダウン、夢はボトムアップで実行される

[脳についての話]
◎今日はかなり堅い話題を取り上げたい。脳についての話である。それを情報の扱い、処理という面で述べてみたい。
[脳が三層構造]
◎宇宙は層構造をなすが、脳も宇宙の一部なので同じように層構造をなしている。脳が三層構造であるという話は有名である。その三層脳の一番上で覆い尽くしているのが大脳新皮質である。
[大脳新皮質]
大脳新皮質は、人間においてずば抜けて発達している。人間を人間たらしめている脳の部分である。
[環境に強く影響される]
◎この部分は白紙の状態で生まれる。もちろん胎児の時にもある程度書き込まれてはいるが。それでも、生まれてからの環境に最も強く影響される部分でもある。
[情報の処理施設]
大脳新皮質を端的に表現すれば、情報の処理施設、情報処理工場といってもよい場所である。その工場は三つの部分に分けられる。
[スクリーン部分]
◎一つが、情報を映し出す、表示するスクリーン部分(後頭葉頭頂葉)。五感があるが、その内8割が視覚情報である。それを処理する場所が後頭葉である。
[情報保管貯蔵庫]
◎二つ目が、情報を保管する貯蔵庫(ストレージ:storage)部分(側頭葉)。なお、側頭葉は五感の内聴覚情報を処理する場所でもある。
[情報の操作部分]
◎三つ目が、情報の操作部分(前頭葉)。飛行機で言えば操縦席、車でいえば運転席である。
[前頭葉]
前頭葉は、さらに、行為を指令する部分(運動野)と思考(シミュレーション)を行う部分(前頭連合野前頭前野)と二分される。
[感覚情報が映し出される]
◎一つ目のスクリーン部分には、通常外から入ってくる感覚情報が映し出される。目を開けていると自然とここに外部の映像が映し出される。
[記憶情報も映し出す]
◎しかし、このスクリーン部分は外部の感覚情報を映し出すだけではなく、内部に貯め込んだ記憶情報も映し出す。それをイメージと呼ぶ。
[感覚情報を遮断]
◎思考を行なうときに、過去の記憶情報をスクリーンに映し出すには、外からの感覚情報を遮断しなければならない。これを普通内省・内向という。
注)私の勝手な想像であるが、「だるまさんがころんだ」の遊びは反省(内省)の仕方を教える遊びである。
[自分の世界に入り込む内省]
◎感覚情報の遮断がうまくできなければ、内省できない。逆に、すぐに自分の世界に入り込んでしまう人は、この感覚遮断がうまいのだ。
[前頭連合野]
◎内省や思考のために記憶情報を映し出す行為主体は、前頭葉の前半部分(おでこ当たり)にある前頭連合野(前頭前野)である。ここは意識の中心部ともいえる。
[夜見る夢]
◎それに対して、夜見る夢は、思考と同じように、過去に貯め込んだ記憶情報を、スクリーン部分に映し出す行為である。夢と思考は同じことをする。
[下位の階層]
◎しかし、思考の場合の行為主体は前頭葉であったが、夢の場合の行為主体は大脳新皮質ではなく、それより下位の階層にある脳部位である。
[プラネタリウム]
◎これは、プラネタリウムを思い浮かべられると、理解しやすい。プラネタリウムでは、下の装置が天井(ドーム)に、星、星座などを映し出す。
[ボトムアップトップダウン]
◎つまり、夢はボトムアップ(無意識)で実行される。それに対して、思考や内省はトップダウン(意識・意志)で行われる。
[瞑想]
◎瞑想も過去の記憶情報を扱うが、思考のように前頭葉が行為主体になるのではなく、夢のように下位階層脳が行為主体になる。
[受動的(無意識)な行為]
◎つまり、瞑想は、能動(意識)的ではなく、意志・意識を働かさない受動的(無意識)な行為である。
[過去記憶情報を観察]
◎かといって、前頭葉は眠っているのかといえば、目覚めていて、スクリーン部分に映し出される過去記憶情報を、操作主(第一者)としてではなく、観察者(第三者)として眺める。
[意識にもたらす]
◎それによって、その記憶情報は意識にもたらされる。眠って意識が働かなければ、記憶情報は意識にもたらされない。
[過去記憶情報の意味を知る]
ユングなど精神分析夢分析をするのは、無意識に留まっている過去記憶情報の意味を知って意識に取り込むためである。
[観察者として眺め合う]
◎夢を扱わないカウンセリングも、傾聴者と相談者の間で、そのような心の中に映し出される過去記憶情報を観察者としてともに眺め合う。
[夢も瞑想もカウンセリングも同じ]
◎だから、結局は、夢も、瞑想も、カウンセリングも同じようなことをしているといえる。必要なことは、過去記憶情報を意識が取り込んで、それを活用することである。
[外部にある情報も]
◎しかし、自分の内部にある情報を意識に取り込むだけではなく、外部にある情報も自分の内部に取り込んで、それを活用することも大いに必要である。