真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

国のライフサイクル

人間には、ライフサイクルがあると言われている。例えば、エリクソンは、人間の成長を8段階に分けた。1:乳児期、2:幼児期、3:児童期、4:学童期、5:思春期・青年期、6:成人期、7:壮年期、8:老年期。
また、製品においても、ライフサイクル理論が存在する。製品が、1:導入期、2:成長期、3:成熟期、 4:衰退期の4つの段階を経るというものである。
このことは国についても当てはまるらしい。ということで、今日は、日本のライフサイクルについて考えてみた。
なお、この記事を書くにあたって、この記事「老いた中国経済が、世界を揺るがす衝撃のシナリオ」(老いた中国経済が、世界を揺るがす衝撃のシナリオ - まぐまぐニュース!)を参考にしている、というよりも、かなりの部分を引用させて頂いた、感謝。
日本は、第二次世界大戦直後では、アメリカ空軍による大都市への空襲によって廃墟のように荒れていた(混乱期)。
自民党政権下で、産業復興していった。欧米に比べると、賃金水準が安いので、「安かろう、悪かろう」で急成長していった。
アメリカの支援もあり、最新の設備と、最新の技術と、最新の情報を手に入れて、「成長期」へと向かった。
先に成長していった国々では、最新のものを導入していたとしても、後から成長して来た国々のものに比べれば、どうしても劣りがちである。先に成長した方が同じ分野では不利になる。後発の優位性が生まれる。
そういう利点もあり、「成長期」が進むと、国民が豊かになっていく。国民が豊かになるとは、賃金が上がるということである。
となれば、日本企業にとって、国内たは、もはや生産拠点としては、デメリット(高賃金)が大きくなる。消費地としての魅力はあるが。
そして、国内企業は、こぞって安い労働力を求めて、他国(最初は主に中国)に移っていった。
このようにして、日本は、1970年代に世界の工場になり、80年代に一人勝ちした。
しかし、そこに中進国のわなが待ち受けていた。これは国民一人当たりGDP(国民総生産)が1万ドル(約100万円)に接近する中進国となった頃から、後発の発展途上国の追い上げによって輸出品が競争力を失う。
他方では、先進国と競争するには技術力開発力などが十分でない。前からは頭を押さえられ、後ろからは足を引っ張られることによって、成長が停滞してしまう。
日本は、幸いにも、技術力開発力を高めることで、さらには、常に前を行くアメリカの技術知識を取り入れることで、みごとそこを切り抜け、先進国の仲間入りを果たした。
これは、教育力、高い教育水準、国民全体への高い教育普及率のおかげであると思われる。教育は宝である。企業は、物的設備投資以上に、研究開発、人材教育に、先行投資すべきであろう。
具体的には、ハードウェアからソフトウェアへの切り替えである。つまり、中進国化までは、ハードウェアによって成長できるが、先進国の仲間入りをするには、ハードウェアを動かすソフトウェアの創造が不可欠である。
ソフトウェア先進国であるアメリカでは、ほぼソフトウェア専業企業といえる、グーグルが存在する。アップルは、ハードウェアとソフトウェアの両方を手がける企業である。
とにかく、アップルを生み出し、グーグルを生み出し、そもそもインターネットを生み出したのも、アメリカである、驚異の国である。
アップルは、自らコンセプトを生み出し、それを製品化するために、グローバルに、最新の技術と部品を集めて、完成させる。
今では、先進国から弾き出されないためには、このコンセプトを生み出す能力が、問われている。
他の後追いでは、先行者メリットで、一番乗りに美味しい部分はかっさらわれ、後には、骨と皮しか残されていない。
今年盛んに自動運転という言葉が聞かれるようになった。先行者メリットを勝ち取るために、ハードウェアのトヨタ自動車も、ソフトウェアへ顔を向け始めたようだ。
もし、後塵を拝することになれば、トヨタも、グーグルの部品メーカーへと型落ちするかもしれない。
先進国、すなわち、成熟国の後には衰退が待っている。日本の今は、人口の減少と少子高齢化という、国力の衰えに直面している。
ここから、新しい国としての再出発へと、ロケットの打ち上げに成功することが、果してできるのだろうか。