真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

私が長年追い求めてきたもの

前回記事(2014/10/03)を書いてから、新しいことを書こうという意欲が大きく減退した。何故なのだろうと思ったら、私の中で、区切り、ピリオドがついたからだとわかった。
前回ここ(真夢人日記)で書いたものが、私が追い求めてきたものの最終的結論だと気がついた。
私(66歳)が長年(意識的には、25年から30年ほど)追い求めてきたものは、「人の成長」であった。人はどういう方向へと成長するのだろうか、その原動力は何なのだろうか、という疑問だった。
その答えを得たいという思いから心理学を学んだ。と言っても、私は学問を正式に学んだことは全くなく、ただ図書館から借りた本を読む程度だったが。
注)私の考えを勇気づけてくれたのは、「人間には有機体として自己実現する力が自然に備わっている。有機体としての成長と可能性の実現を行うのは、人間そのものの性質であり、本能である」(カール・ロジャーズ - Wikipedia)と言うような内容を述べたカール・ロジャーズの思想だった。
心理学は多分に経験則であり、その根拠をさらに知りたいという思いが募って、脳科学へ進んだ。しかし、脳科学は若い学問であり、その蓄積はまだ私を納得させるものからは程遠かった。
そこで、過去へとさかのぼって、哲学、宗教へと分け入った。そこでは宇宙の起源を語るものも多く、更には、物理学、宇宙物理学にも関心が向かった。
インドの思想に、梵我一如(ぼんがいちにょ)という言葉がある。それは、梵(ブラフマン:宇宙を支配する原理)と我(アートマン:個人を支配する原理)が同一であるという思想である。
私はその言葉から宇宙全体が一つの原理で貫かれているのだろうと感じた。人の成長への関心から、それを包摂する宇宙全体の変化原理を求めはじめた。
特に、宇宙は、変化してやまない存在だった。ビッグバンから始まった宇宙の生成(過程)は、全てのものの成長に似ているのではないかと感じた。
そのようにして、私の関心は、単に人の成長にとどまらず、生物、無生物、組織、システム、などなどに至るまでの、全てに普遍的に共通する成長原理を求めるようになった。
参考)「電子回路やコンピュータなどの人工物、生物の身体、社会集団など、ミクロからマクロまで様々な現象をシステムとしてとらえ、これら多様なシステムに適用可能な一般理論を構築しようとするものである。システム理論の学際的な役割は、存在論、科学哲学、物理学、生物学そして工学から、理論的な原則を集める事である。用途は地理学、社会システム科学、政治学、組織論、マネジメント、心理療法(家族治療を含む)と経済学その他を含めて多数の分野で見いだされる」。これはベルタランフィの一般システム理論に関するものである。引用from"一般システム理論 - Wikipedia"
その結果、得た私の結論が、前回このブログで述べた記事なのである。即ち、「宇宙自身も自己実現する存在である」なのだ。
注1)実は、もう10年以上も前に、Amazon.co.jp: 「宇宙原理があなたの中を貫流する」(as電子書籍: by真夢人: atKindleストア)を書いたが、これは、読んでいただくには余りにも下手くそな表現だらけである。残念ながら、それ以降に得た知識を盛り込んで、加筆改定する気力が私にはもう湧いてこない。このブログ(2006/10/10:実際にはもっと前から、これは中断後の再開)を始めてから7年ほど立つ。このブログも宇宙原理から社会を見てみたいという欲求でもあった。
注2)心理学者マズローが、超有名な欲求階層説を提唱し、その階層の上位に自己実現欲求を立てている。
あらためて、自己実現とは、それぞれの中に含まれる潜在的可能性を顕在化(開花)させる行為である。仏教的には、潜在的可能性を仏性といい、その顕在化を成仏という。
道元が、人間はもともと仏性を持ち、そのままで仏であると教えているはずなのに、なぜ仏になるための修行をせねばならないのかという疑問を持った。
注)「本来本法性、天然自性身と、若しかくの如くならば、則ち三世の諸仏なにに依ってか、更に発心して、菩提を求むるや」
開花する(ビッグバン)前の、潜在的可能性だけにとどまる宇宙も宇宙であるが、開花途上の今の宇宙も同じ宇宙である。修行とは開花行為である。
心理学の中に、「動物(有機体)に対する「刺激」という従来の知覚心理学の概念とは異なり、環境に実在する動物(有機体)がその生活する環境を探索することによって獲得することができる意味/価値である」アフォーダンスという言葉がある。引用from"アフォーダンス - Wikipedia"
アフォーダンスという定義の中にあるように、意味/価値は、探索することによって獲得することができる。働きかけ(修行)が必要なのである。
潜在する意味/価値は、働きかけたものの作用によって開花する、化学反応する。働きかけるものの能力によって千変万化する。一期一会である。
注)モノ同士であっても、互いの働きかけによって、互いが持っていた潜在的可能性(意味/価値)が(開花)顕在化する。ヘーゲル弁証法でそのように言う。
現代は、自分の中に、他者の中に、物の中に、出来事の中に、あらゆるものの中に、潜みまだ日の目を見ない可能性(意味/価値)を見出して、実現させる能力、この自己実現能力が問われる時代である。
例えば、ビッグデータの中に潜む可能性を見出して、活用することに注目が集まっている。そこにどんな可能性が潜んでいるかを見出すことが問われている。
そこにどんな可能性を見出すかは、その人の興味関心、能力、力量による。実にさまざまなものがそこから見出し得る。つまり、環境(対象)とその人の相互作用によるのである。
注)このような見方に立てば、一般に言われる進化論は環境に重きを置き過ぎなのではないだろうか。
別な言い方をすれば、潜んで見えないものを見える化(可視化)することである。潜在の顕在化である。
例えば、ニュートンが、物が落ちるという行為の中に潜む力、引力(万有引力の法則)を発見したように。
私が長年追い求めできた、宇宙原理は、一言で言えば、自己実現潜在的可能性を顕在化(開花)させるという自己実現であった。
梅の種の中にある潜在的可能性を、梅は全力で実現しようと成長してゆく。私達人間には、記憶し、想像し、創造するという脳があるので、外部に文化という形で、潜在的可能性を開花させてゆく。
過去(記憶)の中に潜む可能性(未来)を想像し、現在の中に創造(開花)する。
となれば、過去(記憶)が積み上げられれば積み上げられるほどに、潜む可能性(未来)は幾何級数的に膨らみ、それゆえに、創造(開花)の余地がぐんぐん拡大する。
今や、インターネットの海は、潜在的可能性の宝庫である。冒険家たちが挑む未曾有のフロンティアである。混沌たる海は泳ぐには危険であるが、危険のないところに、大きな発見はない。